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外部監査人実務研修会(日弁連)

曇り。昨日より気温がやや下がったようだ。

外部監査人実務研修会。
地方自治体の包括外部監査(地方自治法13章)を経験した弁護士5名による解説。
対象となったのは目黒区。
債権の回収状況を調査しているうちに保育費の滞納が多く、しかも高額所得者が滞納しており、区が適切に督促をしていなかったということが判明したという話だが、どうやってそこにたどりついたのかの話が興味深く、面白かった。
活劇があるわけでもなく、ドラマがあったわけでもない。
テーマをある程度の幅をもった内容で決め、それに関係する資料を見せてもらい、担当部署のヒアリングをする。
会計士ではなく弁護士が監査人となったということで担当者が身構えてしまうこともあるが、結局一番問題をよく知っているのは担当者であり、真面目な担当者であればあるほど、問題を認識して悩んでいる。仕事上の悩みはないか、困っていることはないか、一緒に解決しようよ、というスタンスで話を聞き、あるはずの資料がなければどうしてないのかを考え、あるべき資料についてないという報告を受けたら、もう一度よく探してみよう、キャビネットの奥にあるかもしれないし倉庫にあるかもしれないから、と励まし、調査票にメモ程度しか書いてくれなければ行って担当者と面談して話を聞き、今話したことをここに書き加えてねと言い、メールを送ったら5分後に電話をかけ、その場でメールを開いてもらい、説明をし、期限をきって回答を求める。
この繰り返しの作業の末に、高額所得者に対して保育料を督促していなかったことなどが判明したとのこと。
報告書では、問題点を指摘するに止まらず、改善方法の示唆まですべきとのこと。
これはいいなと思ったのは、200頁に及ぶ報告書を誰も読んでくれないと困るから、という理由で、報告書の冒頭に、前提事情と指摘事項の要旨の一覧。
これを見ると報告書の内容が一目瞭然で、特に興味を持った項目を選んで読むこともできる。
ビルの賃料を長期にわたって徴収していなかったなんていうこともこの見出しをみるとわかる。

問題は、監査報酬で、時給に換算すると5000円くらいとのこと。
外部監査人を業務として成り立たせるためには、質を下げない合理化と効率化、を考えないといけない。

研修は、会計士が数字を見るのとは違った、「弁護士の監査」というのはこういうものだ、というあり方を示す、有意義な内容だった。
この5名のチームからなる外部監査の報告書に基づき、区は問題点の改善に動き始めたとのこと。
爽やかな印象の5名だったが、唯一の不満は、これだけ女性弁護士が増えているのに、全員が男性でチームを編成したことか。

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信託法研修会(日弁連)

曇り。どちらかといえば暖かい。なんだかわかりにくいお天気。

遺言信託に関する研修会。10時から17時までの7時間なのだが、最後の方になると「事業承継と相続」とか「渉外相続の裁判事例研究」だのと信託とは関係のない話題となっている。

それはともかく、午前の新井誠先生の講演「改正信託法と遺言信託の実務」は面白かった。
新信託法を読んでいて、ときどき違和感を感じていたが、その違和感の正体をすっきりと示していただいた感じがする。
たとえば、信託法2条の信託の定義。奥歯に物がはさまったような物言いをしている。

この法律において「信託」とは・・・・・特定の者が一定の目的(省略)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のためら必要な行為をすべきものとすることをいう。

委託者と受託者が同一の場合(自己信託)や、委託者と受託者が同一の場合(自益信託)があるから、こういう書き方になったのだろうなということの推測はつく。しかし、通常の法律の定義に比較して、何が何だかという感は否めない。
新井先生の解説では、まず、信託の本質である「財産の移転」が定義にないが、このような定義をする国は日本以外では中国しかない、とのこと。しかも中国では、私有財産の移転が困難であることを背景にしているとのことだから、私有財産の移転が自由にできる資本主義国家で、こんな定義を置いているのは日本だけということになる。
財産の移転を定義に入れると、自分から自分に財産を移転できないので自己信託が成立しなくなるとの理由で財産の移転が信託の定義からはずされた。
なお、法務省の役人は「自分の中の他人への財産の移転」と説明したとのことだが、新井先生はこの説明を、哲学的には面白いかもしれないね、と評されていた。
もしかしてこの法務省のお役人は文学部出身なのだろうか?
今回の信託法の改正は、規制緩和なんとかの意見に基づき、証券化、流動化のヴィークルを作るためのものだったとの解説を聞き、ああそうか、と納得してしまった。
会社法のときと同じということか。小泉さんと仲良しだったあの人が儲け話を考えたんだろう。
立法時に国会でもめたというのはともかく、パネルディスカッションで、税法が規制するので信託法の使い勝手が悪いという話も興味深かった。
こんななんでもありの信託法を作られると、税務当局が税金のとりはぐれを警戒するとのこと。
パネラーの一人は税理士。経歴の紹介を聞いてもしかしたらと思ったら、やっぱり。「信託大好きおばちゃん」。

来月は大阪弁護士会主宰で、新井先生と杉浦先生の講演会。
今回の新井先生のご講演で、来月の講演会への期待がさらに高まる。

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エル・アルコン

晴れ。穏やか。

久しぶりに宝塚の舞台を見た。「エルアルコン 鷹」。
原作「エロイカより愛をこめて」の青池保子。音楽「ゲド戦記」の寺嶋民哉。
これだけでも素敵なのだけれど、それに加えて脚本、演出がとてもよくできている。
主人公の少年時代を別人が演じ、要所要所に現在と過去を重ね、後戻りをしない人生を歩む理由付けまでしている。舞台は原作を超えているだろう。

舞台の背景が映像であることに最初とまどったが、どこまでも青くまたは黄金色に輝く海の映像が違和感なく観客を潮の世界に連れてゆく。

映画「亡国のイージス」よりも潮気を感じさせる舞台。
そこに宝塚らしい絢爛豪華さが加わっている。
宝塚の舞台はスペインものと相性がよいと思っているのだが、加えて「無敵艦隊(アルマダ)」なんて宝塚でなくても聞いただけでわくわくする響きがあって時代背景も申し分がなく、さらに驚いたことに無敵艦隊を舞台に登場させてみせるのだからこの演出は楽しい。

今回のテーマであえて法律に関する話題を探すなら・・主人公に復讐を誓うキャプテンレッドは元は大学の法学部で学ぶ弁護士志望の青年だったが、父親が無実の罪を着せられ死刑になる。
彼が冤罪だと叫ぶと主人公から、あなたの武器はなんですか、裁判は証拠によって決まります、これは裁判で決まったことですよ、だからもはやあなたの武器は法律ではありませんね、あなたの正義とは何ですかと嘲笑される。
17世紀イギリス。
歌舞伎の曽根崎心中を見たときに当時の裁判システムや証拠に関する法律はどうなっているのだろうかと疑問に思ったが、今回は、現代とほぼ同じかと妙に納得してしまった。
もっとも、裁判シーンで、パルマ公の密書が真正なものだとスペイン大使が証明したという台詞を聞いて、自国のスパイに不利になるような証明を大使がしていたのだろうかというのは疑問に思ってしまった。

そういえば、以前、同僚の弁護士が、弁護した被告人から、自分の国では外国に出るとき、ブローカーからパスポートをもらうのが常識で、これが不法入国にあたるとは思わなかったと言われ、領事館に本当かと問い合わせたことがあったっけ。

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鹿児島の弁護士

晴れ。冷え込むとの予報だったので覚悟していたら昨日よりも暖かい気がする。爽やか。

ゼミの同窓会があり、久しぶりに鹿児島で弁護士をしている同級生に会った。
学生のころから鋭い議論と回転のよい頭、そして豊富な勉強量で周囲から一目も二目も置かれていた人だ。

その彼が言葉を選びながら「都会の弁護士は冷たい」と言った。
そんなことはないと思う。確かに経験を積むにつれてより穏やかな和解の方向性を探るようになってはきたが、これは経験年数の問題だと思うと答えた。
しかし彼は違うと言う。都会の弁護士が書いた書面を依頼者に見せたら和解ができなくなるので困る。和解に適した事案で、和解の可能性が残っているなら、それを見越した書面を書くべきだと言う。当事者双方が納得して事件を終結させる和解以上にすばらしい解決があるか、とも言う。

自分の書く書面を振り返る。法律論に関してはほぼ機械的に、相手方はこう主張している、しかしながら、以下の理由でこの主張は成り立たない、という展開で書いている。
周囲で話を聞いている大阪の弁護士は当惑している。主張すべきことがあるなら主張するのは当然ではないのか。
経験上、そういう書面のやりとりをしたからと言って和解ができなかったということはない。
依頼人は、判決の見通しや和解することのメリットとデメリットを考えて、どうするか決めていると思う。書面の書き方がきついから和解しないというのはあまり聞いたことがない。

書き手の人間性の問題だ、と彼は言う。
そうかもしれない。主張すべきことは主張すべきだが、表現に品性を欠いてはいけない。
我々は言葉で仕事をしている、とも彼は言う。
ひとつひとつの言葉、書面の向こうに人がいることを忘れないようにしよう。
私はとても素晴らしい友人を持っている。

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独占禁止法(和光堂事件)

晴れ。気温が下がっている。今年の冬は寒いとか。
温暖化というネーミングではなく、現象を端的に示す表現はないものか。

独占禁止法研究会。和光堂事件(最高裁昭和50年7月10日判決)。
和光堂と言われても何の会社かわからないが、判決文を読むと赤ちゃん用粉ミルクの販売会社で、シェア10%(当時)とのこと。
ここが総販売元となり、卸売価格と小売価格を指定していた。これが独占禁止法の不公正な取引方法に該当するとした審決が維持された事案。

和光堂の言い分は、卸売価格、小売価格が下がれば業者のマージンが減り、和光堂が販売する粉ミルクを小売業者が扱わなくなる、そうすると赤ちゃん用粉ミルクのブランド間競争がなくなり、大手業者の独占状態となる。
競争状態を維持するために、再販売価格を指定する必要がある、というもの。

和光堂の粉ミルクを安く売るかどうかは小売業者が判断すればよいことで、安くしてたくさん売れたら、一つ当たりの利益は下がっても、総体として利益は上がるかもしれない。だからこの理屈はよくわからない。

それにしても、再販売価格指示の被害者は誰なのだろう?
本当は安く売りたいのに安く売ることのできない再販売価格を指示された卸売業者や小売業者だろうか?
安く売らないことで、高い利益率を維持できるのだから、卸売業者や小売業者は被害者ではなく、むしろ利益を得ているのではないだろうか?
それでは被害者は消費者なんだろうか?和光堂のシェアは10%なんだから、品質の割に高いと思ったら他のブランドの粉ミルクを買えばよいというだけのことではないのだろうか?

実は他のブランドも全部再販売価格を指示していて、公取は当初価格カルテルを証明しようとしていたが、カルテルの証明ができなかったので、再販売価格指示で違反としたのだろう、という話が研究会で出てきた。
それならわからないでもないけど。
そもそも和光堂は、再販売価格を指示してもさしてメリットはないだろう。自分の取り分が増えるわけではないし、販売数が伸びるわけでもない。
公取の事実認定によれば、消費者の行動として赤ちゃん用粉ミルクは、最初に使ったものをずっと使い続けて、ブランドの変更をしない商品だとされている。
そうだとすると、そもそも安売りをしても販売数はそんなに伸びるわけではないだろう。
そうすると、再販売価格の指示は、量販店が安く売るのを阻止したい小売業者にとってのみメリットがあったのではないだろうか?

・・・・なんだかすっきりしない話だった。

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初期消火の失敗?

曇り。涼しい。

朝刊に大阪府警が船場吉兆を捜索するとの記事。
不正競争防止法違反の疑い。
ここ数年、不正競争防止法研究会は同法を適用した新しい判決があまりなく、寂しい状況だったのだが、このところ食品表示偽装に関連して民事より刑事で活用されているようだ。

不正競争防止法21条2項1号では、不正の目的をもって第2条1項13号に掲げる不正競争を行った者は5年以下の懲役、500万円以下の罰金。
2条1項13号に掲げられている行為には、商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量について誤認させるような表示をすること、が含まれている。
ブロイラーを地鶏と表示したり、三田牛でないものを三田牛と表示したことが、原産地、品質、内容の偽装に該当する可能性があるとされたのだろう(ブロイラーと地鶏って品質だろうか?内容だろうか?)。

博多のデパートで売った黒豆プリンの消費期限の書き換えに端を発したことが、あっという間に大阪の本店に府警の捜索が入るという展開にいたっており、この展開には驚いてしまう。
地鶏がブロイラーでも、三田牛が佐賀牛でも、味が悪いわけでもなく、食べて病気になるわけでもなく、たいした違いはないのじゃないか、と思うのだが、府警が大勢で捜索に入る映像がこの感覚とミスマッチで、なんだかとんでもなくおおごとになってしまっているような気がする。

多分どこかで間違ったんだろうなあ。

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信託法研究会(会社と信託)

晴れ。爽やか。

朝刊を見ると、船場吉兆の件は会社に責任を被せられそうになった従業員に山口健一先生がつくという展開になっていた。
ヤマケンという愛称がついていることからも推測できるように有名弁護士。なんだがすごくなってきたなあ。
発端はプリンの消費期限のシールの貼替で、しかもあちこちで偽装が問題になっているときで、またか、という程度の事案だったのに、今や大事件のような扱いになっている。食中毒が発生したわけでもないんだけど。
ここまできたからには、行くところまでいって白黒つけるしかないんだろうな。
吉兆のお店なんて入ったこともないから、赤福餅のときのような個人的な感傷も感じない。というわけで、山口先生がんばれ。

信託法研究会。会社の設立と限定責任信託契約と信託証券を組み合わせたものがどう違うのか、いずれを選択するかはどちらが税金がお得かという些末な差によるのではないか、という議論。
そういえばそんなことを書いていた論文があったなと思い出して取り出したのがNBL865号。
「組織法の柔軟化・多様化と証券化ヴイークルの今後 会社か信託か」
上下に分かれているが、上を読んだ限りでは、文章にするより、一覧表にしてもらった方がわかりやすそうだ。
そのうち時間のあるときに自分で比較一覧表を作ってみよう。

こういう議論を追いかけるとケイマンSPCなんて単語にお目にかかることになるのだけれど、大阪の研究会で議論をわかりやすくするためのイメージとして出てきたのは、フェスティバルゲート。


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マスコミ発表の際の10のルール(佐々淳行先生)

晴れ。気温が上がり穏やかなお天気。

船場吉兆という高級ブランドがばたばたしていらっしゃるご様子。九州の現場が勝手にシールを貼り替えた、取引先から材料について嘘を言われていた、というような発表に対して、あちこちから反論されるという不思議。
食品の安全について世間様に虚偽の調査報告をすると消滅の危険さえあるということがわかったうえでの公表のはずである。
まさか、こんな状況で、取引先から派遣の従業員に至るまでみんなでかばってくれるだろう、などという根拠のない甘い見通してでいいかげなことなど言うはずがないから、反論に対しては徹底的に戦うというスタンスになるのかな?是非頑張っていただきたい。

友新会が佐々淳行先生に危機管理について講演いただいたときの、マスコミ発表の10のルール。
 (1) 嘘をつかない
 (2) 当然知っているはずのことについて知らないと言わない
 (3) ミスリードしない
 (4) 知ったかぶりをしない
 (5) 待たせない、逃げない
 (6) 会見日時を適切に設定する
 (7) オフレコを活用する
 (8) 資料はどんどん渡す
 (9) すなおな陳謝
 (10) 条件付き発表の活用

佐々先生によれば、人生最初のマスコミ発表で10項目ともクリアできる人はほとんどいない、たいていどの項目かで失敗するとのこと。
それにしてもまさか、(1)で躓いたといういうことはないよね。

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狂牛病が問いかけたもの(福岡伸一教授)

雨になるのかと思っていたら、曇ったり晴れたり。気温は下がっている。
憲法ミュージカル2008実行委員会からオーディションの応募用紙が届いた。
弁護士28人が呼びかけ人となっているが、知った名前が数名。歌って踊れて芝居もできる弁護士集団・・・パワフルだなあ。。。

消費者問題ニュース120号。夏期消費者セミナー報告「狂牛病が問いかけたもの」福岡伸一(青山学院大学理工学部教授・農学博士)。
久々に胸のすくような正論を読んだ。
狂牛病が世界へ広がったプロセス、日本の現状、アメリカとの比較、今後、食の安全・安心を守るための視点という構成で、狂牛病が人為的原因で発生したものであること、感染ルートが十分解明されていないこと、日本の狂牛病の汚染源は代用乳が怪しいと言われているが、農水省が関連を認めていないこと、日本の狂牛病対策は世界的に見ても非常に厳しい水準で行われており、国産の牛肉であれば安心して食べることのできる状態であること、日本の対策のどれひとつアメリカでは満足に行われておらず、肉骨粉の使用も続けられていることが解説されている。
そして、原則論を言えば、アメリカが日本と同程度の安全施策を実施したのであれば輸入を再開してもよいとなるはずが、現実には日本の検査態勢を見直させて一部全頭検査を緩和させることで輸入を再開したように見えるとされている。
安全のための視点として、教授は、食の問題に単純化されたリスク論を持ち込むのは危ういこと、狂牛病は予見不可能なものでも、回避不可能なものでもないこと、原因は人災の連鎖であることを掲げ、これに対する反論としての消費者の選択の自由論に対しては、それが成り立つのは選択肢の内容がすべて明示されている場合だけであるが、現在、食のプロセスは明示されていないことを指摘される。
また、プロセス明示化の対価は消費者が支払うべきものであり、食べ物を選ぶときに、1円でも安いものを選ぼうとする消費行動自体も省みる必要があるのではないかとされる。
例として、「健康おたくの街」アメリカのボルダー市で人気のコールマンフーズ社の取り組みを紹介されている。それによれば、牛に動物性の飼料を与えず、草食動物として正しく育て、牛肉の値段は単位重量あたり10%から25%高いとのことである。

金がなければ牛肉を食べるなと言うことかと反論されそうだが、金がなければ狂牛病にかかってのたれ死ねという我が国の政府の態度の方がよほど冷たいと私は思う。牛肉を多量に食べなくても死なないが、狂牛病にかかれば悲惨な症状の末に死に至るのである。
それでも政府が米国産牛肉を食べたいという人のために輸入するなら、決して国産と混ざらない、表示が適正になされるような方策を確保しなければ、騙されて米国産牛肉を食べさせられて発症したし人から訴訟を提起されることになるだろう。
間違っても子ども達の給食には使われたくないものである。
それから、自衛隊員の給食に使うのもやめてあげてね。外務省と農水省の食堂で出すというのならご自由にどうぞ。


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相続税の基礎控除

曇り。ようやく秋らしくなってきた。時候の挨拶一覧の11月のところを見ると晩秋となっているが、仲秋・・せめて秋冷の候と書かないと、なんとなく現実の季節とずれるような気がする。

法律相談に行くと、ときどき深刻そうな顔をした人から、相続税が心配だという相談を受ける。
相続税を心配しなければならないそれぞれのご家庭の事情を仰るので、税金は税理士に聞いていただいた方がよいのですが、と前置きし、5000万円プラス相続人一人当たり1000万円の基礎控除がありますが、と言うと、ほとんどの場合、何の問題もありません、と言ってお帰りになる。

私も弁護士になるまで、相続税の基礎控除のことを知らなかったから不思議に思うのだが、どうして高校の家庭科の授業でこのくらいのことを教えないのだろう?
保健体育の授業で法定伝染病を暗記する、という課題があったことは覚えているが、腸チフス、パラチフスなどと暗記するくらいなら、相続税の基礎控除の方がよほど実生活に役立つ知識だと思うけど。
もしかしたら書いてあったけど覚えていないだけなのかなあ?

なお、財産が基礎控除を超えていたとしても即座に税金が発生すると考えるのは間違いで、まず財産から債務や税金、葬式費用などを控除するし、さらに小規模宅地の特例などの制度もある。このあたりまでくると税理士さんの出番かな。

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散歩日和

晴れ。爽やか。

お天気がよいので、散歩気分で弁護士会の図書館に行き、ついでに破産部に寄ってレターケースの書類を取り、その帰りに書店に寄ろう、と事務所のビルを出て少し歩いたところで、今日中に書類をチェックするよう昨日事務員さんに言われていたことを思い出す。が、かまわず散歩を続けることにする。

久しぶりに書店に立ち寄ると新刊コーナーに信託法と金融商品取引法の本が並んでいる。
信託法の中から新井先生の『新信託法の基礎と運用』と弁護士事務所が編集している『新しい信託30講』を選ぶ。金融商品取引法は、『図説 金融商品取引法』にする。
本町塾では、文章を図に書き換えるのを重視するので、図説、と書いてあるととりあえず買っておこうかな、という気になる。タイトルって大事だなあ。

事務所に戻り、事務員さんからチェックするよう言われていた書類を見て、それから図書館で借りた商事法務の山口先生お薦めの論文を読むことにする。
が、読み始めるとすぐに、手紙を書かなくてはいけなかったっけとか、書面を準備しておいた方がよくないか、などと事件のことが気になり始める。
こうやって読むつもりの本やコピーがいつのまにか積み上がるのか・・・・。


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競売と敷金

晴れ。9月か10月といってもよいくらいの日差し。少なくとも11月という雰囲気じゃない。

日曜日の住宅相談の予約表が送られてきた。
敷金関係の相談が複数ある。そのうちの一つは競売と敷金の関係について。

敷金と競売の関係は、民法の改正で平成16年4月1日から制度が変わっておりややこしい。
以下の項目に従って、考えるのがわかりやすいと思う。

1 まず、抵当権の設定と建物賃貸借契約の先後関係を確認する。
  建物賃貸借契約が抵当権より先で、かつ、対抗要件(引き渡し)が備わっていれば、賃貸借が抵当権より優  先するので、賃貸借契約はそのまま存続する。
  ただ、通常は、建物を建てるときに銀行から金を借りて、その債権の担保のために抵当権を設定するから、抵 当権の方が先に設定されていることが多い。
2 抵当権の方が先に設定されていれば、建物賃貸借契約がなされたのが、平成16年3月31日までかどうかを 確認する。
3 契約の締結が平成16年3月31日までになされていれば、賃貸借の期間が、3年以内かどうか調べる。
  賃貸借の期間が3年を超えるときには長期賃貸借となるので、保護の対象にはならない。
4 賃貸借の期間が3年以内であれば、契約が、競売開始前に締結されたかどうか確認する。
5 競売開始前に契約が締結されていたら、次に賃貸借期間の満了が競落人の代金納付の前かどうか確認す  る。
  代金納付時に賃貸借契約期間が残っていれば、契約の残期間は居住ができ、かつ、新しい家主に敷金の返還を請求できる。
6 登記をした賃貸借については、抵当権者が同意し、同意の登記があるときには、抵当権に対抗することができ るとの規定もあるので登記簿を確認してみてもよいかもしれないが、通常はこんな登記はしないだろう。
7 法律の規定にかかわらず、新しい家主との間で従前の敷金を引き継ぐとの内容の契約を締結すれば、敷金が 引き継がれる。
8 5、6、7の場合以外の場合は、新しい家主に敷金の請求ができない。元の家主に請求をすることになる。ただ し、元の家主は所有建物が競売にかかるくらいだから、金を持っていない確率が非常に高い。

どうして、元の家主に請求するのを原則にしたのだろう?
新しい家主に請求できることにしておけば、新しい家主はそれを前提に建物の価格を判断して競落するから、新しい家主に思わぬ損失が発生することはない。
敷金を払った賃借人が泣き寝入りせずにすむ。
ただし、こうすると、敷金の分建物価格が下がるから、競落代金から貸金を回収する銀行の取り分が減少する。
つまり、銀行と賃借人の保護をてんびんにかけて、銀行の回収を優先したということになる。
法律を作るのは国会議員で、国会議員にとって銀行と賃借人のどちらの味方をする方が得になるか、という話なのかな?

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地方自治法(住民訴訟の弁護士費用)

曇り。雨で寒くなるとの予報だったが、はずれみたい。

住民訴訟によって、違法、不当に支出された金が自治体に戻れば、自治体にとっては利益なことであるが、自治体が何もしないために自ら労力を費やして住民訴訟をした住民は、自治体に金が戻るという間接的な利益しか受けていない。
住民が訴訟を弁護士に委任していれば、弁護士費用も住民が負担することになる・・・というのは何かおかしくないか。
地方自治法242条の2第12項では、
住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴)した場合において、弁護士または弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる
とされている。

住民訴訟を提起して勝訴した場合には、自治体に利益が生じるのであるから、自治体が弁護士報酬を支払うというというのだから、ごく自然なことに思える。

それでは、住民訴訟を提起したところ、違法、不当な支出をした被告が自治体に自発的に全額返還をしたために、訴えを取り下げたときにはどうするのか。
判決は口頭弁論終結時の事実でもってなされるから、訴訟を継続したところで自治体に損害はなく、支払いの必要はない、と結論になるだろう。

名古屋高裁は、勝訴した場合とは、公権的判断である裁判所の勝訴判決がされた場合に限定されるべき理由はなく、住民訴訟の提起及び追行によって普通地方公共団体が違法な財務会計上の行為により生じた損害の補填を受けて実質的に勝訴判決を得た場合と同視できる経済的利益を受けた場合をも含むものと解するのが相当である、として、自治体に対する弁護士費用の支払いを認めた。

これに対し、最高裁平成17年4月26日判決は、当該訴訟の提起及び追行が契機となって普通地方公共団体が経済的利益を受けることとなった場合であっても、当該訴訟が果たして、また、どの程度これに寄与したかを判断して、弁護士報酬相当額の支払請求を認めるか否かを決することは必ずしも容易ではない。そこで、法は客観的に明確な基準を設けることによって、その判断を画一的に行うこととしたものと解することができる、として、全額返還されたために訴えを取り下げた場合には、自治体が弁護士費用を支払うべきときにあたらない、とした。

訴訟の提起、追行が契機となったとしても、どの程度寄与したかわからないから、支払わない、というのがよくわからない。
少なくとも、最高裁だって、違法、不当な支出をした人が訴訟がなくても自発的に自治体に金を返すとまでは思っていないだろう。
そうすると、訴訟の提起が自治体の利益に寄与したことは明らかで、あとは戻ってきた利益に応じて、弁護士費用を認定すればよいことである。
不法行為の訴訟にように、相手方に弁護士費用を負担させるというのであれば、和解のときに和解金を受け取る人が弁護士費用の請求を放棄するということも考えられるが、住民訴訟は、訴訟を提起した住民にが利益を得るわけではなく、住民の労力によって自治体に利益が生じているのだから、得た利益に応じて、住民が支払った弁護士報酬を自治体が支払うというのがそんなに認定困難な話なのだろうか?
「勝訴」という文言解釈をするとそうなると言っているが、そんな文言解釈なら法律を勉強してなくてもできる、というか、法律を勉強していなくても、常識のある人ならこの結論はおかしいと思うのではないだろうか?
これが全員一致の判決というのだから、この4名の裁判官(上田豊三、金谷利廣、濱田邦夫、藤田宙靖)は、一体何を考えているのだろう。

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ペットのための信託

やや曇り。ようやく涼しくなってきた。

WWFに注文していた、岩合さんのカレンダーやら重曹やら、箸袋やらが届く。で、週末は重曹生活。洗濯機に入れたりキッチンを磨いたり水道の蛇口をぴかぴかにしたり。
箸袋は箸を入れて事務所に持参し、昼食に割り箸を使わないことにする。
小包から出てきたものの中で特に嬉しかったのは岩合さんの猫の写真のパッケージに入った固形蜂蜜。写真も愛らしいし、固形蜂蜜は口に入れると、キャンデーよりも早く溶ける。これからの季節、のどによさそう。

アメリカではペットのために信託を設定すると聞いたけれど、ペットのための信託って言っても、ペットに法律上人格があるわけではないので、誰を受益者にするのだろう?アメリカでは植物に原告適格が認められたとか聞いたけど、まさかネコとかイヌとかワニとかオウムに法人格があるとされていたらすごいなあ・・・?よくわからないのでとりあえず信託法勉強会の世話人のKH先生に電話。

ペットの信託ね。それは、目的信託の教科書事例ですよ。

一瞬で解決・・・・・。なるほど、受益者の定めのない信託(258条)はこういうときに使うのか。
誰か信用できる人(受託者)に財産を譲渡し、その人にペットの飼育に必要な金を譲渡した財産から支払ってもらうという内容の契約書を作成して信託を設定する。
誰かって誰だろう。できれば近所でペットを託せる人を探すのがよいけれど、ニシキヘビとかワニなら動物園と交渉するところから始めないと。WWFは野生動物専門だからペットの相談はだめだろうな。イヌ、ネコ、オウムであってもペットショップは避けたい。動物保護をしているボランティア団体を探すというのはどうだろうか?

259条には、受益者の定めのない信託の存続期間は20年を超えることができないとされている。
長生きの動物の場合困る。50年くらいは存続させてほしいなあ。ペットに仔が生まれたらどうするんだろう。

ペットのための信託が普及したら、自分が先に死んだら可哀想だからとお年寄りがペットを飼うのに二の足を踏まずにすむ。忠実な愛犬、愛しい愛猫と安心して老後を共にできるようになるだろう。想像するだけでわくわくする。是非我が国でもペットのための信託を一般的なものにしたいという気持ちになる。

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地方自治法(住民監査請求の条文構造2)

晴れ。散歩するのに気持ちがよいお天気。
大阪市立科学館まで川沿いの遊歩道を歩いて行き、職員から展示物の説明を受けながら元大学教授(理学博士)とご一緒に見学するというこのうえなく素敵な午後を過ごす。
大阪市の科学館はとても充実していて展示物が秀逸。
ごちゃごちゃ映像や解説がついたものより、科学の原理をシンプルに見せる展示が最も知的な展示だと思うのだが、ここにはそういったものが多数ある。
もっとも科学館の管理に関する分厚いファイルも渡されていて、これを読まなくてはいけないから、楽しんでばかりもいられないけど。

本町塾。住民監査請求についての説明を受け、自分でもやってみたくなり、他の塾生に、塾のみんなで自治体に監査請求と訴訟をして実地に地方自治法の条文を使いこなしてみないかと誘うと、H先生が私が被告代理人になるのかと仰るので・・・・・・・・。

とりあえず今日は条文の分析。解説はまた今度。

242条の2

普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、
   同条第4項の規定による監査委員の監査の結果
 若しくは
   同条第9項の規定による
         普通地方公共団体の議会
 長その他の執行機関
     若しくは職員
  の措置に不服があるとき          

又は
   監査委員が同条第4項の規定による
         監査
     若しくは勧告
  を同条第5項の期間内に行わないとき、
 若しくは    議会
  長その他の執行機関
     若しくは職員
  が同条第9項の規定による措置を講じないときは、

裁判所に対し、同条第1項の請求に係る
         違法な行為
       又は怠る事実
につき、訴えをもつて、次に掲げる請求をすることができる。 

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岩合さんWWFカレンダー(オーストラリアアシカ)

曇り時々雨。今日から11月。郵便局に年賀状を買いに行く。
岩合さんのカレンダーもいよいよ最後の1枚。草原を疾駆するアカカンガルーにさようならを言ってページをめくると晴れ渡る青空の下、幸福そうな表情で目をつぶるオーストラリアアシカ。思わず抱きつきたくなるくらい素敵(よく見たら砂まみれだから抱きついたら大変なことになるだろう。)。小さな小さな耳を引っ張りたくなる(そんなことをしたら突き飛ばされるだろう。)
岩合さんの撮る動物ってどうしてこんなに存在感たっぷりで幸福そうなんだろう。

地裁の1階では相変わらず裁判員の宣伝用のビデオが流れ続けている。相変わらず・・・?あれ?実写だったのがアニメに変わっている。検察官が可愛らしい若い女性キャラとなっているのは、何か意味があるのだろうか?
ま、いいや。会報には模擬裁判の報告書が載っている。
酔って駐車場の自分の車の中で嘔吐して、ポケットに持っていた針金で他人の車の鍵をあけて入ったところを見つかった事案。
他人の車の中で寝るために開けたのであって窃盗のためではないとの弁解。
で、模擬裁判の評議で、裁判員役は1人を除いて全員が窃盗の目的で他人の車に入ったと認定したが、1人だけは酔っていたら他人の車に入ることもあるかもしれないと主張したとのこと。
この評議に対する弁護側のコメントがまたすごい。こういう認定をする人もいるから、あきらめずに主張してみることだ・・・・?
裁判員制度って、そういう使い方をするものなの?
それはともかく、法律には、構成要件が定められており、これに事実をあてはめて法律の効果を発生される仕組みになっているが、そもそも裁判員には、当該犯罪の構成要件がなになのかがわからず、議論が錯綜したとのこと。

私は法学部に入って初めて刑法の本を読んだとき、「強盗」とは何か、が論じられているのを見てびっくりした。強盗って一般的な日本語だと思っていたし、強盗か強盗でないかは、見たらわかるじゃない、と思ったからだ。

強盗と恐喝、強盗と窃盗とは構成要件で区別されている。法に基づいて人を裁くのだから、どんな事実でも認定すればよいのではなく、構成要件にとって意味のある事実を認定する作業をする必要がある。といっても、裁判員に刑法の講義をするわけではないから・・・・一体裁判員制度が始まったら、この国の刑事司法はどうなるんだろう?

あっそうだ。岩合さんの来年のWWFカレンダーはインドだそうだ。私は既に注文済み。

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