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独占禁止法(和光堂事件)

晴れ。気温が下がっている。今年の冬は寒いとか。
温暖化というネーミングではなく、現象を端的に示す表現はないものか。

独占禁止法研究会。和光堂事件(最高裁昭和50年7月10日判決)。
和光堂と言われても何の会社かわからないが、判決文を読むと赤ちゃん用粉ミルクの販売会社で、シェア10%(当時)とのこと。
ここが総販売元となり、卸売価格と小売価格を指定していた。これが独占禁止法の不公正な取引方法に該当するとした審決が維持された事案。

和光堂の言い分は、卸売価格、小売価格が下がれば業者のマージンが減り、和光堂が販売する粉ミルクを小売業者が扱わなくなる、そうすると赤ちゃん用粉ミルクのブランド間競争がなくなり、大手業者の独占状態となる。
競争状態を維持するために、再販売価格を指定する必要がある、というもの。

和光堂の粉ミルクを安く売るかどうかは小売業者が判断すればよいことで、安くしてたくさん売れたら、一つ当たりの利益は下がっても、総体として利益は上がるかもしれない。だからこの理屈はよくわからない。

それにしても、再販売価格指示の被害者は誰なのだろう?
本当は安く売りたいのに安く売ることのできない再販売価格を指示された卸売業者や小売業者だろうか?
安く売らないことで、高い利益率を維持できるのだから、卸売業者や小売業者は被害者ではなく、むしろ利益を得ているのではないだろうか?
それでは被害者は消費者なんだろうか?和光堂のシェアは10%なんだから、品質の割に高いと思ったら他のブランドの粉ミルクを買えばよいというだけのことではないのだろうか?

実は他のブランドも全部再販売価格を指示していて、公取は当初価格カルテルを証明しようとしていたが、カルテルの証明ができなかったので、再販売価格指示で違反としたのだろう、という話が研究会で出てきた。
それならわからないでもないけど。
そもそも和光堂は、再販売価格を指示してもさしてメリットはないだろう。自分の取り分が増えるわけではないし、販売数が伸びるわけでもない。
公取の事実認定によれば、消費者の行動として赤ちゃん用粉ミルクは、最初に使ったものをずっと使い続けて、ブランドの変更をしない商品だとされている。
そうだとすると、そもそも安売りをしても販売数はそんなに伸びるわけではないだろう。
そうすると、再販売価格の指示は、量販店が安く売るのを阻止したい小売業者にとってのみメリットがあったのではないだろうか?

・・・・なんだかすっきりしない話だった。

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