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司法事務協議会(平成19年度)

雨のち曇り。昨日に比べると少し寒さが緩んだように思う。

平成19年度司法事務協議会。
担当庁大阪高検。
ということで、朝から検察庁の入っている合同庁舎まで雨の中傘をさして出かける。
合同庁舎は大きくて新しくてきれいなのだけれど、遠いのと出入りがめんどうなのが難点。
もっとも新庁舎ができた当時、ごきげんの検察幹部のコメントとして、あと裁判所が近くに引っ越してくれば言うことはない、というインタビュー記事があったから、裁判所から遠いのはあちらも嫌なんだろうな。
それはそれとして。

協議会の会場は2階会議室。一歩入って内装と設備に圧倒される。
税金を使う立場っていいなあ。
フロアに段差がついていて、2人に1台の割合で机の上にディスプレーが置かれている。
もっとも今日の会議では使わなかったから、どういうふうに使うのかよくわからない。
それでもそこはかとなく「国際会議場」という感じが漂っている。
きっといろいろな国籍の方々がここで一同に会し、ディスプレーには英語の資料など写しだされて、と想像してしまった。

箱物のことはさておき協議会は午前刑事、午後民事。
数年前まで、刑事関係の協議会は、議論が熱を帯びることがあったが、裁判員裁判が目前に迫っているということで、その「大義」の前に些事は問題にならないようだ。
ひたすら迅速化に向けて突き進んでいるようだが、刑事裁判って本当にこれで以前よりよくなるのだろうか?
以前の何がいけなくて、何がこれからよくなるのだろう?

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国民の知る権利は民主主義の根幹だ

曇り。相変わらず寒い。

司法記者クラブとの新年会。人数合わせのための出席要請に応えたものだから、なるべく部屋のすみで大人しくしている。
記者さんたちの関心と話題はもっぱら某新聞の日曜日の朝刊の署名入り記事。抜いた、抜かれたの騒ぎ。
言われて見ればそんな記事あったなあという程度の内容で、しかも古い話で、たまたま内容が司法関係だったから読んだけれど、司法関係者以外はさして興味もないだろうし、読んでもなんのことかよくわからなかったのでは?
日本を代表する大マスコミの中でもさらに花形の社会部の司法記者の皆様の間でどうしてこれがそんなに問題になるのか不思議。
もっと読者のためになる、明白かつ現在の危機を伝えるニュースはいくらでもありそうに思うのだが。

副会長は、司法記者の皆様はこちらが報道してほしいことを報道してくれないと嘆き節。
抜いた、抜かれたの騒ぎを見ていると、全員に公平に情報を渡すからどこも書いてくれないので、どこか1社にここだけの話、とか言いながら書いてほしい記事を渡せば、全員が大騒ぎで書いてくださるのでは、と思えてきてしまった。
もっともそんなことをしたら後でどんな仕打ちをされるかわからないけど。
佐々淳行氏の正しいマスコミ対応の仕方では、クラブの全員に公平に発表すること、となっている。
そうでなければそれぞれが勝手に取材をはじめて収集がつかなくなるらしい。

広報委員会も2年目になるけど、未だにクラブの皆様の行動様式と思考方法がよくわからない。
部屋の反対のすみに若い美人がいると思ったら、岡山から転勤して来られた記者さんとのことだった。
府知事選では、タレント候補が女性に人気と報じられているけれど、岡山から来た私には大阪の女性の好みがよくわからない、とのことだった。
長年大阪に住んでいるけど、私にだってわからない。

修習生のころ、日経新聞の「私の履歴書」欄で、リークワンユーが一定の条件を満たした人には2票を与えるべきだと書いているのを読んだときには、民主主義に関して私が有していた常識と照らし合わせて、コペルニクス的どころか地軸が不意に3度ほど傾いたかと思うほどの衝撃を受けたが、現在では、新聞を読まず、ニュースも聞かず、見るものと言えばワイドショーとバラエティ番組だけみたいな国民に1票与えることはないぞ、と・・・・・・・・・(冗談、冗談ですってば)。


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温室効果ガス判決(NBL873本田論文)

曇り。寒い。温暖化が怖いので、寒くなってよかったという思いがする。なんだか変。

NBLの1月15日号に、温室効果ガス排出規制に関する米国最高裁判決の紹介文が掲載されている。
原告はマサチューセッツ州、カリフォルニア州、コネティカット州、イリノイ州等11の州と4自治体、13の私的団体、被告はアメリカ環境保護庁。
新車からの温室効果ガスの排出を規制する義務の有無が争われていたとのこと。

州や自治体が原告となって、国に規制をするよう求める裁判をするということにまず驚いてしまう。
日本では考えられない。大阪府と京都府と兵庫県が一緒になって国に対して温室効果ガスの規制をするよう求めるだろうか?

原告適格の争点で、海面上昇により州が財産的な損害を被っており、今後も被り続けるおそれがある、という主張を読むと、温暖化は将来の話ではなく、今そこにある危機だということがわかる。
?ところで合衆国はあれだけ温暖化に無神経だったのにどうして今度はこんな展開になっているのだろう?

沈みつつある船に乗っているときに、アメリカの新車を規制してもたいしたことはない、中国やインドでどんどん排出されているじゃないか、なんて議論をしても仕方がないだろう。それぞれができることからするしかないと思う。

合衆国の最高裁は、新車からの排出が温暖化に寄与していないこと、または排出の規制を行わないことについて合理的な理由を示さない限り、規制しなければならない、と判示したとのこと。
翻って我が日本政府は、洞爺湖サミットでどういう態度をとってくれるのだろう。

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インサイダー該当者の範囲

晴れ。気温の低さとは裏腹に日差しは元気いっぱい。

NHKの貴社のインサイダー取引のニュース。
金融商品取引法166条を見ると、1項1号が当該会社の役員が職務に関して知ったとき、2号が当該会社の3パーセント以上の株式を有する株主が帳簿閲覧権の行使に関して知ったとき、3号が当該会社に対する法令に基づく権限を有する者が権限行使に関して知ったとき、4号が当該会社と契約を締結している者、契約締結交渉をしている者が契約締結、交渉、履行に関して知ったとき、5号は2号または4号該当の法人の役員がその職務に関して知ったとき・・・・?
NHKの記者に該当しないなあ。
ということは、

166条3項
会社関係者から当該会社関係者が第1項各号に定めるところにより知った重要事実の伝達を受けた者。

これだと、取材した記者だから、その記者が書いた記事をこっそり見た今回の事件は、

・・又は職務上伝達を受けた者が所属する法人の他の役員等であって、その者の職務に関し当該業務等に関する重要事実を知ったもの(166条3項)

かなあ。
確かに同じNHKの記者だから、「所属する法人の」には該当するけど、「記者」は「他の役員等」なんだろうかか?
また、情報の取得の方法が「職務に関し」に該当するのだろうか?

合併などの重要事項について職務上伝達を受けた人が自社に戻って役員に報告をして、その報告書がたまたま目に入った平社員は該当しないのでは?
それとも、そういう場合でも、勤務時間中に会社の中で見かけたら「業務に関して」になるのかなあ。
それとも、報道機関というのが特殊なのだろうか?
それとも、今回の事件の情報取得方法は、たまたま知ったとか、こっそり見たというのではなく、(伝達を受けた記者から)「伝達を受けた」というものなんだろうか?

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小さな選挙

晴れ。気温はやや低いようだが、白い雲を浮かべた青空は春めいている。

大阪弁護士会は会長選挙の真っ最中。3人が立候補して選挙となるのは史上初らしい。
友新会の会員も立候補しているので、投票のお願いの電話を分担しているのだが、今までの経験と今年の経験を併せて考えると、電話をかけるよりもかけられる方がつらい。
特に誰と決めていなければ、各陣営から電話がかかってくるのだが、決めていないのはそれなりに政策などを見て考えたいからで、知り合いから電話があったからと言って決めたくはない。それなのに、決めていないというとどんどん電話がかかる。
特に選挙に興味はなく、誰かに頼まれて投票を決めているのにその後に他の知り合いから別の候補者への投票依頼があるというのもつらい。もう決めているからと言うのだが、そう答えるのも早い者勝ちみたいで気が引ける。
どちらにしても、電話で投票依頼をされると、断るのも悪いし、安請け合いも悪いし、でつらい。
電話をされる側がつらいのを知りながら、それでも候補者を応援しないのもやっぱり悪い気がして、電話の相手には申し訳ないと思いながら電話をかけることになる。
民主主義って大変だなあ。


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説明義務・情報提供義務と自己決定(潮見論文)

晴れ。気温は低いようだが、日差しがよいので冷たい風が心地よい。
大阪商工会議所女性会の新年会に参加。どんな雰囲気かとおそるおそる出かけたが、元気のよいしっかり者の女性の集まりといった雰囲気。
アトラクションは伍・芳(ウー・ファン)氏の古箏の演奏。
装飾のついた美しい箏がどのような音を出すのかと見つめていたら、予想外に力強い響きだったのに驚いたが、大阪商工会議所の女性会もそんな感じだと妙に納得。
美しく力強い音色が素晴らしかったので、事務所に戻って早速CDを注文した。
新年会には太田大阪府知事も来られて新年の挨拶をしていらっしゃった。
8年間の功績がおありだろうに、講演料で政治と金と言われて追い出されたようになったのが少しお気の毒な気がする。まして、その後に自民党の府会議員さんたちが担ぎ出したのが芸があるのかないのかよくわからないようなタレントではねえ。

3連休中に潮見教授の2005年の「説明義務・情報提供義務と自己決定」(判タ1178号)を読む。
同論文は、交渉力の格差があることから直ちに情報提供義務を正当化できるわけではないとして、憲法や新自由主義をその根拠とする理論を解説する。
学者は理論に命をかけているだろうが、適合性原則違反などを裁判で主張する立場から言えば、憲法から説き起こす説と新自由主義から説き起こす説を知っていても知らなくても、使い勝手に違いはない。だから、教養というか、どうしてこんな主張ができるのだろうかとふと疑問に思ったときに、自分自身に対して説明ができるというか、私にとってはその程度の意味なんだと思う。

読んでいるうちに、学生時代にゼミで、おばあさんが冬にガソリンスタンドにポリタンクを持ってきて、「ガソリン」と注文し、ガソリンをタンクに入れて渡したところ、後日おばあさんが自宅のストーブにガソリンを入れて火をつけたために家事になった場合、ガソリンスタンドに責任はあるか、と教授が質問されたことを思いだした。
4年生以上は民法の意思表示の条文などを根拠にしてそれぞれ答えていたが、3年生の一人が、どうしてガソリンスタンドの従業員は、おばあちゃん、「何に使うの」と尋ねてあげなかったのだろうかと言った。
意表をつかれた思いがした。
民法の意思表示の解釈以前に、状況からしてガソリンというのはおかしい、灯油の間違いでないだろうかと、普通は思うだろう。それなら一言聞いてあげるのが社会人としての常識的な態度ではないだろうか。

弁護士の立場からすれば、常識を理由に適合性原則違反を主張すれば足りる。それを「社会人の常識(良識)」ですまさず、憲法上の権利や哲学的思想によって理論付けをするのが学者の仕事なのだろう。

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大阪府知事選挙

晴れ。温暖化阻止と心の中で強く思ってはいても、春先のような陽気の中を歩いていると幸せな気分になってしまう。真冬はこれからだというのに。

大阪府知事選に5人立候補との記事を見て、3人じゃなかったんだ、と感心するが、残りの2人が誰なのか記事を見てもわからない。
三つどもえとの予想が書いてあるけれど、誰が知事をしても同じというようなときならいざ知らず、こんなご時世でも大阪府民はまだタレント候補なんかに投票するのだろうか?
大阪府民の良識を信じたい。

アメリカの大統領選挙戦の記事を見ると、候補者の陣営が投票日に高齢者宅に自動車で迎えに行って投票所まで連れて行ったと書いてある。
そういえばイラクの選挙でも、嫌がるイラク市民に対し、米兵が投票所まで連れて行ってあげると自動車で迎えに行ってたという報道があったっけ。
公職選挙法の本を見ると、選挙妨害罪のところに、選挙人を他所へ連れて行く行為が挙げられている。
ということは反対に、投票所に連れて行くという行為はよいのか。
投票所で正当な理由なく選挙人が投票するのに指示したりする行為は禁止されているけど、これには引っかからないのかなあ。微妙。
また、選挙運動の期間は、投票日の前日までとなっているから、当日選挙人の自宅を個別に訪問するという点にはどうなんだろう。
そもそも選挙期間中でも投票を依頼するための個別訪問は禁止されているし、引っかかりそうな気もする。
さらに、選挙用自動車の制限もあるけど、迎えに行く自動車は選挙用自動車とは言わないのだろうか?
公職選挙法違反判例集を見てもそういう類型のは見当たらないけど、日本ではこの方法はいろいろと公職選挙法にひっかかりそうな気がする。
ご近所誘い合わせて投票に行っただけという言い逃れも通りそうだけど。

もっとも、憲法の授業では、個別訪問の禁止は表現の自由に抵触するのではないかという議論を聞いたし、以前テレビでイギリスの選挙風景を映していて、候補者が有権者の自宅を訪問し、玄関先でおばさんにこてんぱんに言われているのを見て、候補者に直接有権者の声が届くのはいいなあ、と思った。
だから、現在の公職選挙法が唯一絶対正しいことが書いてあるとは思わないけど、なんだかアメリカの大統領選挙ってルーズそうだなあ。

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NBL872号特集

晴れ。昨日とうって変わって暖かい。

年末年始の読み物にNBL872号(1月1日号)を持ち帰っていたけれど、特集の「2008年企業を取り巻く法的課題」が36名の執筆者からなる一口話のようで、いずれも問題提起で終わっていてなんだか物足りない。

その中でも、これはおもしろいな、というのが、ソフトウエア開発契約の実態をよく見てほしいとの「偽装請負というけれど・・・・・」(川上氏ニフティ)、特定商取引法の定める特定継続的役務提供契約を中途解約するときの清算で大量購入者を優遇する方法を論じた「特定商取引における消費者と企業」(池田教授北大)、それに「説明責任と消費者利益」(香月弁護士)。

以前金融商品取引法の勉強会で、金融商品なんて説明されても目論見書を読んでも理解なんてできない、と言うと、勉強会参加者から不思議そうな目で見られた。だから、「一つだけ気になることがある。それは、金商法や金融商品販売法が適合性の原則と説明義務の範囲を拡大しつつ、顧客の理解を求める厳格な対応を金融機関に義務づけているとすれば、現実に投資適格のある顧客がどの程度存在し得るのかという疑問である」との香月先生の一文に接したときに、同じように感じている人がいる、と嬉しくなった。

しかし、こんなことを正面から認めたら、不適格者が取引をしているのが常識となって、不適格者を勧誘した(から違法な勧誘だ)と裁判で主張しても、だからどうなんだ、たいていの人はそうじゃないか、という裁判所の反応が返ってきそうな気がする、というか、今でもそんな気配があるように思うのだけど・・・?

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一件のみの談合(一方的拘束)

雨。寒い。
大学のゼミの教授から昨年は研究時間が十分にとれなかったという反省の言葉の書かれた年賀状が届いた。
この教授にしてこの言葉。
読むべき論文どころか読むべき裁判例、基本書の類を積み上げている私など一体どうなるのだろうか。お正月気分もとんでしまうようなおそろしい話である。

独禁法研究会で土屋企業事件を報告したときのことについて、一件のみの談合では「一定の取引分野」に該当しないので、独占禁止法に抵触しないとの指摘をいただいたと記載したところ、ご覧になった方から、それについては争いがあるとのご指摘をいただいた。

白石先生の「独占禁止法講義」(第3版)を見ると、一件のみの談合とは、特定の受注者に落札させ、他の入札者は落札しないようにする「一方的拘束」であり、昭和28年の東京高裁判決以来、一方的拘束は不当な取引制限に含まないとされていたが、平成14年に一方的拘束が不当な取引制限に該当するとして排除措置命令が出されたと記載されている。
平成14年の審決で、流れが変わったということだろうか。
しかし、そうすると、基本合意は独占禁止法上どういう位置づけになるのだろうか、という最初の問題に戻ってしまう。

読売新聞の連載に知とは体系だという意見が掲載されていたが、正論だと思う。
しかし、個々の問題を論じる前に体系を知っておかなければならない、と言われると研究会報告などいつになってもできそうもない。
にわとりが先か卵が先かで悩んでいるより、一つでも多くの判例とその評釈に当たり、他者との議論の中で体系を理解するしかなさそうに思うのだが。

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