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独占禁止法(鶴丘灯油事件)

晴れ。冬から春に向かいはじめた。

独占禁止法実務研究会。
研究会常連の某社内弁護士が欠席。
液晶で公取の立ち入りがあったとのことで、大変そうだなと思う反面、そんな現場に立ち会えるのがちょっと羨ましい。そのうち研究会で報告してもらえるかな。

鶴岡灯油訴訟(最判平成元年12月8日)。
昭和47年10月から昭和48年12月にかけて発生した第一次石油危機の際に石油製品の値上協定を締結実施したこと、輸入原油処理量の割当をしたことに対し公取が勧告審決をし、これを受けて、原告らが民法709条で山形地裁鶴丘支部に提訴。

管轄は東京高裁であるとの被告の主張に対し、裁判所は709条での訴訟として鶴丘支部に認めた。

どうして独占禁止法25条ではなく民法709条での請求したのかと研究会参加者の間でちょっと話題になったが、おそらく消費者による訴訟だったので、鶴丘から東京高裁まで通う時間と電車代を節約するため、鶴丘支部に管轄をとるためだったのだろうということで納得。

原告が直接の取引者ではないことから原告適格も争点となったが、裁判所は消費者である原告らに原告適格を認めた。
なお、合衆国の連邦法では直接の取引者にしか原告適格が認められていないが、州法では直接の取引者以外にも原告適格を認めているものがあり、連邦と州と双方で訴訟が起きた場合、連邦裁判所が一括して審理するとのこと。
直接の取引者でなければ、値上げの効果(被害)をどの程度受けているのか立証が困難だが、他方直接の取引者なら、値上がり分は価格に転嫁できるから実質的な被害はないのではないかと議論になる。
合衆国では、統計的手法で被害額を算定し、その専門の会社もあるとのこと。
合衆国では懲罰的損害賠償があるので、消費者が訴訟を提起しても費用倒れにならず、訴訟が盛んに行われているとの解説。

結局、価格カルテル後に狂乱物価と言われる価格上昇があったので、価格カルテル直前の価格と購買価格の差額が損害であるとは言えない、つまり損害の証明または損害の因果関係の証明がないとして請求が認められなかった。
それなら、何のために価格カルテルをしたのだろうか?と不思議な気持ちになる。
意味のない価格カルテルをして、公取が勧告審決をしたということだろうか?
狂乱物価の引き金となったのが石油の価格カルテルだったので、公取が動いたということだったのだろうか、という感想がつぶやかれる。

懲罰的賠償制度もなく、電車賃も節約して起こした訴訟の結論がこれでは、日本の消費者は訴訟を起こす気になれないだろう、ということで、やっばり課徴金で利益をはき出させて処理するのがよいのかなあ、という結論で研究会終了。


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企業不祥事を防止する社内体制の構築-山口利昭先生講演

雨のち曇り、ときどき雨。冬が終わりつつあるのだろう。

大阪商工会議所サービス産業部会で山口利昭先生講演「企業不祥事を防止する社内体制の構築」。
山口先生(ビジネス法務の部屋)の危機管理の講演なら聞いておかなくちゃ。
雨と寒さの中を本町から20分歩く価値は十分あり。
先週からへたくそな講演やら解説やらスピーチやらを続け様に聞かされてうんざりしていたのだが、さすがに山口先生の講演は上手い。先週以来のストレスを一気に解消するくらい面白かった。

山口先生の講演を聴いていてあらためて「不祥事」というのはいつどこで何の拍子で出てくるかわからないという怖さを知る。
マンションの耐震偽装を告発したイーホームズは、警察の執拗な捜査で耐震偽装とは何の関係もない増資の見せ金を立件されたとか、吉兆の女将は、記者会見で、先代に対してはどうお考えですか、と尋ねられたので、先代に対して申し訳なく思っている、と答えたら、質問の部分をカットして、女将は客には謝らずに先代に謝ったと報道されたとか。
もっとも、先代に申し訳ないという言葉を、客の方を向いていないと受け止める人って少ないと思う。先入観なく聞くと、「先代」というのは、店にとっての良心の象徴であり、大切に守るべきものを示す言葉だと受け止めると思う。憲法の「国民」が法制定時に存在した個々の日本人を指しているのではなく、現在及び将来に存する日本人すべてを含むのと似たような言語感覚で。
国民を操作しているつもりで悦にいっているマスコミが考えるよりも日本人は知的・・だと思うけど・・・府知事選の結果を見るとよくわからないなあ・・・。

山口先生のレジュメの1頁目を見てあれっと思ったのは、不祥事企業名は伏してあるのに、一つだけ名前が出ている。「不二家報道事件」
不二家が虚偽報道に抗議し、抗議を受けた報道機関の危機管理の分類。ちなみに本体の事件は「菓子製造関連」となっている。
本日の先生の講義の中に不祥事に関する虚偽報道に抗議することのメリットデメリットというのがあったが、まさにそれを示すかのようなレジュメの記載。

某ホテルの日教組集会拒否では、仮処分を無視したことよりも、宿泊キャンセルの業法違反の方が重大になりそうで、リスク管理はここまで想定してなされていたのかとの指摘。
会社からリスクマネジメント委員会(または顧問弁護士)に対してどのような内容の諮問がなされたのだろうかと考えてしまった。
仮処分を無視することのメリット・デメリットを検討し、評価せよ、との諮問なら、それに伴う予約キャンセルがどのような問題を引き起こすかは委員会の守備範囲から漏れてしまうのではないだろうか?
それともホテルのリスクマネジメント委員会なら、諮問になくても当然に業法を視野に入れた議論をしなければならいなのだろうか?
それとも、今回の対応は、宿泊キャンセルと業法違反による危機まで織り込み済みなのだろうか?

1時間半、盛りだくさんの内容で、あれこれ考えながら聞かせていただいた講演は、とにかく面白かった。


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本町塾(地方自治法-地方分権)

晴れ。昨日とうってかわって暖かい。
事務所のドラセナに花が咲く。まさかドラセナに花が咲くとは思ってもいなかった。無数についたつぼみの内9つくらいが咲いただけなのに、強烈なにおいがする。嫌なにおいではないが、きつすぎる香水といったところ。咲くなとも言えないし。

本町塾では指定管理者のメリット、公の施設の利用関係、地方分権と駆け足で走り抜けて地方自治法終了。

機関委任事務から自治事務へ。
地方に権限を持たせると地方ごとに独自色が出せてよいように思うのだが、ついて回るのがお金の問題。
機関委任ならば国の事務を委任しているので、国が人件費を出すが、地方の事務ということになると国が金を出す理由がない。
権限と金を一緒に議論するか別々に議論するかでもめていたのはこういうことだったのか。

分権なんて言って騙されたようなものだなと思っていたら、246条以下に国または都道府県の関与の手続の規定が設けられ、手続的に地方分権に配慮されるようになったとのこと。
訴訟の提起も可能だから(251条の5以下)、手続保障がなかったころと比べると地方分権に配慮がなされていると言えるだろう。
尤も、地方自治体が国を訴えるのを見てみたいものだ。
合衆国なら、温暖化対策をせよなどと州が国を訴えていたけれど、日本で地方が国を訴えるところなんて想像がつかない。破綻してしまって破れかぶれというならともかく。この国ではそういうのを革命と呼ぶのじゃないだろうか?

ノートには道路建設についての先生のコメントのメモ、国道ができればそれに接続する都道府県道が必要で、都道府県道ができればそれに接続する市町村道が必要となる、と書いてある。
道路の建設や補修には多額の費用がかかり、その整備費を備蓄するのは当然だから、建設費は余っている状態が普通、との説明だったが、余った金を大切に備蓄してくれているならともかく、職員用アロマ器具に化けているのはどうかと思う。お上も本当に必要な備品だったなら、ごにょごにょ言わずに、堂々と必要性を論じればよいのに。

次回から地方公務員法。


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無罪と冤罪

晴れ。相変わらず寒いけど、日差しはよいから寒々した感じにはならない。寒いというより冷たいという方が感覚に合う。

鳩山法務大臣が、冤罪発言で謝罪なさったとの記事。
最初冤罪事件ではないと仰ったとの記事を読んだとき、有罪だけど証拠が不十分だったという意味かなと思ったけれど、釈明を読むと無罪事件と冤罪事件とは違う、無実の人に有罪判決が出たのが冤罪事件で、無実の人に無罪判決が出たのは冤罪ではないと考えていたということだと思う。
私も無罪と冤罪の言葉の使い方で奇妙に思ったことがある。だって、有罪判決が確定するまでは無罪の推定が働いているから、無罪判決が確定したときには、ずっと無罪の推定をされていた人が無罪になったというだけのことで、濡れ衣を着せられていない、というのが日本の法律のはず。
法律の建前からすれば、鳩山大臣の無罪判決が確定した人は冤罪を着せられていないという理屈もわかるけれど、冤罪ではないとだけ聞けば、本当は有罪なのに検察の立証が不十分だったので無罪になった、という風に聞こえるのはどうしてだろう。

裁判員制度を前に、国民みんなが、この違和感の元を考えるのは有意義なことだと思う。法務大臣自ら問題提起してくださったということか。

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内部統制シンポジウム

よく晴れているのに雪がちらついている。見かけよりずっと寒い。

会社法における内部統制のシンポジウム。
コンプライアンスについての講演で、食品で一番大切なものは安全性、二番が味、ブランドだの表示だのは三番目、安全面も味にも問題のない食品を捨てないというのは日本の重要な価値観だったはず、というはちょっと面白かった。
その先生によれば、順番を間違えて、ささいな表示に目くじらたてているうちに、食べたら生命に危険のある食品が出回っていたじゃないか、と。

中国産を国産と表示するのは、顧客の安全性に対する信頼を損なうから三番目の表示の問題から一番目の安全の問題に格上げされるのだろうか?
解凍して売っているのに、販売日に製造したと表示するのは、単純に三番目の問題かな。
トレハロースの表示漏れは、安全性に問題はないけど、味には影響するかもしれない。どちらかといえば三番かな。
重量順の記載なのに、順番が入れ替わっていたというのは、三番の問題だろう。
どうして事の軽重をつけずに目くじらたてて新聞が連日報道していたのだろう。暇だったのだろうか。

日経の記者さんの講演もあり、内部統制がしっかりした会社が不祥事を起こしたら、内部統制システムがしっかりしていたということを考慮した報道をするのか、とのテーマについて、答えは一切考慮しない、水に落ちた犬はたたくのが業界的に正しいこと。さらに不祥事を起こして世間の批判に晒されている会社は言い返さないから、「書き得」と言って、多少いいかげんな報道をしても大丈夫だとか。

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私的憲法タイムスリップ

晴れ、にわか雨。寒さにも随分慣れてきた。

午後家裁で和解。
人事訴訟の管轄が家裁に移った当初は、裁判は地裁ですればいいじゃない、と思っていたが、最近家裁に移してよかったなと思うようになった。
人事訴訟担当の裁判官の方々に、民事訴訟の片手間に人事訴訟というのではなく、人事訴訟のプロという感じが漂っていて、安定感がある。
裁判所は人材豊富だ。

広報委員会から、大がかりな道路工事によって、数年間店の前の道がふさがれ、客が来なくなって売上げが減った場合に補償請求できるかという質問があったのでコメントするよう電話。
そんなこといきなり聞かれてもわからない。
しばらく考えて、もしかしたら憲法の問題かもと思い、受験時代の佐藤幸治先生の「憲法(新版)」を久しぶりに取り出す。
「待望の(新版)」などと書いてあるが、10年以上前の本だから、もしかしたら改訂されていて、学説が変わっているかもしれないと不安になり、新しいのを買いに行く。
生化学の分野なら10年も経てば見知らぬ世界だが、まさか憲法ならそんなに様変わりもしていないだろうとたかをくくって書店の書棚を見て唖然。

浦部先生の本が・・1冊になり、分厚くなっている。松井茂記先生が・・松井先生が体系書を書かれたのか・・・(しばし感慨にふける)。長谷部先生の本には(1)とか(6)とか書いてあるが、もしかしてシリーズ本なのだろうか?憲法学がこんな厚さの本でシリーズになる・・・。
ほとんど突然未来にタイムスリップした状態。呆然と書棚を眺める続ける。そもそも一世を風靡した佐藤幸治先生の本が一冊もない。芦部先生は相変わらず改訂を続けていらっしゃるようだ。
栄枯盛衰(適当な表現かどうか知らないが)という言葉が浮かぶ。
ご自身の学説またはご著書を受験生の間でメジャーにするためにLS設立に固執していらっしゃるのではないかなどと失礼な噂まであったのに、万物は流転するというか、久しからずというか。
いや、もしかしたら、売れすぎて書店に一冊も残っていないだけかも。

結局憲法はあきらめて、宇賀先生の行政法の二冊組みのを購入。

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研修委員会

曇り後小雨後晴れ。寒いが日差しは力強い。寒いのに冬らしくない。

研修委員会。
新入会員研修を受講していない会員や、義務化研修で単位が不足している会員にどう対応するか。

それにしてもどうして新入会員研修を受講しないのだろう?
事務所の事件が忙しくて、受講している時間がないのだろうか?
受講しなくても、自分は実務に精通しているから大丈夫、あるいはわからないことがあれば事務所の先輩に聞くから大丈夫、ということだろうか?
受講したらその分野についてなんでもできるようになるというわけではないが、その分野をよく扱っている講師から、どこに注意したらよいのか、どの資料をみたらよいのか、最近の判例はどうなっているのか、などひととおり聞いておいて損はないと思うのだが。
それとも、もしかしたら自分のやりたい分野以外は全く興味がないので、研修も受けないということなんだろうか。
そんな人に、自分の専門は○○と吹聴されてもなあ。

講師は忙しい中、講義を引き受けていて、委員はそれぞれ仕事の合間を縫って、研修計画を議論している。
講師も委員も自分にメリットがあってやっているわけではない。
会員が事故を起こさないように、市民からの大阪弁護士会会員への信頼に応えられないような事態が生じないように、と思って行動している。
研修受けない人は自分のリスクで行動しているのだから、勝手にさせておいたら、と言いたくなるけれど、親切な先生方は、真剣にどうしたらよいか議論していらっしゃる。

弁護士の人数が増えてくると、こういう善意の行動を続けるのもむつかしくなるのだろうか。
悪貨は良貨を駆逐するとは言うけれど。

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