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特許と独占禁止法

曇り。十分に暖かい。

独禁法実務研究会に初めて出席する。報告はF先生。事案は大阪地判平成18年1月16日判時1947号108頁、特許権者が他人に通常実施権を許諾する場合に、製造販売数に上限を設けることが独占禁止法に違反し無効となるか、というもの。26民(知財部)は契約を有効と判断。

今まで知財の研究会には何度も出たことはあるが、独占禁止法の研究会は初めて。だから、特許権者がライセンス契約で数量制限をしてどうしてそれが無効なの、という感覚になるが、独禁法の研究会ではちょっと違った雰囲気のようだ。
この契約のややこしいところは、自治体に納品するしかない商品で、九州北部の自治体(複数)がその特許を仕様として指定していることだ。
自治体ごとに商品が微妙に異なるようで、ライセンス契約は、自治体ごとになされ、製造数の上限が定められ、上限を超えて製造するときには、特許権者に製造を委託するようにとなっている。
許諾数までの製造にはライセンス料は不要である。

判決に書かれた事実経過によると、契約違反で訴えられた被告は、独占禁止法に違反し、従って公序に反し契約は無効と主張した。
独占禁止法に違反しても、ただちに私法上契約が無効となることはなく、独禁法違反であってかつ公序に反してようやく無効となるのだから、「従って」の一言では足りないのではないだろうか?

この契約の仕組みで、特許権者は何を意図してるのだろう?
被告は、許諾数を制限することで、原告の販売数(シェア)を確保するものと主張し、その証拠に被告が原告の特許を無視して大量に生産すると、販売単価が安くなったと主張した。
特許のあるものを特許権者に無断で製造すればそりゃあ安くなるだろう。単なる特許侵害じゃないのか。
被告は、許諾数を超えて販売したいときには、原告に製造を委託することとなっているが、実際には、原告には委託されても製造するつもりはなかったというような主張もしている。
原告にすれば、委託があれば、自治体に売るかわりに委託者に売ればよいので、委託を無視する必要もないのでは?
自治体の必要枚数は決まっているから、自治体が必要とする以上の枚数を被告が作りたいというはずもないし。

被告は、福岡県内で製造している業者は原告と被告だけで、他の業者は原告から購入して販売しているので、被告の破産をねらった嫌がらせだとも主張している。
これを言うなら、そもそも九州北部の自治体(複数)が言い合わせたように特定の特許を仕様として指定したところに問題があるのではないのか。
なんだか問題の方向が違っていて、これはむしろさんずいを疑わせる事件に見えるのだが?

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