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抵当権と法定地上権(最高裁判決)

晴れ。猛暑。

「大阪における当番弁護士活動」第14集が届く。原稿を提出してから1年くらいたったように思う。もう掲載してもらえないのじゃないかと思っていたところだった。
他の人達のタイトルをざっとみると、無罪だの更生緊急保護制度を利用しての執行猶予だの処分保留釈放だの不処分だのといった活動の成果が挙げられていて、こんな素晴らしい活動の中に私の原稿が混じってよいのだろうかと思う。
7人に対する殺人未遂が1人に対する傷害となり、不処分というのがあるので読んでみたら、少年が15人のグループにおびき出されて、危ういところを自動車で脱出しようとしたところに警察官が通りかかり、15名から轢き殺されかけたと訴えられて逮捕されたというものだった。警察に虚偽の自白をさせられたところで接見した若手のS谷先生、大変なことだと弁護士はいらないという親を説得して付添人になり、裁判所を説得して観護措置をとらせず、最終的に不処分にしたという華々しい活躍が書かれていた。その間、少年の兄がグループに襲われ、少年自身も再度襲われるのではないかという手に汗握るシーンだの、調査官が自分で逃げようとせず警察に助けを求めたらよいじゃないと非常事態を理解しない発言をするのに対決するシーンだのドラマを見ているような展開。
やっぱり弁護士は熱血じゃなきゃねってこの報告書を見たら思ってしまう。S谷先生、普段は熱い人に見えないんだけど。

法定地上権に関する最高裁判決(平成19年7月6日)。
土地を目的とする先順位の甲抵当権が消滅した後に、後順位の乙抵当権が実行された場合において、土地と地上建物が甲抵当権の設定時に同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは法定地上権が成立する。

一審、二審とも反対の結論をとっている。
確かに甲抵当権が消滅していなければ、乙抵当権設定時に土地建物が同一の所有者であっても、抵当権が実行されたときに法定地上権は成立しない。
そうすると、乙抵当権者は、抵当権設定時に、同一所有者であっても甲抵当権があるから、法定地上権が成立しないだろうとの予測のもとに不動産の価値を評価していた可能性がある。
この場合、甲抵当権があるので、乙抵当権は法定地上権のない不動産の価値から甲抵当権の被担保債権額を引いた価値を計算していたはずである。
ところが、その後甲抵当権が消滅し、乙抵当権は、不動産の価値全体を把握することができるようになった。
問題は、その不動産の価値が、不動産(法定地上権なし)、不動産(法定地上権あり)のいずれであるか、である。

最高裁は、抵当権というものは消滅する可能性があるのは当然のことだから、そのことを予測した上で、順位の上昇の利益と、法定地上権成立の不利益を考慮して担保余力を把握すべきもの、とした。

甲抵当権の把握していた価値がよほど小さくない限り、順位が繰り上がることと法定地上権が成立することのプラスマイナスを考えたらプラスになるように思うのだけれど、実際にはどうだったんだろう。
不動産の所有者からすれば、甲抵当権の把握している価値が小さいなら、弁済してしまって法定地上権をつけてもらった方が有利ということもあるだろう。


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