« 近畿税理士会との研究会(取締役の報酬の定め方) | Main | 研修の義務化 »

独占禁止法(土屋企業)

曇り。空気は少しひんやりしている。御堂筋沿いの花壇には黄金色の銀杏の葉が降り積もっている。

独占禁止法実務研究会で報告担当。事案は、東京高裁平成16年2月20日判決。
受注調整に対する課徴金を課した審決の一部が取り消された事例。

公取委の理屈は、某市の土木工事の受注に関し、69社の間で受注調整の基本合意がなされ、ある工事について、T社が受注しようとして基本合意に基づいて調整しようとしたが、X社がどうしても自分が受注したいと譲らず、X社とT社のたたきあいで、X社が落札したという事案。
他者に関してT社が根回しをしており、Xはそれを認識していたと認定されている。
裁判所は、課徴金には制裁的要素があり、個別の調整に関与していない場合には課徴金を課さないとした。

正直なところ、最初にこの判決を読んだとき、自分のしていないことについては責任を問われない、というごく当たり前のことを述べているだけで、何が面白いんだろう、と思った。
しかし、レジュメを作成するために課徴金に関する学説と過去の審決・裁判例を調べてみると、そんなに単純な話ではないらしい。

基本合意があれば、その存続期間内に受注した工事についてはすべて課徴金の計算の基礎となるとする考え方から、個別の工事について基本合意からの離脱があればその工事を除外するとするもの、そもそも受注調整がなされた個別の工事しか課徴金の対象とならないというものまで、課徴金の性質論だの、とりはぐれを心配する実質論だのが入り交じっていて結構面白かった。

研究会では、独禁法は一定の市場における競争制限を対象としているため、刑法の談合罪とは異なり、1回のみの談合は独禁法違反とはならない、某市の公共土木工事、という一定市場があり、それを対象とする基本合意が独禁法の規制対象となっているのだとの指摘をいただく。

また実務的な視点から、基本合意に基づく話し合いがなされたが、1社にしぼれず、数社のたたきあいとなったとき、競争はより熾烈なものとなるとの指摘があり、さらに、そのような熾烈な競争の結果、最低価格を下回って失格者を出したような入札で、最低価格ぎりぎりの価格を入れて落札した者に対し、課徴金を課すのが妥当かという議論になる。

その他、リーニエンシー制度の実情等興味深い指摘をいただき、報告担当としては楽しい会となった。
ところで、この研究会の出席者は女性の割合が高い。なぜだろう?


|

« 近畿税理士会との研究会(取締役の報酬の定め方) | Main | 研修の義務化 »

独占禁止法」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 近畿税理士会との研究会(取締役の報酬の定め方) | Main | 研修の義務化 »