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地方自治法(住民訴訟の弁護士費用)

曇り。雨で寒くなるとの予報だったが、はずれみたい。

住民訴訟によって、違法、不当に支出された金が自治体に戻れば、自治体にとっては利益なことであるが、自治体が何もしないために自ら労力を費やして住民訴訟をした住民は、自治体に金が戻るという間接的な利益しか受けていない。
住民が訴訟を弁護士に委任していれば、弁護士費用も住民が負担することになる・・・というのは何かおかしくないか。
地方自治法242条の2第12項では、
住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴)した場合において、弁護士または弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる
とされている。

住民訴訟を提起して勝訴した場合には、自治体に利益が生じるのであるから、自治体が弁護士報酬を支払うというというのだから、ごく自然なことに思える。

それでは、住民訴訟を提起したところ、違法、不当な支出をした被告が自治体に自発的に全額返還をしたために、訴えを取り下げたときにはどうするのか。
判決は口頭弁論終結時の事実でもってなされるから、訴訟を継続したところで自治体に損害はなく、支払いの必要はない、と結論になるだろう。

名古屋高裁は、勝訴した場合とは、公権的判断である裁判所の勝訴判決がされた場合に限定されるべき理由はなく、住民訴訟の提起及び追行によって普通地方公共団体が違法な財務会計上の行為により生じた損害の補填を受けて実質的に勝訴判決を得た場合と同視できる経済的利益を受けた場合をも含むものと解するのが相当である、として、自治体に対する弁護士費用の支払いを認めた。

これに対し、最高裁平成17年4月26日判決は、当該訴訟の提起及び追行が契機となって普通地方公共団体が経済的利益を受けることとなった場合であっても、当該訴訟が果たして、また、どの程度これに寄与したかを判断して、弁護士報酬相当額の支払請求を認めるか否かを決することは必ずしも容易ではない。そこで、法は客観的に明確な基準を設けることによって、その判断を画一的に行うこととしたものと解することができる、として、全額返還されたために訴えを取り下げた場合には、自治体が弁護士費用を支払うべきときにあたらない、とした。

訴訟の提起、追行が契機となったとしても、どの程度寄与したかわからないから、支払わない、というのがよくわからない。
少なくとも、最高裁だって、違法、不当な支出をした人が訴訟がなくても自発的に自治体に金を返すとまでは思っていないだろう。
そうすると、訴訟の提起が自治体の利益に寄与したことは明らかで、あとは戻ってきた利益に応じて、弁護士費用を認定すればよいことである。
不法行為の訴訟にように、相手方に弁護士費用を負担させるというのであれば、和解のときに和解金を受け取る人が弁護士費用の請求を放棄するということも考えられるが、住民訴訟は、訴訟を提起した住民にが利益を得るわけではなく、住民の労力によって自治体に利益が生じているのだから、得た利益に応じて、住民が支払った弁護士報酬を自治体が支払うというのがそんなに認定困難な話なのだろうか?
「勝訴」という文言解釈をするとそうなると言っているが、そんな文言解釈なら法律を勉強してなくてもできる、というか、法律を勉強していなくても、常識のある人ならこの結論はおかしいと思うのではないだろうか?
これが全員一致の判決というのだから、この4名の裁判官(上田豊三、金谷利廣、濱田邦夫、藤田宙靖)は、一体何を考えているのだろう。

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