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種類物と不当利得

曇り。寒くなるとの予報だったのでハーフコートを引っ張り出す。

株券の交付を受けたが、名義の書き換えを怠っている間に、株式が分割され、株主名簿上の株主である譲渡人に新株券が交付された。譲渡人が配当金を受け取り、受け取った株式を売却した後に、譲受人が譲渡人に対し株券及び配当金の引き渡しを求めた事案(最高裁平成19年3月8日判決)。

1審は口頭弁論終結時における新株式の価格相当額及び配当金の支払いを命じた。
原審(東京高裁)も高等弁論終結時またはこれに近い時点における価格相当額で算定するのが返還を請求できる金額だとした。
ただ、一審では約2680万円とされた価格が原審では約1867万円とされた。裁判をしている間に、株価が下落したらしい。
最高裁は、一審と原審が算定の基準とした口頭弁論終結時の株価で算定するという方法を否定し、昭和18年の大審院判決を引用し、「受益者は、法律上の原因なく利得した代替性のある物を第三者に売却処分した場合には、損失者に対し、原則として、売買代金相当額の金員の不当利得返還義務を負うと解するのか相当である」とした。

市場で調達できるもので物に個性がないのだから、買って返せばよいのじゃないかとか、口頭弁論終結時の株価相当額を渡してもらったら自分で市場で買えるから問題ないのじゃないか、とか思うのだけれど、最高裁は、不当利得は「公平の観念に基づいて受益者にその利得の返還義務を負担させるもの」だから、売却後に価格が下落したり無価値になったりしたら、全部または一部の返還を免れたことになるし、価格が高騰したら受益者が現に保持する利益を超えて返還義務を負担することになるがこれも公平ではない、とする。

わかりやすい規準ではある。
しかし、株価が下落している場合には、確実に口頭弁論終結時までに売却していたと立証できるなら、その時点の株価との差額は損害賠償請求を別にたてたらよいのだし、反対に株価が高騰しているときには、売却時の代金を返してもらっても、不当利得されたのと同数の株式は購入できない。
金銭賠償は不当利得された株式の返還に代わるものなのだから、口頭弁論終結時の株価でよいのではないだろうか?


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