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取締役の責任(ダスキン高裁判決)

晴れ。春先のような日差し。

ダスキン大阪高裁判決で、賠償額が地裁の半額になったとのニュース。
過失責任における損害賠償額は(過失)行為と相当因果関係のある範囲に限定される。
地裁の認定した額は、未承認添加物が使用されていたことが発覚したことによって生じた騒ぎを収拾するために要した費用全額が損害額であるとし、その全額を賠償の対象した。
仕入れた商品に未承認添加物が使われていたことが発覚した時点で公表をしても、既に販売していたのだから似たような騒ぎがおき、その収拾に一定の費用がかかる。
歴史にifはないと言われるように、仮にある時点で公表していたら、どの程度の費用がかかっていたかはわからない。
半額というのはどこから出てきた金額なのだろう。

50億にせよ100億せよ個人が支払うことのできる金額ではないだろうから、言われた側にしてみれば半額になってもたいした違いはないだろう。
取締役は、会社に損害を与えようとして恐喝者に金を渡したのでもなければ、公表を遅らせたのでもない。会社に損害が発生しないようにと考えての行動だったのだと思う。
この判決でわかることは、会社に事故が発生したときに、公表が遅れた場合には、会社に発生した損害の内半額を取締役個人が負担しなければならないということだろう。
他方、事故を公表すれば確実に会社に損害が発生するうえ、事故の責任を取締役個人が負わされる可能性もある。
公表が遅れれば、損害額が増えるだろうが、倍にまでなるかどうかはわからない。もしかしたら早期に公表しても処理費用は同額程度かかったかもしれない。

早期に公表しても、遅れて公表しても、会社には損害が発生し、担当取締役は早期に公表した場合でも事故の責任を負わされるだろうが、公表が遅れたらそれにその分の責任が追加されて巨額の負担となる、ということだろう。
取締役個人の損得から言えば、永久に発覚しないと自信がある場合以外は、早期に公表する方が得、ということになる。
ということは、地裁高裁のダスキン判決は、取締役に事故の早期公表を動機づけるもの、という位置づけとなるのだろうか。

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「会社法」カテゴリの記事

Comments

 ダスキン元取締役、顧問弁護士には相談しなかったんでしょうね。その点が、そもそもなぜに?と思ってしまいます。せっかく顧問料を払っているんだから、会社としての対応が問われそうな事態になったら、とりあえず顧問弁護士に相談すればいいのに。不思議です。
 交渉の相手方でも、「うちの顧問はM先生ですから」と大手事務所のベテラン弁護士の名前を意味なく告げてきながら、いざ交渉、合意書作成となっても、どうも弁護士に相談している様子がないときがあります。
 まったく不思議です。

Posted by: マツイ | 2007.01.19 at 06:45 PM

マツイさま
コメントありがとうございます。
私も一度相談に来ただけで顧問契約もない会社社長に「うちの顧問弁護士が」と交渉相手に告げていると言われて絶句したことがあります。
反面、顧問契約をしているのに、事後連絡で、どうして事前に連絡をくれなかったのかなあ、と思うこともあります。
ところで、ダスキンより不二家の方が気になりませんか?内部はどうなっているのだろう?

Posted by: 悠 | 2007.01.20 at 12:11 PM

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