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差押えと譲渡担保(最高裁)

晴れ。散歩に適した美しい季節。

譲渡担保と差押えに関する最高裁判決(平成18年10月20日)。
不動産の譲渡担保の目的物に対し譲渡担保権者の債権者によって差押えの登記がなされた後に譲渡担保設定者が全額弁済をした場合、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるか否かについて。
最高裁は、弁済期の前後で分け、弁済期の到来後の弁済によっては不許を求めることができない、とした。

事案の解決にはそれで十分だったと思うのだが、最高裁はさらに法律論を展開し、弁済期の到来前に差押えの登記がなされた場合は、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して不動産を受け戻したときは、第三者異議の訴えにより不許を求めることができるとした。

差し押さえた側からすれば、譲渡担保の弁済期がいつかはわからないし、原因欄が売買等譲渡担保以外の事項が記載されていれば譲渡担保であるかどうかもわからない。
設定者による弁済が未了であり、設定者に資力があるとわかっていれば、不動産の差押えではなく、債権の差押えを選択するだろう。
弁済期が到来しているか否かという偶然の事情により、不動産の差押えが空振りに終わるかどうか決せられるうえ、債務者(譲渡担保権者)が知らない内に設定者から弁済を受けていて、差押えが空振りになってからその財産を差押えようとしても他の債権者に弁済されてしまっていて債務者は無資力ということもありうる。

他方、本件事案では、設定者は全額弁済したのに担保目的物の受け戻しができない。
譲渡担保権者の二重取りになるから、不当利得返還請求はできるだろうが、弁済後に担保権者が無資力になれば、返還を受けることができなくなる。
債務の弁済期が徒過した後に差押えの登記がなされた場合は、譲渡担保権者に弁済をしても担保目的物は戻らない。差押え債権者と交渉した方がよい。

ところでこの判決の内容からは、弁済期前に設定者が全額弁済をしたのに、譲渡担保権者に登記が残っていた場合は、差押えが優先するはずである。
設定者が不許を求めることができる要件に、弁済期前の弁済だけでなく、受け戻しまでが要求されているからである。
94条2項の類推なのだろうか。それとは無関係の要件なのだろうか。

・・・ここまで書いて裁判所に出かけたのだか、5分ほど歩いているうちに判決のロジックがわかった。
こういうことではないか。
差押え登記→弁済かつ受け戻し→弁済期到来 第三者異議での不許申立可
差押え登記→弁済期到来→弁済かつ受け戻し 不可
差押え登記→弁済→弁済期到来         不可
弁済期到来→差押え→弁済         不可

なお、弁済期到来→弁済→差押え で譲渡担保権者に登記が残っていた場合について言及されていない。この場合に94条2項類推の可能性があるのではないか。

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