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刑法理論

某私立大学ロースクールの教員をしている弁護士が、学生が結果無価値を教える刑法の授業に文句を言っている、結果無価値を教えて司法試験に受かるのか、と言っていた。

ロースクール設立の目的は、予備校で受験技術を習得しただけの法律家ではなく、幅広い法理論を学んだ法律家を育てるというものではなかったのか。

犯罪とは何か、処罰されるべきは何か。
処罰されるべきは悪しき行為である、と考えるのであれば、実行の着手で犯罪は既遂に達し、結果の発生は処罰の加重要件に過ぎない。
処罰されるべきは悪しき結果である、と考えるのであれば、結果が発生した時点で犯罪は既遂となり、例外的に法律の定めるものについて未遂を処罰することになる。
私はこのように理解している。

前者の考え方を貫徹するのが行為無価値一元論であり、物の本には、現在我が国でこの立場をとる者はいない、と書いてあるが、それは誤りです、私はこの立場です、と教授が言われるを私は大学の授業で聞いた記憶がある。
司法試験委員もしておられた刑法の教授である。

大学の授業とは別に、法学教室に連載されていた「犯罪各論の現在」も愛読していた。
こちらは、結果無価値の立場から書かれていた。

それぞれ行為無価値、結果無価値を貫かれる両教授が、いずれも文書偽造の判例を批判しておられるのがおもしろかった。
出発点も理屈も違っている、それぞれの思考の跡をたどるのにわくわくするような思いがした。

司法試験の口述試験で、文書偽造について尋ねられ、自分の思うところを答えた。
判例は知っているか、と聞かれ、判例を答えると、それ以上は追及されなかった。

実務は、常に理論を貫徹しているわけではない。
しかし、だから、理論を勉強するのは無駄だというのはいかがなものか。
そういう法律家を誰が望んでいるのか。

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Comments

個人情報が含まれているコメントですので削除させていただきます。
お近くの弁護士会で弁護士の紹介業務をしていると思いますので、そちらで相談されるのがよいかと思います。

Posted by: ゆう | 2005.09.05 at 10:04 AM

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