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継続的不法行為による将来の損害賠償請求

晴れ。不正競争防止法研究会に出かけなければならないのだが、疲れていて気が乗らない。

横田基地夜間飛行差止請求事件最高裁判決(平成19年5月29日第三小法廷判決破棄自判)。
5名の内3名が多数意見を構成し、多数意見の内2名と1名に別れて補足意見があり、那須裁判官と田原裁判官の反対意見がそれぞれ付されている。
多数意見は、昭和56年最高裁判決に従い、継続的不法行為に基づく損害賠償の将来請求の行使は、口頭弁論終結時までとしている。
原審は、判決の日まで認めているので、口頭弁論終結時から判決の日までの期間分が破棄され、この部分の被上告人の控訴が棄却された。

田原先生の反対意見は明確である。
昭和56年判決から25年が経過した今日、その間に提起された同種事件の状況や学説の状況をふまえれば、同判決が定立した継続的不法行為による将来の損害賠償請求権の行使が許容される場合の要件について、その見直しがなされるべきである、と言い切られる。
そして、昭和56年判決が自身が定めた要件にあてはまる例として挙げた不動産の占有者の明渡義務の履行完了までの請求権につき、バブル経済崩壊期を例にあげ、最高裁の要件にあてはまってはいないが、請求異議が認められるべき場合が存在すると指摘する。
次いで、継続的不法行為による将来の損害賠償請求の訴えを容認できる範囲を、56年判例より拡大して解釈すべき社会的事実が生じているとし、それを指摘する。
最後に、原審が、将来請求を認めずに、判決の日までの請求を認めたことについてついて、非常に小さな意味しか有しないと批判する。

きっぱりとしてご意見で、すっきりとして論理で、そうだ、そうだと頷きながら読ませていただいたのだが、原審は本当に「非常に小さな意味」しかなかったのだろうか。
原審があったからこそ、この問題が最高裁で争点になり、新たな議論が生まれ、田原意見が世に現れたのではないだろうか。
私は原審の裁判官の勇気と被害者を思う暖かい心にも敬意を表したい。


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