« 本町塾(地方公務員法1) | Main | 遺言に関する実務上の諸問題(高山裁判官講演) »

企業防衛シンポジウム雑感-最高裁決定のハードルは高そうだ

晴れ。暖かい、というより陽気。

企業防衛シンポジウム。
ブルドックソース最高裁決定にもかかわらず、取締役会または株主総会普通決議での防衛策の導入と平時の導入がメインとなっているらしい。
その理由は簡単で、防衛策の導入について特別決議をとることができない、ということらしい。
機関投資家が承諾してくれないので、せいぜい過半数(と言っても議決権を行使するのは7割とのことだったから、35%強の株主となる)の賛成しかとれない。
それなら防衛策導入をあきらめるかと、というと、それもなんだから、ということで、普通決議で導入。
しかもブルドッグと異なり買収者に損害を与えるスキームをとるとのこと。
ブルドッグは事前の警告がなかったから買収者に損害を与えることができなかったが、事前警告型だと買収者は事前にわかって買収を始めたのだから経済的損失を与えてもよいだろう、との説明。

ちょっと待って、と思う。
そもそも3分の1以上(もっとも議決権が7割しか行使されていないとすると24%程度)の株主が嫌がっているのに、防衛策を導入してよいのだろうか?
最高裁決定は、防衛の必要性(株主共同の利益が害されるか否か)は、圧倒的多数の株主が防衛策に賛成したということで認めたのではなかったっけ。
ということは、普通決議しかとれなかった場合は、必要性について、普通決議があったこと以外にも裁判所が納得する理由を付加しなければならないのではないだろうか?

機関株主が防衛策の導入に反対するのは、導入されれば株価が下がるおそれがあるのと、高値で売却するチャンスを逃すことになるかもしれないから、及び経営陣が株主への配慮を欠く経営をする危険さえあるからではないのだろうか?
防衛策のない会社の株式なんかいつ買収がかかるかわからないから嫌だと思う株主は、そんなごたごたが始まる前に株式を売却すればすむことではないのだろうか?
あるはごたごたが始まってから、より高値で買い取ってくれる方に売るとか。

パネラーの公認会計士の先生は、大多数の会社が導入している方法をだめだという勇気が裁判所にあるか、と仰るが、それこそ蛮勇じゃないのか?
というか、そもそもその方法をあちこちにこれで大丈夫って売って歩いているんでしょう?

ブルドッグは、たまたま定時総会の時期だったので、定時総会で防衛策を導入できたが、そんなに都合のよいタイミングでなければ、臨時総会の招集をするのが大変、時間的余裕がない、という理由も挙げられていた。
そう言われると現実的には困難・・・。

面白かったのは、買収者には金銭ではなく、無議決権株式を割り当てるという方法で、これは無議決権株式の上場が認められたら、という条件つき。
現在東証が検討中とのこと。
無議決権株式の経済的価値って議決権のある株式と同じなんだろうか?
一定数以上の株式を保有すると、自動的に会社がその株主から株式を取得して、無議決権株式を交付する、というようなスキームになるのだろうか?
それとも、取締役会か総会かで濫用的買収者認定をして、その認定をされた株主の株式を会社が取得して、というスキームになるのだろうか?

なお、取締役会設置の株式会社の総会の権限は法律及び定款で定めた事項に限定されているので、それ以外の事項を総会決議事項としようとすれば、予め定款変更手続が必要。
・・これができないから困っているのでは?

パネラーの会計士の先生は、いとも簡単に濫用的買収者だから、という前提をおいて話をなさるが、実務においてその立証は困難だと思うし、立証に失敗したらスキームは全部ひっくり返るというリスクがある。
経営者に物を言えば濫用的買収者か?

大学院生だったころ、商法専攻の人達が株主総会と言えば総会屋対策というのが当たり前のようなことを言っていて、違和感があった。
だって議論するために集まっているんでしょう?株主は発言しないのが普通なの?
頭の中にあったのは、バイエルに勤務しているときに見たドイツバイエル社のパンフレットの写真。株主総会の風景。ロビーには商品が展示され、大勢の株主が和やかな雰囲気で集っていた。

シンポジウムの結論は、防衛策は、何もないより、何かあった方がまし、というもの。
買収側にとっては、株価が実際の価値より低い会社がねらい目とのことなので、日頃から株主にろくに配当をせず、遊休資産や含み資産をため込んでいる会社は、やはり何か手を打っておいた方がよいと思う。
もっともそういう会社の株主が、経営陣の言いなりに防衛策の導入に賛成してくれるかどうか知らないけど。


|

« 本町塾(地方公務員法1) | Main | 遺言に関する実務上の諸問題(高山裁判官講演) »

「会社法」カテゴリの記事

Comments

こんにちは。
買収されるのがイヤなら
上場を止めたらいいのにねと思う。
上場していることに無理があると。
企業や一部のアドバイザーがこんな議論をしているなかで、東京や大阪を金融センターにといっても、
マーケットとしてどうかと思います。鎖国したらと。
専門家としてアドバイスする側も、近視眼的に考えるのではなく、大局的にみたポリシーをもってプロとして振る舞うべきじゃないかと思う今日この頃。
お抱えか、太鼓持ちか?

Posted by: まつい | 2008.03.14 at 02:30 PM

コメントありがとうございます。
原則は経営者が株主を選択すべきでない、ですよね。
それが嫌ならMBOをすれば、ということで。
そうは言っても、横並び意識もあるし、ほかがしていることを自分がしていなくて、グリーンメーラーに食い荒らされたら今度は株主から責任追及される可能性もあるということで、経営者も大変なのだと思います。
今回のシンポジウムは目新しくなくなった方法を公開して、お金を払った顧客にはもっと洗練された方法を提案するのでは、なんて疑ってもいるのですが(^o^)

Posted by: 悠 | 2008.03.19 at 01:48 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 本町塾(地方公務員法1) | Main | 遺言に関する実務上の諸問題(高山裁判官講演) »