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行政法研修(土地収用法)

晴れ。冷たい風に春の陽差しが心地よい。

行政法研修第2回。土地収用法。
土地収用法に関しては、本町塾で条文の読み方と手続の流れを習っているので、この研修はちょっと楽しみにしていた。六法がないとわけがわからなくなるだろうと持参して正解。

講師の先生にちょっと癖があり、話がぽんぽん飛んでいるようで最初はとまどったが、内容は充実していて期待していた以上によかった。
実務で問題となっている事項を中心にした解説。
講師は、まず、土地収用委員会を行政型ADRと性格づける。
この性格付けが収容手続の進め方に影響を及ぼしているのがわかるのは研修の後半になってから。

委員会の手続は、補償の金額については当事者主義、その他の事項については職権主義でなされる。
価格については、価格固定日が定められているため、交渉段階に比して裁決申請がなされた時点での提示額が低くなることがある。
収容される側は、通常そんなことは知らないから、頑張って交渉していたら、裁決申請され、交渉で聞いていた額よりも低い額で申請されたことに立腹されることがままあるとのこと。
起業者側も事業認定の告示があってから1年以内に裁決申請をしなければ認定の効力がなくなるので、エンドレスで交渉というわけにはいかないのだろう。

というわけで、「価格固定日」に注意。

価格固定日があるということになると、土地の価格が下落傾向にあるときには、収容される側からすれば、その固定日を早めにした方が金額面では得ということになる。
そこで、収容される側から起業者に申請をするよう請求できるという制度がある。
これを「逆収用」と呼んでおられた。
金額面では得と言っても、土地を失うわけで、土地の使用利益を考えたら、あるいは心情面を考えたら、得なのかどうかよくわからない。

損失補償は現金が原則だが、「替地」も可。
えっ、と思ったのが、第三者の土地と替地をしてほしいとの要求があった場合について。
他人の土地と交換してほしいなんて、民民の売買ではちょっと考えられない。
地上げ屋さんと交渉しているなら別かもしれないけど。

「第三者の土地を取得して替地せよ」
なんて裁決が出るはずがなく、委員会がその要求がもっともだと思ったら、そうしてあげたら、という「勧告」が出せるとなっている。
勧告にしてもすごい。赤穂浪士の世界か?

その他、縦覧手続中に事業認定に意見書を出しておかなければ、審理で意見を述べられなくなるという時期に遅れた攻撃防御のルールの厳しい版みたいなルール(補償金額に関する意見を除く)。
要するに金を払えばお上は国民の土地を取り上げてもよいということか、と思っていたら、「認定無効」の主張はできるとのこと。
しかし、事業認定に「重大かつ明白な瑕疵」があると主張しなければならない、というか主張するだけなら簡単なのだが、職権主義とはいえ、主張だけしておけば委員会が証拠を見つけて来てくれる、というわけにはいかないだろうから、やっぱり証拠を提出しなければならない。

申請が法律に反しているときは却下。
交渉での起業者の担当者の態度に対する苦情を言う人が多いが、交渉態度は却下事由ではない。
それにもかかわらず、講師は、なるほどと思える苦情はできるだけ聞くようにしているとのこと。
行政型ADRであるとの信念のもと、和解のチャンスをそうやって模索しておられるとのご説明。

なお、起業者は土地価格につき鑑定をして申請をしているため、委員会が鑑定をしても、起業者が申請している買い取り額を超える鑑定が出ることはほとんどなく、超えたとしてもたいして違いはない、とのこと。
争ってもしんどい思いをするだけなら、そこそこの額を提示されたらあきらめて立ち退くというのも一つの割り切り方かもしれない、と思った。
ロビンフッドみたいに生涯かけて抗戦するなら別だけど。


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