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信託法研修会(日弁連)

曇り。どちらかといえば暖かい。なんだかわかりにくいお天気。

遺言信託に関する研修会。10時から17時までの7時間なのだが、最後の方になると「事業承継と相続」とか「渉外相続の裁判事例研究」だのと信託とは関係のない話題となっている。

それはともかく、午前の新井誠先生の講演「改正信託法と遺言信託の実務」は面白かった。
新信託法を読んでいて、ときどき違和感を感じていたが、その違和感の正体をすっきりと示していただいた感じがする。
たとえば、信託法2条の信託の定義。奥歯に物がはさまったような物言いをしている。

この法律において「信託」とは・・・・・特定の者が一定の目的(省略)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のためら必要な行為をすべきものとすることをいう。

委託者と受託者が同一の場合(自己信託)や、委託者と受託者が同一の場合(自益信託)があるから、こういう書き方になったのだろうなということの推測はつく。しかし、通常の法律の定義に比較して、何が何だかという感は否めない。
新井先生の解説では、まず、信託の本質である「財産の移転」が定義にないが、このような定義をする国は日本以外では中国しかない、とのこと。しかも中国では、私有財産の移転が困難であることを背景にしているとのことだから、私有財産の移転が自由にできる資本主義国家で、こんな定義を置いているのは日本だけということになる。
財産の移転を定義に入れると、自分から自分に財産を移転できないので自己信託が成立しなくなるとの理由で財産の移転が信託の定義からはずされた。
なお、法務省の役人は「自分の中の他人への財産の移転」と説明したとのことだが、新井先生はこの説明を、哲学的には面白いかもしれないね、と評されていた。
もしかしてこの法務省のお役人は文学部出身なのだろうか?
今回の信託法の改正は、規制緩和なんとかの意見に基づき、証券化、流動化のヴィークルを作るためのものだったとの解説を聞き、ああそうか、と納得してしまった。
会社法のときと同じということか。小泉さんと仲良しだったあの人が儲け話を考えたんだろう。
立法時に国会でもめたというのはともかく、パネルディスカッションで、税法が規制するので信託法の使い勝手が悪いという話も興味深かった。
こんななんでもありの信託法を作られると、税務当局が税金のとりはぐれを警戒するとのこと。
パネラーの一人は税理士。経歴の紹介を聞いてもしかしたらと思ったら、やっぱり。「信託大好きおばちゃん」。

来月は大阪弁護士会主宰で、新井先生と杉浦先生の講演会。
今回の新井先生のご講演で、来月の講演会への期待がさらに高まる。

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