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将来債権譲渡に関する潮見教授論説(NBL856)

晴れ。風は涼しい。
朝からヘリコプターが飛び回っている。
大きな事件の裁判があるときに裁判所の上空を旋回していることはあるけれど、それにしても飛んでいる時間がちょっと長いような気がする。

NBL856号の論説は「将来債権譲渡担保と国税債権の優劣」(潮見佳男)。
平成19年2月15日最高裁判決。
将来債権を目的とする債権譲渡担保無為が締結され、第三者対抗要件が具備された後に法定納期限が到来し、その後に債権が発生したときの国税と譲渡担保との優劣について、原審の東京高裁が国税が優先するとしたのに対し、譲渡担保が優先するとしたもの。

金融機関にとってとても重要でありがたい判決だったようだが、それほど興味はわかなかった。
NBLは以前この判決について大勢の人から短いコメントのような論文を集めて特集記事を組んだが、判決に反対する人はいなかったようだ。
というか、最高裁判決に反対のコメントを公の場に出すのは、よほど自信のある人か、その分野で自分がどう評価されても全く影響がない人だけだろう。

それはともかく、潮見教授の論文なら読んでみたい。民商法雑誌に掲載されるようなのは読んでも疲れるだけだけど、NBLのならお手軽にエッセンスだけ味わえる。
さすがに切り口は鮮やか。「本稿の目的」の項目で、原審東京高裁のどこに問題があったのか、どこに観点の違いがあったのか、を検証するとされている。
このあたりからもうわくわくする。
そして、東京高裁は、将来債権譲渡担保において、国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっているということの意味を債権の移転時期がいつかという点に結びつけてとらえ、かつ、債権の移転時期を債権の具体的発生時点ととらえた点に特徴があった、と分析する。
ここで「国税の法定納期限等以前に」の文言が入っている意味は、後の展開を見たときになるほど、とわかる。
将来債権の譲渡担保の法理を解説して終われば、それ以前の多数のコメントをちょっと深めた程度の論文ということになったと思うが、教授は、さらに「一般私法秩序と国税徴収法における特別私法秩序」の項目を設け、国税徴収法との優劣が問題となったときに、私法秩序がどのように修正されるか、されるべきであるかを考察される。
こういう展開になるから潮見ファンはやめられない。
わくわくどきどきしてしまう。
そして、東京高裁の問題提起があったが故に最高裁判決があったのであり、東京高裁の問題提起は実務面のみならず、理論面で大きな意義があったと位置づけ、この問題は理論の完成度としてまだ途上にあるとされる。
将来債権譲渡に関して次の展開が起こりうる予感に満ちた締めくくり。

ところで、NBLはときどき多数の人から短いコメントのような論文を集めて特集をするのだが、一体何の目的でこんな特集をするのだろう。
最高裁マンセーのコメントをたくさん集めたって意味ないじゃない、というか、潮見論文を予定しているのなら、それが一つあれば十分じゃない、と思うけど。
法律学って多数決で決まる世界でもないし。


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