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Aiが拓く新しい医療(海堂尊)

曇り。昨夜の風雨でも桜はまだ残っている。

『死因不明社会』(海堂 尊)

検察修習で、司法解剖と行政解剖があると教えてもらったとき、どういう違いがあるのかよくわからなかった。
弁護士になって医療事故相談に関する手引書を読むと、間に合うようなら相談者に解剖をするようアドバイスをすること、と書いてあった。
ここで言う解剖が司法解剖や行政解剖と違うことはわかるが、それらとの関係はわからなかった。

本書を読んで初めて司法解剖、行政解剖、病理解剖の制度がどのように構築されているのかがわかった、と同時に、どうしてわかりにくかったのかがわかった。
解剖写真は好きではないし、解剖に関する解説書なんてできれば読みたくないと思っていたが、本書は非常に読みやすい。
そして読み進めるうちに、著者の主張する、死亡時検索制度は日本に必要である、との思いに至る。それも切実に。
死亡時検索制度は必要だ。
医者のためにも国民のためにも。

医療事故相談に当たっていると、高齢のご親族が長期入院中に亡くなられたという相談がままある。
ある相談者は粗略に扱われていたと怒り、ある相談者は何か病院に落ち度はないかと相談される。
どう考えても、幸福な末期医療の姿ではない。
医師の友人は、弁護士がどんどん増えているようだが、そのうち根拠のない、いいがかりのような医療訴訟が起きるようになったらどうしよう、と心配する。
忙しい医師にとって、たとえ理由がない請求でも、訴訟に巻き込まれることは迷惑このうえない。
だからと言っていくらか金を払ってそんな訴訟を終わらせようなんて考えたら、それ以後モンスターたちの食い物にされることは容易に想像できるだろう。

著者は、死亡時医学検索がなされなければ、医療機関は末期患者をどのように扱ってもばれる心配がない、心配がなければ手を抜く可能性があると指摘し、また、死亡時医学検索がなされなければ死因が特定できず、医療事故として訴訟になっても水掛け論になる、と主張する。

よりよい医療を確保し、そのような医療を提供する医師を守ることは、国民にとって非常に大きな利益だ。
もっとも、医療事故に限定したこのような言い方は、著者が嫌うところではある。

ともあれ、ロジカルモンスター白鳥室長が展開する小気味のよいロジックを一人でも多くの人に読んでいただきたい。
無知は罪だ。
と著者は声高に主張するのだから。


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