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神田秀樹先生セミナー(ブルドッグ買収防衛)

晴れ。暑い。

神田秀樹先生セミナー「三角合併解禁後の企業価値を考える」。
会場に入ると、机の上に封筒に入った資料と判決文らしきコピー。ブルドッグの最高裁決定だ。なんてラッキーなんだろう。昨日の午後に出た最高裁決定について解説してくださるんだ。

講演のテーマは買収防衛策、三角合併、MBO。
前置きとして、適法であると同時に市場における受容性がなければならない、法の趣旨は文脈で理解すべきと仰る。
法律に触れていなければ何をしてもよいとか、誰がどういう状況でしても同じだなどというようなことは仰らない。バランスのよい法律家というのはこうでなくては。

考え方としては、まず、企業買収の良し悪しは、国の経済にとってプラスかマイナスかで決まる、という命題をアプリオリに措定する。
次に買収も防衛もルールに則ってすることになるが、その際、会社法だけでなく、税法、会計ルール、証券取引所のルールもきちんとみておく。
会社法では黄金株の発行は可能だが、証券取引所が認めなければ、上場会社では使えない。

防衛策には、平時導入と有事導入のものがあるが、ブルドッグは有事導入型。
だから、今回の決定で認められたのは、有事導入型で、株主総会の(特別)決議(80%)があり、対価(現金で補償)の支払いがあるもの。
この条件で、対価の差別化(一般の株主は株式で、SP関係者には金銭で)は、
  濫用的買収者か否かにかかわらず適法(最高裁)

防衛策の必要性と相当性。
必要性については株主総会決議があれば裁判所はそれを尊重する。
相当性については裁判所が審査をする。
取締役会だけで発動することができないわけではないが、その場合は、必要性について防衛側が立証しなければならない。

相当性については、買収者に財産的な損害を与えてはいけないが、それと同時に一般の株主にも損害を与えてはいけない。
新株予約権は譲渡できず、株式を譲渡しても予約券は元の株主のもとに残る。そうすると、一般の株主は、新株予約権を行使するまでの間、投下資本の回収に支障をきたすことになるが、これが一般の株主に損害を与えることにならないかが問題となる。
今回のケースでは、期間が長くなく、株主はそのことを承知して決議をした(高裁)ということでクリア。
(本当に株主はそこまで考えていたのか?)

他方、決議なしに取締役会だけで防衛策の発動を決めるときには、必要性の立証をしなければならない。
どうしても総会を開くことができないのであれば、株主の声を聞く方策を考えた方がよいとのこと。
ここまで聞くと、SPは5月にTOBをかけたので、6月の総会で決議がされてしまったということだが、どうして総会の直前なんてタイミングをとったのだろうかとの疑問が生じる。
なお、「総会がなければならない」かどうかについては議論の余地があるとのこと。

今回は有事型だったが、平時型も有効か?
不明。平時に決議し、有事に取締役会で発動するとNG、有事になってから総会決議をしなければならない、というのであれば、防衛策を平時に導入する必要がない。

ブルドッグは特殊か?
会社の規模が比較的小さく、特別決議が可能であり、このような会社は平時の防衛策は不要だろうが、果たして他の会社では同様のことができるかどうかは不明。

それでは、平時導入の会社が大勢を占めるか?
すべての会社が敵対的買収の危険にさらされているわけではない。
平時型が有効かどうか不明であり、また、有事に手段がないわけではない。
ということから、平時に導入する会社はそんなに多くはならないだろうとのこと。

以上ブルドッグに関する部分のみセミナーの内容の要約。
超一流の学者の講演を生で聴く、それも昨日の午後の最高裁決定の解説をしていただくという、スリリングで刺激的な時間でした。


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