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不正競争防止法(営業秘密の管理)

晴れ。暑い。

不正競争防止法の報告担当だったので、訪問介護サービス事業をする事務所の営業秘密に関するものを選択した(東京地裁平成18年7月25日判決)。
別会社を設立した従業員が介護サービスの利用者名簿を持ち出したというもの。

不正競争防止法の営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものを言う(不正競争防止法2条6項)。

この事案では、「秘密として管理されて」いたかどうかという点が問題となった。
事業所の実態としては、パソコン起動時にはパスワードの入力が必要であったが、パスワードは従業員全員に知らされており、紙媒体としてファイルを保存していたキャビネットは施錠されていなかった。ファイルにはマル秘、社外秘の表示がなされていなかった。
判決では、この事業所では名簿は営業秘密としての管理がなされていなかったとされた。
なお、利用者のプライバシー保護のため、名簿に記載された内容について守秘義務はあったが、利用者のプライバシー保護目的の守秘義務と営業秘密の管理とは違うとされている。

どのようにしていれば営業秘密として不正競争防止法によって保護されたのか、が議論になった。
業務で名簿を使用している従業員に名簿を見るな、触るなということはできない。
秘密として管理することの意味は、行為者に持ち出しが法に触れる行為であることを明確にするためである。
そうすると、紙媒体のファイルにはマル秘・社外秘の記載をし、キャビネットには施錠をし鍵の管理者を置く、日頃から従業員には、名簿は営業秘密であるから、仕事で使う以外に利用をしてはいけないことを繰り返し言う、できればその旨の誓約書もとっておく、ということになるだろうか。
パソコンはちょっとやっかいである。パスワードの管理者が、従業員が見たいときにだけパソコンを立ち上げるというのは不便だ。
研究会では、ファイルを担当者ごとにぶつ切りにして、与えられたパスワードでは、自分の仕事の範囲の分しか見られないようにしてはどうかという意見もあったのだが、ファイルをぶつ切りにすると、全体を把握する必要があるときに不便である。

原告がもう少し営業秘密の管理をしていれば、判決でどの程度のことまでしていれば管理していたことになるのか、またはならないのかが明らかになったのだが、判決を読む限り営業秘密の管理という観点からは何もなされていなかったようであり、あまり参考にはならなかった。
営業上の書類を秘密として管理すると、業務で使用するときに日常的にめんどくさい手続をふまなければならなくなり、非能率である。慣れてきて手を抜けばせっかく管理しようとしていたのにいざというときに管理していないと言われることになる。
業務の能率と秘密管理のかねあいが難しそうだ。

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