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猶予期間

執行猶予中の被告人が控訴した。
この事件の執行猶予期間は高裁が指定した控訴趣意書提出期限のちょっと後に満了する。

執行猶予期間内に他の罪で実刑判決が出れば、それぞれの判決で定められた懲役期間の合計期間の懲役となるが、後の判決の確定までに執行猶予期間が満了すれば、後の判決で定められた期間だけになる。
被告人にとっては1年以上も刑期が違ってくるから、期間満了前に確定するか否かは切実な問題となる。

控訴趣意書を期限内に提出しなければ、その時点で控訴棄却となって確定するおそれがある。

控訴趣意書には控訴の理由を書かなければならない。
そして控訴理由は法律で定められている。
執行猶予期間満了までの間、判決を確定させないため、というような理由では適法な控訴理由とならない。

本人に控訴した理由を聞いてみる。
執行猶予期間満了のため、とは言わないが、およそ理由にならないようなことをぶつぶつ言うだけである。

本人が理由を思いつかないとしても、法律上原審判決に不備があるかもしれないと思い、判決に違法がないか丁寧に読むが、すきのない判決文が作成されている。

何か理由が見つからないかと記録を丹念に読んでいて、交通事故が土曜の午後に起きており、被害者の傷害が軽微であり、医者の診断書が月曜日に作成されていることを見つけた。
救護義務違反は不作為犯であるから、その前提となる作為義務がなければならない、普通の病院が診療していない時間に軽傷の人を病院に連れて行く義務はない、よって本件では不作為犯である救護義務違反は成立しない、というようなことを控訴趣意書に書いた。

控訴趣意書は適法に受理され、猶予期間が満了した後、控訴審の公判が開かれた。
すると、裁判長は被告人に対し、控訴の理由は何か、としつこく尋ねられる。
被告人が黙っていたら、ついに猶予期間を満了させるためですか、と言われる。

そのために控訴趣意書を提出しているのだから、そういう質問はちょっと反則技、と思った。
仮に被告人がそうだと答えても猶予期間が満了したことも控訴が適法になされたことも変わりがないのだけどなあ。

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