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手続法の学び方(本町塾方式)

晴れ。少しずつ気温は下がっているのだろうけれど、相変わらず日差しは強い。

本町塾の宿題の土地収用法のチャート化をしなければならないのだが、初めて読む法律でどの条文が幹でどれが枝かを判断するのはむつかしい。
前回都市計画法を担当した人にどうやって作ったのか尋ねたら、参考書にチャート図が載っているのでそれを活用したとのこと。
早速図書館で土地収用法の本を数冊借りて来て、チャート図を探すとちょっとずつ違う図が掲載されている。
適当に合体させて、枝だと思ったのを切り落としていけばそれなりの形になるだろう。
何度か参考書を読むと、それほど複雑な法律でもないとわかってくる。

本町塾主催者H先生は、新しい法律を勉強するときは、条文見出しを書き出して構造を頭に入れ、次に手続の流れをチャート図(条文番号付)にする、という方針。
初めての法は幹と枝がわからないので自分で図を作るのはむつかしいと言うと、嬉しそうな顔で、それをすれば専門家になれるよ、と仰る。

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灰島秀樹

晴れ。日差しがよいので暖かいというより暑いに近い。
テレビで「弁護士灰島秀樹」を見て、環境問題を正面から取り上げた名作だと感動する。三谷幸喜氏の「合い言葉は勇気」も環境問題を取り上げたコメディで面白かったが、原因の分析に踏み込み、解決策の提示まで行ったことで「灰島」の方に軍配をあげたい。
役者さんがとても上手い。昨年、沖田さとしさんのお話を伺ったときに、芝居は脇役が作っているといいうことを聞いたが、主役も脇役も本当に役をよく作り込んでいる。それがリアリティのない話をリアルに見せている。沖田さんから弁護士役はむつかしいということも聞いたが、それを複数登場させていてそのいずれも上手い。
「灰島弁護士」はキャラ設定ではおたくで受験エリートとされているようだが、ドラマを見ていると頭がよいのとは別に、とても勘がよい人だと思う。勝負勘がいい。大事なことだ。

昨日の報道特集では、奈良市役所のお役人たちが、取材で得た証拠をつきつけられるまでは開き直ったことを言っていた。
きっこのブログによると、川崎市のお役人たちも何か言っているらしい。
高校の履修問題も、役所はうやむやにする方法を考えているのだろう。
午後から大阪市の委員会。
役所の論理と行動パターンがまだ理解できずとまどっているのだが、あちらも私にとまどっている風がある。
きっとあちらからすれば、「弁護士は常識がない」、ということになるのだろう。

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シロアリ

会から会員の皆さんへ「緊急のお願い」というのが届いている。
内容からすれば、「お願い」というのもおかしいのだけれど、10月に入って3人の逮捕がでたことを受けて、非行行為はしないでね、というもの。

東京で、事件屋と組んだ弁護士が次々と見つかったとき、大阪にはその種の事件屋は入って来ていない、と言われていたのだが、そうも言っていられない様子。
東京の事件を受けて、研修会が開かれたことがあった。研修会では、事件屋からの手紙が参考資料として配付された。
多重債務問題は重大な社会問題であること、その救済は緊急を要すること、弱者救済、社会正義の実現のために是非協力してほしい、というような内容が丁寧な文章で書かれている。協力した場合には相応の報酬も支払うと書いてある。
それで、この申し出を受けるとどうなるかというと、まず、事務所に多数の「事務員」が送り込まれてくる。彼らは忙しそうに仕事をしているが、何をしているかよくわからない。約束されていた「報酬」は振り込まれてくる。事務所はそれ以前のものと様相が一変している。
そのうち、「依頼者」からの苦情が弁護士会に届き調査が始まると、「事務員」たちはさっさといなくなる。
後はまるでシロアリに食い尽くされたような事務所が残る。というものらしい。

研修会では、配布された事件屋からの手紙を読んだ弁護士から、こんなのが来たら騙されるじゃないか、という声があがっていた。
弁護士同志のつきあいがある人、研修に出ている人は、非行行為をしないと言われている。主に高齢者が事件屋のターゲットになっているらしい。危険情報にアクセスしないようになると危ないのだが、その危ないという情報が伝わらない。

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裁判の風景

依頼人の説明によれば、相手方はどんな相手でも騙してみせると豪語している人とのことで、さらにその人とは別の詐欺師のような人が間に入って話をややこしくしたと推測される事件。
一審で裁判官が相手方の言い分を認めたので控訴したところ、控訴審では全面的にこちらの言い分が認められた。控訴審の判決の理由では丁寧に相手方の供述の矛盾、不合理さを指摘している。どんな相手でも騙してみせるというのは、その場しのぎの言い訳と雰囲気でごまかすのだから、長時間に及ぶ法廷での供述が書面化されればあちこちにほころびが生じるということか。
こういうのを研修所の課題に使ったら、決められた時間内にいくつ嘘を見抜けるかみたいな起案になって面白いかも。
私も書面を書いていて面白かったけど、現実の事件となるとこんな事件で負けたら依頼人が気の毒だし、忙しい裁判官が丁寧な事実認定してくれるかどうか判決がでるまではらはらする。
判決を聞いて全身の力が抜けた。良い週末になりそう。

上記とは別の事件で、消費者法白書に引用されている判決を参考にしながら裁判所に提出する書面を作成していたが、やはり生の判決文がほしい。検索するが新しいせいでひっかからない。
その分野の専門の研究会に連絡して判決文のコピーをもらおうか、そこまでする必要はないかと考えながら裁判所に行って、相手の反論を聞くとやはり裁判所の説得のために、書証として判決文がほしい。
同じ内容が書いてあっても、私が書いたのと、どこかの(できれば大阪か東京が望ましいのだが)裁判所が書いたのとでは裁判所の受け止め方が違う。権威とはそういうものだと大学で法哲学の教授が仰ったのを懐かしく思い出す。
それにしても、一流の裁判官の書いた判決文は格調が高い。羨ましい。

裁判所から戻ると、判例体系から新しいCDRomが届いており、上書きして試しに検索すると、探していた判決文があれこれ出てくる。
インターネット版に切り替えたら、情報が早くなることはわかっているのだけど・・。

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警察官の職務

快晴。夜になると気温が下がるのだが、日中の日差しはまだまだ元気。

路上で刃物を振り回していた男に警察官が刺され、重体、重傷との記事。もう何度目だろう。市民を守ってのことで、本当にお気の毒だ。

過去の事件を調べたら、こんなのがあった。
刃物を持った男を追跡し、けん銃を使用したことが違法とされ、警察官が有罪とされた判決(最高裁平成11年2月17日)。なお、事件が発生したのは昭和54年である。
近隣住民から不審者が徘徊していると通報を受け、2人の警察官が現場に向かい、Aを発見し、住所等を尋ねたところ突然逃走した。その後再び発見し、近づいたところ果物ナイフを刃先を前に向けて右手に持った。警察官の一人が拳銃を向け、ナイフを捨てるように言うと再び逃走した。
その後Aを再発見し、銃刀法違反等の現行犯で逮捕しようとしたところ、ナイフを振り回して犯行したために発砲した。
Aが逃走したので、拳銃をしまって追跡したところ、Aは立ち止まって、ナイフを捨て、その場にあった杭を拾い上げて両手に構えて殴りかかってきたので警棒で応戦したが、警棒を取り落としたところ、Aがさらに殴りかかってきたので拳銃を撃った。

以上を認定事実として、1審は発砲を適法として無罪、2審有罪。
最高裁の理屈は、ナイフが小型で、抵抗は警察官の接近を阻もうとするに止まっていたのだから、もう一人の警察官が追いつくのを待てばよく、発砲する必要はなかった、というもの。

他方、パトカーに追跡された自動車が別の自動車に追突した事件(最高裁昭和61年2月27日判決)では、およそ警察官は、・・・現行犯人を現認した場合には速やかにその検挙又は逮捕に当たる職責を負うものであって、職責を遂行する目的のために被疑者を追跡することはもとよりなしうるところである、とし追跡に違法性はないとしている。

最高裁の指示に従えば、警察官は、現行犯人を見つけたら職責として追跡しなければならず、かつ相手がナイフを振り回していたら、そのナイフがどのくらいの大きさか瞬時に判断し、ナイフが自分に向けられていたとしても、それが接近を阻む目的か、それを超える積極的な加害行為かを見きわめ、接近を阻んでは逃走を繰り返している相手は根気よく追跡し、最終的には逮捕する、その途中で相手がだれかを傷つけても追跡は適法だから第三者の被害は仕方がない、となるのか。それとも、第三者を傷つける可能性があれば、けん銃を使用しろとなるのか。

なお、平成13年に、国家公安委員会規則が改正され、従前より発砲要件が緩和されたとのことである。

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すべて裁判官は、その良心に・・

快晴。暑い。
久しぶりに大阪弁護士会のHPを見ると「お知らせ」欄に会員逮捕に関する会長談話があったのでクリックすると、9月12日、10月10日、10月11日となんと3件。こんなにあるとは思わなかった。
まさか、同じ文章を使い回しているのではないだろうと開いてみると、9月12日のは定型文のようだが、だんだんと深刻さが増し、10月11日分になると長い。
・・・飲酒運転まであるとは知らなかった。

東京高裁が控訴趣意書の提出をしなかったことで日弁連に弁護人の措置請求をした件で、以前に日記を書いた時には刑事訴訟法の根拠条文を探して見当たらなかったのだが、刑事訴訟法ではなく刑事訴訟法規則に根拠条文があった。
規則303条2項。
前項の場合において、裁判所は特に必要があると認めるときは、・・弁護人については、当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当の処置をとるべきことを請求しなければならない。
前項の場合というのは、訴訟手続に関する法律又は裁判所の規則に違反し、審理又は公判前整理手続若しくは期日間整理手続の迅速な進行を妨げた場合、であり、この場合には、説明を求めることができる、となっている。
高裁は措置請求の前に弁護人の説明を求めたのだろうか。

措置請求を求められた弁護人のための「代理人就任のお願い」と題する文書が届いている。この文書には、「控訴趣意書を提出しなかった経緯と理由」と題する文書が添付されている。
内容を要約すると、次のようになる。
被告人の訴訟能力に疑問があったため精神科医の意見を求めたところ、訴訟能力を欠いているとのことだったので、弁護人が裁判所に公判の一時停止と治療を求めた。
裁判所は鑑定を実施すると言い、口頭で弁護人に対し、鑑定の結果がでるまでに控訴趣意書を提出すれば、提出が期限後であっても控訴成立として扱うと約束をした。
弁護人は裁判所が鑑定をしている間、5名の精神科医に依頼し、被告人の訴訟能力の有無を調べてもらったところ、すべての医師の意見書が訴訟能力を完全に喪失していると結論し、この症状は入院治療によって短期間に回復可能であるとのことだった。
裁判所は、弁護人を欺くようなことはしないと言い、鑑定書が出された後には、これに対する反論書を提出を求めた。
弁護人は裁判所の求めに応じて反論書を提出し、さらに控訴趣意書の提出日を通知したところ、提出日として通知した日の前日に控訴棄却の決定をした。

ここに書かれていることが真実なら、高裁の裁判官ともあろう人達が、突然態度を豹変させたことになる。
反論書の提出が3月15日、控訴趣意書の提出予定日が3月28日ということなので、その間2週間。
ここまで協同して手続きをすすめてきて2週間が待てない、というより後1日が待てないというのはどういうことなのだろうか。
まさか3月末で転勤するので、それまでに事件を終了させる必要があったとは言わないだろう。
そうすると、外部からの何らかの圧力があったのかと疑うことになるが、万一そんな事実が確認されたら、私ならすべての弁護士に刑事弁護からの避難勧告を出して危険地域からの撤退(撤収?)を呼びかける。
規則303条は最高裁が作成した。規則が法律の委任の範囲を超えて違法ではないかという争い方をしたとしても、その最終的な判断は最高裁がするのだから意味ないな。

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著作権(譲渡の準拠法ほか)

曇りときどき晴れ。日差しは強いが曇ると涼しい。
被告が11名か12名(相手を間違えている分は取り下げになったのだろうか?)の訴訟で被告1名の代理人として出席。代理人だけで6名くらい出席している(複数の被告に一人の代理人がついているのと一つの事務所から複数の弁護士が来ているのとでややこしい。)。
9民の合議で、部長はてきぱきと安定感のある訴訟指揮をなさる方なので、訴訟は楽しいのだが、弁護士がたくさんいるだけでも居心地がよくないのに、大阪を代表する大事務所が複数関与していてなんだか・・・。原告代理人は旧仮名遣いで書面を書く人だし(おそらく主義として)。旧仮名遣いが日本語でないと言えれば、法廷で使用できる言語は日本語だけだと言うのだけどそういうわけにもいかない。旧仮名遣いは嫌いじゃないから結構楽しんで読んでいるのだけれど、自分の主張はともかく、引用判決の要旨の記載まで旧仮名遣いにするのは、違和感があるなあ。

不正競争防止法研究会。平野先生の報告というので楽しみに出かける。
キューピー著作権にからんで出した通知が、営業誹謗にあたるか(東京地方裁判所平成18年9月26日判決)。
子どものころによく見たキューピー人形の著作権がどうなっているのかなんて考えたこともなかった。
「日本における著作権」という概念が登場する。
著作権は、その全部または一部を譲渡することができる、という規定により、地域限定での譲渡が可能とのこと。
原告は日本における著作権の一部を有しているのだか、どうやら著作権が二重譲渡されたらしい。
後から著作権を有することになったと主張する被告が、先に著作権を有していた原告の取引先等に、自分が全部の著作権の譲渡を受けたと読める通知を出したというもの。
なお、著作権は裁判の途中(平成17年5月)で保護期間が終了して消滅している。

営業誹謗の裁判では、どういう書き方をすればセーフかということが実務的な興味の対象になるのだが、今回は、「・・・・と主張しています」という部分について、「・・・」が虚偽かどうかではなく、「主張しています」の部分が虚偽かどうかという判定がなされた。
法律実務家でなければ普通は主張の内容と主張しているという事実を区別しないだろうから、この判定方法には疑問が残る。

面白かったのは、準拠法についての判断方法(原告の著作権を認めた東京高裁平成13年5月30日判決)。
著作権の物権類似の性質と譲渡契約の債権的性質の二面性から、譲渡契約の準拠法と物権の準拠法を検討している。登録が可能だから、その他登記すべき権利(法例10条)が適用される、と読むのかな。

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朗報

曇り。
自民党が利息制限法改悪の法案を見直すとの記事。ほっとすると共にとても嬉しい。改悪法案を出しておいて、それを見送っただけだから、喜ぶのもおかしな話だが、よかった。本当によかった。
良寛様が、お金を拾うと嬉しいという話を聞いて、自分の小銭を投げては拾うということを繰り返して何も嬉しくないと思っているうちにお金を見失って必死に探して見つかったときにとても嬉しくて、お金を拾うと嬉しいというのは本当だと思ったというエピソードがあるが、きっと今の私と同じくらい嬉しかったのだと思う。

司法支援センターのことを書く予定だったのだが、こんなに嬉しいときに書く話題でもないので、また明日。

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会社法(取締役の退職慰労金)

曇り。予報では雨になるはずなのだったのだが?さほど涼しくはなっていない。

昨日の報道特集では、今週の国会で利息制限法の制限金利引き上げの法案が議論されると言っていた。
どうしてこんなことになったのかよくわからない。おそらく金融屋さんから金をもらっている議員さんの声が大きいのだろう。
それでも国会議員を選ぶ選挙に行かない人が多いのだから、国民がそれでいいというならそれでもいいや。
大多数の有権者の皆様はサラ金とは縁がなく、欠陥マンションとも縁がないから、選挙なんてどうでもいいのだろう。

会社法。取締役の退職慰労金。
内規より低い金額の退職慰労金しか支払われなかったとして、退職した取締役が、商法266条の3(会社法429条)に基づき代表取締役に対し差額を損害として賠償を請求したが認められなかった事案(大阪高裁平成16年2月12日判決)。

この判決を実務的に考えれば、取締役の退職慰労金は、内規で計算方法が定められていたとしても、株主総会でそれより低い支給額が決議されれば、決議された額を支払えば足りる、となる。

取締役の報酬は、定款又は株主総会の決議によって金額が定められなければ具体的な請求権が発生せず、会社に報酬を請求することができない。退職慰労金が在職中の職務執行の対価として支給されるものであるときにはそれは報酬であるから、支給規定があっても定款または株主総会の決議で定められなければ、取締役が会社に対して退職慰労金を請求することができない。
この事案では、内規にも退職慰労金は株主総会の決議により支払う、と記載されていた。
そうすると、内規は何のために作ってあったのかということになるが、株主総会で取締役会に一任するとなったときに、計算の根拠となるものだそうだ。

大株主の意向によって退職慰労金の額が左右されることになるから、信義則によって内規による額の支払いが認められる場合があるのではないかと思ったのだが、この判決では信義則も検討し、反しないとしている。

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卑怯

読売新聞の朝刊1面のコラムに、秦の時代に権力者が鹿を馬と言い、権力を恐れた人達がそれを黙認した話が書いてあった。そして、現在この話から連想する人物は一人だそうだ。
・・・・そうかなあ。読みながらあれこれ思い浮かんだけどなあ。
本日のきっこの日記

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入学金訴訟(最高裁)

晴れ。なぜかとても暑い。明日から劇的に涼しくなるそうなのだが。
昨日、雅楽の会と同窓会が11月と書いたのだか、いずれも12月の間違い。友新会の先生方、同窓会の幹事さん、ごめんなさい。うっかりしていました。

最高裁で入学金と授業料の返還を求めていた元受験生の上告棄却
入学金訴訟については、原告代理人の中にも大学側代理人の中にも知り合いがいて、ちょっと複雑な気分なのだが、個人的な見解からすれば、入学金の返還はしない、入学前にきちんと辞退の手続をとった場合は授業料の返還をする、というのは妥当な線だと思う。
多めに合格させて先に入学金と一緒に授業料の徴収もして、特に辞退手続を必要としていない大学の場合はどうするのか、というような問題はある。
今後は、新学期が始まる前の時点で、入学するのかしないのははっきり意思表示をするシステムになってゆくだろう。

読売新聞の朝刊のコラムに、司法研修所で100名を超える合格留保者がでたことに関連して、法曹を増加させるだでなく、質の確保も問題だとの趣旨のことが書いてあった。
ようやく、この当然なことに気づいてもらえて嬉しい。
どんな分野でも専門家を養成するには、手間と時間と金がかかる。即席に大量にというのは無理な話だ。受験生自身が勉強に費やした時間だけでなく、大学では、教官たちが貴重な研究の時間を割いて学生の教育をし、司法研修所では優秀な教官方が、長期間実務を離れて司法研修所で教育に当たっていらっしゃった。実務修習でも配属先の弁護士事務所、裁判所、検察庁でご迷惑をかけながら随分お世話になった。
50年以上続いてきた試験のシステムも教育のシステムも変更して短期間に大量に法曹を作り出そうというのが小泉改革、宮内規制緩和だ。
彼らは、人を育てることの大変さなど気にもかけていなかった、というより知らなかったのではないか。
金で買えないものがある。

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地震国に住む国民の願い

本日のきっこの日記にイーホームズの藤田社長の文章が掲載されていました。
内容は、川崎市の建築中のマンションの耐震性に疑いがあるというものです。

私には文章の内容の真偽はわかりませんが、検査会社の社長からこのような指摘がある以上、川崎市は、建物の安全性について調査をし、その結果を公表すべきであると考えます。
このような問題をうやむやにし、先送りにしてよいことなど何もありません。
たとえ、言いがかりだと思ったにせよ、いや、そう思うのであればなおさら、行政は、国民に対して、誠実に行動し、正確な情報を提供すべき義務があると考えます。

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特別法と民法法理

晴れまたは曇り。3度ほど下がるとのことだったが、やっぱり暑い。
昨日の夕方、机の上の山が崩れかけていたので、整理をすると作業領域が拡がって仕事の能率がよくなった。
今回は9月半ばころからの連絡分が積み上がっていて、その中から司法委員会と裁判所との懇談会の出欠回答書が出てきた。期限切れ。送信したのかしていないのか記憶がないが、ここから出てきたということは送信していないのだろう。期限切れなのでそっとFAXする(そっと、という気持ちが果たして受け手に伝わるだろうか?)。

友新会講演委員会と友新会伝統文化研究会とのコラボで京都右京区の「祐斎亭」企画が11月に予定されている。雅楽の会。下見に行った先生の話によれば、市街地の喧噪を離れてカーンという鹿の声が響く浮き世離れした場所らしい。
行きたい。でも同窓会と重なっている。・・・残念。

『特別法と民法法理』(有斐閣 潮見佳男、山本敬三、森田宏樹 編)購入。個人情報保護法、債権譲渡特例法、消費者契約、登記、借地借家法、投資事業有限責任組合等がとりあげられている。
はしがきによれば、本書は、「特別法をも取り込んだ形での私法秩序を構成している基本原理ならびに準則・制度を全体として捉え、民法法理の現在の姿を示すとともに、現代社会におけるあるべき民法法理の姿を描き出す使命をたずさえて、世に送り出されたもの」とのことである。
この長ったらしくもったいぶった文章が、またこの著書の編者たちらしくて、わくわくする。

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21世紀に生きる日本人の責任

晴れ。暑い。地球温暖化なんて気持ちよさそうな響きだけど、本当は地球砂漠化とか地球熱帯化とか地球海面上昇陸地水没化じゃないのか。

イーホームズの藤田社長の声明文がきっこのブログにアップされていた。読むと何ともやりきれない思いがする。
藤田社長の裁判は耐震偽装とは何の関係もない。報道によれば、検察が耐震偽装にこじつけようとしたのを裁判所が証拠がないと一蹴したとのことだった。

『大地の咆吼』に、上海のビルは、地盤が弱いにもかかわらずそれに適した基礎工事がなされておらず、ビルのメンテナンスの問題もあって、10年くらいで資産価値がなくなるだろうが、中国経済、というよりおそらく上海経済というべきかもしれないが、の失速は米国経済の失速を引き起こすおそれがあるから誰も言わない、というようなことが書いてあった。

藤田社長の言うことが正しければ、隣国のことを言っている場合ではなく、我が国の建物が、国民の資産である建築物が危ないのだ。と同時に、国民の生命や身体も危険にさらされている。そして、その事態を国が隠蔽しようとしていることになる。
我が身にふりかかる確率を考えれば、北の核よりこちらの方が危ないのではないか。

永田議員の偽メール騒動で国会での耐震偽装問題の追及はうやむやになっているが、こんなことをはっきりさせずに放置しておいて将来によいことなどない。
藤田社長は、21世紀に生きる日本人の責任として知っていることを述べるとのことだったが、もし内容が真実であれば、彼はまさに言葉どおり、正しく責任を全うしている。

国が国民の生命と財産を危険にさらす事態を隠蔽しているだの、国土交通省だの総理だのその後援会だの検察の国策捜査だの司法記者クラブの保身だのなんだのそういったことは私はいやなんだ。

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国賠(検察官)

晴れ。暑い。ここのところ毎日晴れて暑いのだから、書く必要もない気がする。

朝刊に、大阪地裁で検事の被告人の妻に対する発言に国家賠償請求が認められたとの記事。77万円。不法行為の場合、1割が弁護士費用名目で加算されることが多いから、慰謝料70万円、弁護士費用7万円といった内訳かな?

夫に犯罪を認めるよう働きかけたというものらしいが、どうしてこんなことを言ったのだろう。
親切だったのかもしれないし、被害者に配慮したのかもしれない。

親切というのもおかしな言い方だが、修習生のとき、二つの印象的な刑事裁判の傍聴をした。
一つは、数十万円のマンション管理費の横領で住民から告訴されている事件で、被害額からは信じられないくらい長い裁判となっていた。長期の裁判の間に体調を崩したらしい被告人は、公判で2人の弁護人から、はっきり答えなさい、と叱られながら領収書の説明などをしていた。傍聴席には被害者のマンション住民がたくさん座っていた。どうやら、告訴された当初検察官には罪を認め、数十万円を返還するということで裁判にもならないはずの事件だったのが、奥さんが夫は無実なのにと友人に愚痴ったことから良い弁護士を紹介してあげる、となり、引くに引けなくなったというのもののようだった。
もう一つも否認事件で、公判のたびに被告人が、裁判長、と呼びかけ、もうこんなに長くなるなら認めてもいいです、と言いその後、本当はやっていないけど、と付け加える。裁判長は、弁護人とよく相談してください、と言って退席される。弁護人に無実だと言っていた手前、相談しづらくなっているのではないかと思われた。

検察修習では、検察官から、否認をしていた外国人の被告人から、後になって、認めたら不起訴、執行猶予もありうることを教えてくれなかったと文句を言われたことがある、という話も聞いた。

しかし、本当に親切だったとしても、普通は奥さんに認めさせるよう説得なんてしない。
そうすると、被害者は女児で、裁判所に呼ばれて被害を人前で話しをするのは負担だろうし、可哀想だ、と思ったのかもしれない。

いずれにせよ、裁判では検察官と被告人は対立当事者なのだから、相手に、または相手の家族に働きかけるというのは、本当に余計なお世話なのだ。
民事裁判で、弁護士が相手方の妻を呼び出して、夫に示談に応じるように言った方が得だよ、とは言わないだろう。
検察官と被告人とが裁判では対等の当事者だという自覚があれば、こんなことにはならなかったと思う。


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提訴前の証拠収集の処分

晴れ。秋晴れ。日中は暑い。

昨日の会派幹事会での民事訴訟法シンポジウムの報告をする。直前まで持ち込んだ六法で条文を確認していたのだが、なんとか無事終了することができ心底ほっとする。
シンポジウムの主な内容は、訴え提起前の証拠収集処分と争点と証拠の整理手続き。
シンポジウムの準備から当日のナレーションまで活躍された片山登志子先生から、シンポジウムを聴くよりよくわかる報告だったとねぎらいの言葉をいただくと、時間をやりくりして準備してよかったいう気分になる。
山口先生からはレジュメがほしいとのメールがある。勉強好きの先生らしい。手元には拙いメモしかなく、恐縮する。

幹事の一人のT先生が、平成18年8月31日時点で大阪地裁で14件しか例がないという訴え提起前における証拠収集処分の申立の内1件は自分がしたものだと名乗りをあげられた。
誣告され20日間警察に勾留された人からの依頼で、誣告した人に対して警察にどのように告げたのかの問い合わせをし、次いで検察庁に文書送付嘱託をして訴えの内容を確認し、相手の嘘を裁判所で明らかにしたとのこと。
鮮やかなお手並みでした。こういう使い方ができるのかと一同感心する。

報告が終わってほっとする間もなく、ラジオ原稿の提出期限が迫っている。
冷凍保存精子の事件をとりあげようと親子関係の原稿を書いていると母子関係の裁判のニュースがあり、さらに政府の法整備の動きまででできた。短い解説でどこまでとりこめるか。

東京地裁で即決判決第一号が中国人というニュース。
執行猶予のつく出入国管理法違反の事件がこの制度に馴染みやすい類型の一つであることはわかる。
だから、こういう報道の仕方をする方もする方だけど、こういう取り上げられ方をすることに気をつかわないのも裁判所らしい。
せっかくだから第一号は日本人にしておけばよかったのに。

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あさがおの会HPのアドレス

あさがおの会のHPでめぐみさんの写真を公開しているというので探したのですが、公開しているというニュースばかりがひっかかり、なかなか目的の頁にたどりつけませんでした。

あさがおの会のHPのアドレスはこちら。
http://asagaonokai.jp/

アクセスが集中しすぎて、現在は閲覧不能とのことですが、しばらくすれば再開していただけるとのことです。
現時点でも、トップページに掲載されている、満開の桜の下の入学式直後のめぐみさんと、拉致されて間もないころのめぐみさんの写真を見ることができます。

一日も早い帰国を願ってやみません。

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内縁最高裁判決

晴れ。
午前堺支部、午後某市役所。3時間で8人。水面で酸素を求めてぱくぱくしている金魚の気分。次々現れる相談者と話しをし続けていると頭がくらくらする。その後会派幹事会で先日の民訴シンポジウムの傍聴報告。

代理母の外国判決承認で驚いていたら、実の母が娘の卵子で出産とのニュース。
臓器移植と生殖医療はやはり似ている。技術がある限り、それを利用して何が悪い、ということか。

JR西事故被害者交際女性が自殺とのニュース。
内縁関係はかなり婚姻に近づけた解釈で運用されているが、相続に関しては、内縁と婚姻とははっきりと区別されている。
JR西が彼女を遺族として扱わなかったとのことだが、彼女に相続の権利を認めると、被害者の親族がとの関係で問題が生じる。法律が同居人に相続を認めていないのだから、JR西が彼女を交渉相手としなかったのは当然のように思われる。

内縁関係の最近の最高裁判決。
刑法244条1項は、内縁の配偶者には類推適用されない。(最高裁平成18年8月30日判決)。
配偶者、直系血族又は同居の親族の間で窃盗をしても刑は免除される(244条)のだが、内縁の配偶者が窃盗をした場合には、刑は免除されないとのこと。
法は家庭に入らず、というのが立法趣旨なら、内縁だって家庭には違いないと思うのだけれど、刑の必要的免除だから、免除される範囲を明確にしておく必要があるとの理屈がつけられている。
刑罰を受ける行為を明確にしておく必要がある、というのならわかるのだけれど、刑罰を免除される範囲を明確にしておく必要がある、というのがよくわからない。
刑罰を免除する方向なのだから、多少曖昧でもかまわないように思うのけれど?

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東京高裁決定(代理母)

晴れ。10月にしては今日も朝から暑い。キンモクセイの香りが日ごとに強くなるのがせめてもの季節感。

代理母契約をした両親を子の親として戸籍の受理を命じた東京高裁の決定文が裁判所のHPに掲載されていた。
今まできっちり新聞記事を読んでいなかったせいか、手続としては、ネバダ州裁判所の命令の承認をした決定というのを知らなかった。ネットで検索すると、朝日はネバダ州裁判所の命令を重視しと書き、読売は外国判決の承認であることに触れていない。

東京高裁の決定書には、「我が国の民法の解釈では、抗告人らが本件子らの法律上の親とされない」と明記し、「外国の裁判に基づき抗告人らを本件子らの法律上の親とすることに違和感があることは否定することはできない。」としている。
また、「法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会において、外国で代理懐胎が行われ、依頼者の夫婦が実親となる決定がされた場合、代理懐胎契約は我が国の公序良俗に反するため、その決定の効力は我が国では認められないとする点に異論がなかった」、という認定もしている。
さらに、ネバダ州は、合衆国の統一州法委員会全国会議が起案した統一親子法とは異なる法律を有していることも認定されている。

国際私法の講義で、合衆国には短期間滞在して一定の手数料を払えば離婚できる州法を持つ州があるので(今でもそうなんだろうか?)、離婚するならそこの州に行って・・・という話を聞いたことがあるけれど、これもネバダあたりではなかったっけ。

それでも東京高裁が戸籍の受理を命じたのは、日本の民法の解釈では出産した女性が母とされているが、代理母契約で出産した女性は子の母となることを望んでおらず、ネバダ州裁判所も代理母を依頼した者を母としたため、依頼者を母とする州裁判所の命令を認めなければ、子に法律上の母がいなくなる、というのが受理を命じた実質的な理由だろう。

州裁判所の命令を認めなければ、父は認知により法律上の父となり、母は養子とすることにより法律上の母となる、という方法もあるだろうが(民法の規定には母の認知の制度もあるが、他人が出産した子を認知することは可能だろうか?)、子の福祉という点からすれば、血縁関係にある両親の実子とするのが望ましいだろう。
どのような親子関係を法律上の親子とするのかは民主的手続を経て制定された法律に定められているのだが、親の自己決定権は法律の上をゆくのか?医療技術に追いついていない国民意識が悪いのか?

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刑事弁護科目

晴れ。10月にしては気温が高い。
核実験するかどうかは米国の態度次第という見出しが出ているが意味がよくわからない。どうして外国の態度と自国の実験とが結びつくのだろう?実験をするのがどうして脅しになるのだろう。既に1度しているというのに。
二度目もしたければしたら?その結果は自分で引き受けてね。国民(人民?)はお気の毒だと思うけど。

司法研修所の2回試験の追試が来年から廃止されるとのニュース。
追試がどうとか言われても、私の期は全員追試なしで卒業したからよくわからない。
2回試験は絶対評価なのだから、そこそこ人並みなことを書いていればなんとかなる試験だと思う。
留保者・不合格者合わせて107名という数から考えると、「人並み」を間違っていたのじゃないか。
ロースクールの学生さんたちの言い分を見ていても不思議だったのだけれど、一緒に遊んでいる人の中から何人か不合格がでるのではなく、一緒に遊んでいるとその全員が落ちるだけ・・・・。

精神論はともかく、私が研修所で最初にとまどったのが、検察科目と刑事裁判科目と刑事弁護科目の違いがわからなかったことだ。
司法試験の分類からすれば、内容はいずれも刑事科目で、研修所の講義で使用する事案の内容もよく似ている。あの窃盗とこの窃盗はどう違うのだ、この殺人とあの殺人とで答案の内容をかき分けなければならないのか。
・・・・などと考えてはいけない。
研修所の答案は、誰の立場にたっているのかから考えて書こう。
現実の裁判でも、検察官、弁護人、裁判官は同一の事件に立ち会っているが、同じ主張をしているわけでも、同じ内容の書面を作成しているわけでもない。
刑事弁護科目で留保が多いということだが、もともとこの科目は答案を書きにくい。誰が見ても無罪だとか、誰が見ても被告人に同情すべき事案なんて使われていない。
ペリーメイスンシリーズだって、最初はすべての証拠が依頼人を犯人だと指していて、絶体絶命みたいな状況から鮮やかな逆転劇になっているだろう。
そこまでとはいかなくても、弁護士になって、記録をざっとみて、こんなの無理だと思ってもあきらめるわけにはいかない。
新たな視点を披露し、聞き手の事件に対する見方を変えさせる。こんなおもしろいことがあるだろうか。
刑事弁護科目の答案を書くときには、ペリーメイスン(その他お気に入りのヒーローに)になりきってどうぞ。


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契約締結上の過失

雨のち曇り。
日経PCの法律クイズに、リンクが著作権の侵害にあたるかというのがあり、日記に時々ニュース記事を引用させていただいていることを思い出し、まさかと思いながらこわごわ解答頁を見る。・・・・私、何やっているのだろう?

下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に下請けの仕事の準備作業を開始した場合において、施主が下請業者の支出費用の補填等の措置を講ずることなく施工計画を中止することが不法行為に当たるとされた事例(最高裁平成18年9月4日判決)。
特段の事情の有無、賠償すべき損害の範囲について審理を尽くさせるために原審に差し戻し。

施主と元請の関係なら、契約が成立することを相手方に信頼させたため、相手方がその信頼に基づいて出費した費用を賠償させるために、「契約締結上の過失」という技術を用いることができる。
本件は、元請ではなく、下請けであり、施主と直接の契約関係に入ろうとしていたわけではないから、実質は似たようなものでありながら、契約締結上の過失という概念は使えない。
原審は、設計監理を委託された者との契約に基づいて準備作業がなされていたものと推認するのが相当なので、設計監理を委託された者との間で解決をすべきとした。
これに対し、最高裁は、設計監理を委託した者から、準備に要した費用はその者が負担するとの説明を受けていたなどの特段の事情がない限り、施主の了承があったために下請け契約を確実に締結できると信頼して準備作業を開始したというべきなので、施主は準備作業に費用を費やすことを予見し得たというべきである、とした。

契約締結上の過失を、契約責任の一種としてではなく、不法行為の一類型として考えた方が理解しやすいのではないか。

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大審院判例変更

強制執行を受けた債務者が、その請求債権につき強制執行を行う権利の放棄または不執行の合意があったことを主張して裁判所に強制執行の排除を求める場合には、執行抗告または執行異議の方法によることはできず、請求異議の訴えによるべき、との最高裁決定。
平成18年9月11日第二小法廷決定。

不執行の合意があれば、その債権を請求債権とする強制執行は実体法上不当なものとなるが、合意は、債権者に強制執行の申し立てをしないという不作為義務を負わせるにとどまり、執行機関を直接拘束しない。
だから、強制執行が民事執行法上直ちに違法となるわけではない。
実体上の理由に基づいて強制執行を阻止する手続きとしては、請求異議の訴えの制度があるので、執行抗告の手続きではなく、請求異議の手続によるべき、とされている。

ふうんと思いながら読んでいたが、これと見解を異にする大審院の判例は変更すべきである、との一文を読んでびっくりした。大審院は大正15年、昭和2年、昭和10年と3度判決をしているというのに。
大審院判例を信じて最高裁まで争った抗告人はお気の毒だ。
判例変更が小法廷でできるというのも知らなかった。
裁判所法10条には、小法廷で裁判をすることができない場合が1号から3号まで掲げられている。
3号には、憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき、となっている。
今回の決定は、民事訴訟法の解釈について、大審院の裁判に反していると思うのだけれど、最高裁判所というのは文字どおり最高裁判所だけを指し、戦前の大審院は含まれないということなのだろうか。

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母子関係

晴れ。朝夕はともかく、日中は暑いくらいの日差し。
裁判所の北門にはいつも法輪功の支援者の方が写真を並べている。
とても正視に耐えないような写真なので、せっかく並べている方には悪いがなるべく見ないようにして通り過ぎている。
裁判所の前で誰にアピールしようとしているのだろうか。ここから出入りする弁護士なのだろうか。長期間ここで写真を並べている意図がよくわからない。
もっとも最近の臓器移植のニュースを見ていると彼らの言っていることがあながち嘘や誇張ではない気がしてくる。
この国と何かを一緒にするのってとても大変だと思う・・・などとのんびりしたことを言っている場合ではないのかも。
放射能が流れてくるかどうかと心配になるが、そんなことを言えば中国からだって汚染物質がいっぱい飛来しているのだからこの二つの国は50歩100歩だと思うのだが、そんなことを言っていても仕方がないから、とりあえず隣の大国を文明国扱いしてなんとか難民のダムが自爆しないように抑えてもらわないといけないのか。

品川区が東京高裁の決定を不服として許可抗告をしたとの記事がでていた。
子どもの母は出産した女性か、出産を依頼した女性かという問題。
依頼した女性が母だとすると、依頼した後に死亡し、その後に子どもが生まれても死亡した女性が母ということになる。もっとも、父の場合には出産前に死亡していることもありうるからかまわないと言えばかまわないのかもしれない。
いや、その場合は子の福祉のために、産んだ女性の子だとなるのだろうか?
懐胎時に卵子提供者が死亡していれば、先日の最高裁判決の枠組みでは、母に対する認知請求ができないだろう。
そうすると、卵子提供者が子の出生時に生存している場合に限定して卵子提供者が母となるのか。
それなら卵子の提供を受けて、子をほしい女性が出産するとこの場合はどうなるのだ。
もしかしたら、子の母は、卵子提供者と出産者と出産を依頼した女性との間の契約で決まることになるのか?
・・・母ってなんだろう?

臓器移植と、受精卵を他人に託して生まれて来た子を受け取るという行為がどこか類似しているように思えてきた。
ヒトってなんだろう。

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総合法律相談センターの新サービス

小雨後晴れ。台風が通り過ぎたのだろうか。夏に戻ったような日差し。

ボリュームのある仕事を直前まで放置すると困ることになるという自覚はあるので、忘れないように机の上に出しておくと、今度はそれらが机の上を占拠して仕事の能率を下げるので、さらにたまってゆく。
その他、そのうちに読もうと思っている雑誌やそのうち返事をしようと思っている各種案内のFAXなどがどんどん積み上がってゆく。それがさらに非能率を推し進めて・・・・・・。

会相談課から新規名簿登録の連絡。新しいサービスを始めるのでそれに対応する名簿らしい。弁護士紹介希望者のうち、サラ金相談については、会館に一度来ていただかずに直接紹介先事務所に行っていただくというもの。
会の受付では、紹介希望者の相談内容を聞いて、法律問題か否かを振り分けていたのだが、サラ金相談であれば資料を確認しなくても法律問題だからということらしい。
10分くらいの電話で内容を確認して、紹介先を探して紹介するシステムらしい。面談でもサラ金に不慣れな弁護士が対応すると本人の言うことを鵜呑みにしてしまい免責の見通しが甘かったりするのだが、電話相談になるとより正確な事情の把握はむつかしくなる。会による紹介の際の事案説明は、とりあえず本人はそう言っているのね、という程度になりそう。

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民訴シンポジウム雑感

曇り時々小雨。涼しい。

先週の土曜の民事裁判シンポジウムの会派幹事会向け報告書を書かなければならないのだが、他の用事の後回しになってなかなか進まない。
パネリストに京大の山本克巳教授、大阪地裁の森裁判官をお迎えし、会場には東大の高橋教授や神大の鈴木教授など豪華な顔ぶれ。
テーマは「新しい民事訴訟を活用できているか」。

もっぱら実務の運用が話題になったために、森部長が「また私ですか、疲れました」と途中で冗談を仰るほどの活躍。
せっかくパネリストとして山本教授に来ていただいているのに、山本教授のことをよく知らないのではないかと思われる司会が上手く話をふらずにちょっともったいない気がした。
法社会学の先生もパネリストとしていらっしゃったが、想像力が欠如しているのか、思考が固いのか、どうしてこんなに自分の視野からしか物事を見ることができないのだろう。

司会が、市民の方からいくつかの質問が寄せられているというのを聞いて、ちょっと驚いた。
民事訴訟法は言うまでもなく手続法で、法律の中でも技術的な分野だ。
陪審員制度をとっている合衆国の刑事裁判でも、手続に関しては、専門家だけでやりとりをしている(実際に見たことはないが、アメリカの映画や小説だとそうなっているからそうなんだろう。)。

会場から感想を述べた高橋教授は格好よかった。受験生のときこの人の「民事訴訟法講義ノート」で勉強をした。無味乾燥に思えた手続法が生き生きと語られていた。
教授は、シンポジウムの間中ときどき感じてした違和感をずばりと言葉にしてくださった。「訴訟が迅速になされているのはわかった。しかし、適性と充実はどうやって達成するのか」。
集中証拠調べをすると、1日ですべてすむので、記録を読み返さなくてよいし、裁判官は全体像がわかりやすい。しかし、相手方が提出した陳述書だけから、主尋問の内容を想像し、反対尋問の準備をしなければならない。主尋問の内容を検討し、新たな証拠を探して反対尋問で主尋問の虚偽や矛盾を暴くということができないのだ。
特にアンフェアな相手にあたると困る。

鈴木教授の感想の言葉はもっと心地よかった。立法は妥協の産物だ。私が173条を入れるのをやめようと言ったのに、ある弁護士が強行に入れることを主張した。議論に時間がかかるのを考えて妥協した。今、実務で結果陳述がなされていない、する必要がない、というのを聞いて、妥協しなければよかったと思っている、というような内容だった。
民訴法が改正されたときに、173条はどうやって使うのか同僚と議論したことを思い出す。
法社会学のパネリストの教授は、結果陳述をするのが望ましいと仰ったが、それはないだろうと言いたくなるような理由が付されていた。

地裁本庁以外の裁判所でだが、登録間もないとき、弁論準備で裁判官が何もしないのに驚いて、争点整理をしてください、と言って嫌な顔をされたことをふと思い出した。
今では、そういうことは言わないようにしている。

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在庫一掃

曇りのち雨。気温は快適。
葉玉さんからブログを引き継いだサミーさんデビュー・・・なのだが、キャラまで設定されて初心者ですとおずおず書き出されていてほほえましいというかお気の毒というか。

ラジオのネタとして適当なものはないかと探しているのだが、話題性のあるものといえば臓器移植、飲酒運転くらいしか思いつかない。
臓器の移植に関する法律を読んで、ジュリストの特集号を図書館に借りに行こうかと思ったのだが、法律と規則を読んでいるうちに気持ちが悪くなってきて躊躇。だいたい夕方のラジオで、臓器だとか、脳死だとかいう単語が雑談風に楽しく語られ、法律を守った正しい移植をしましょうね、とアナウンサーが締めくくっているのを想像するとなんだかちょっと・・・・・・。
飲酒運転は大阪府警の持ち時間にでも話題にすればいいんじゃないか。飲酒運転をしちゃいけないことは、弁護士から法律の説明聞かなくてもわかっているだろう。飲んだら善悪の区別が付かなくなる体質で、運転開始時点に責任能力がない人はどうなるの、なんておたく的話題が適当とも思えないし。

新法紹介なら消費者契約法の改正だけど、既に他の担当者が使ってしまっているような気がする。
センターは私の守備範囲じゃないし、大阪弁護士会の土曜日相談が始まりますっていうのは一言ですんでしまうし。

困ったとき用の在庫から探すしかない。親子、相続、遺言状あたりか。

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パートと正規雇用と

晴れ。日差しが強い。

友人の事務所の事務員さんが時給だと聞いて、月給にした方が給料の計算が楽なのにと思ったのだが、育児の都合で短時間しか勤務できない本人の希望らしい。

某市が母子家庭の母の雇用の促進のための施策をしているというので、よいことだと思ったのだが、内容を聞いてみると週30時間勤務することが必要とのこと。幼児を抱えているお母さんはこれをクリアするのがむつかしい。
なんだかなあ、と思ったのだが、パートよりも正規雇用の方が本人の保護になるからという。

育児中のお母さんはどうしたらよいのだろう。子どもが学校に行っている間だけ働きたいというのはだめなんだろうか。働く人はみんな正規雇用がよいのだろうか。
テレビで韓国で格差が拡がっていると報道していた。非常に多くの職種で低賃金の非正規雇用となっているのが賃金格差が生じる原因のようだった。
フレキシブルで自由な雇用関係がいいと言っているとパートが多くなり、賃金格差が問題になるのかなあ。
子育てをしながら働きたいお母さんと、パートより正規雇用がいいというお母さんと。どうしたらいいのだろう。
中国人留学生の友人は平日は保育園で過ごし、週末だけ自宅に戻っていたと言っていたが、幼児の親が働こうと思ったらこのくらいしなきゃだめなのだろうか。

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相談先

雨。涼しい。
葉玉さんの日記によれば、本日付で特捜部に異動とのこと。今後の活躍が大いに期待できる。楽しみ。

今日から司法支援センターが開業とのこと。何をする所なのか今ひとつよくわかっていなかったのだが、朝刊の記事によれば、東京のセンターに電話すると適切な相談先を教えてくれる機関となっている。そういう話は以前にも聞いたことがあったのだが、マスコミのこれまでの取り上げ方から、もっと何かしてくれるのではというイメージをもっていた。
相談先って、わざわざ東京まで電話して聞かなくても市役所、区役所、消費者センター、弁護士会などどこでもあるじゃない、電話帳だってあるし、と思うのだが、地方だとアクセスがよくないのだろうか?

読売新聞の記事では、弁護士業を圧迫するから法律相談はしない、と書いてあったので、ネットで読める他の社の記事を見てみたが、そういう解説をしているところはない。
定型的で簡単な質問(不法行為の時効は何年ですか等)に対する質問には答えてくれるという話を聞いたことがあるのだが、まだ体制が整っていないのだろうか。
それとも、個別の事案の法律相談を電話でしないのは弁護士に遠慮してという意味なのだろうか。
そうであるならこの記事はおかしい。そもそも個別の案件を電話でしている弁護士はいないと思う。
回答に必要な情報を正確に抽出し電話で伝える能力のある人は相当な能力のある法律家だろう。5分や10分の電話では自分の置かれた状況を説明することも困難だろう。かといって1回の電話に1時間くらいかけていると、コールセンターは繋がらなくなる。
しかもこれをしようとすると、1台の電話に一人弁護士を常駐させ、その給料を国が支払う必要がでてくる。ここまでしても電話で聞き取った限りの事情を前提にすれば、という留保付きの回答しか出せない。
記者のセンスが悪かったのか、過度の期待感を持たせたセンターがいけなかったのか。

ところで、どこに相談にいってもうちではないと断られた人からの電話はどうするのだろう?
以前、自分が死んだら葬式を出して遺骨を菩提寺に持って行って墓に入れてほしい、という相談があった。それは法律相談ではないと言うと、それなら誰に頼めばよいのだと言われた。誰だろう?

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