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米子の弁護士

曇り。そのうちまた暑くなるそうだけど。

知人から親戚のために弁護士を紹介してほしいと言われ、どの地域で探しているのか尋ねると聞いたことのない地名。
中国地方とのことなので、とりあえず米子で開業している研修所のクラスメートに電話して、その地名を告げたところ、彼も知らない。
地図で確認してみるとので最寄りの裁判所支部の所在地を聞いてくれと言われて尋ねると、浜田。
浜田なら5名登録があると言われて、知人にそう告げると、そんなことは知っているが、よい弁護士を紹介してほしいので尋ねているのだとのこと。
うーん。こういうのもアクセス障害の一種?

簡単に事案の概要を説明し、5名のうちで適任者はいるかと尋ねると、それならこの人、彼のことはよく知っているのでこちらから連絡をしておいてあげようと推薦をしてくれた。

数日後知人に会うと、親戚が紹介された弁護士のところに行ってその対応に満足している、と言われた。
よかった。
早速米子に電話をしてお礼を言うと、なんだか自分のことのように自慢している。「そうだろう、彼は僕より若いが優秀なんだ。」

研修所を卒業してから10年。記憶にあるよりも穏やかな物言い。覚えていてくれているかなあと心配しながら電話して、わかってますよ、と対応してくれたときもちょっと感動したが、最後の台詞には心の底からどきどきした。気負いのない率直な語り口。こんな台詞自分の仕事に自信がなければ言えないよなあ。
この人の10年が羨ましくなった。

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法律相談雑感

曇り。ここのところ暑くない。暑いと温暖化かと心配するけれど、暑くなくなると温暖化が次のステップに入ったのかとさらに心配になる。杞の国の人が天が落ちて来ないかと憂えたことを杞憂というそうだが。

会館法律相談。
会館での相談は、他の場所での相談に比べて内容の濃いものが多い。
内容は濃いのだが、問題となっている金額が低く、弁護士費用を支払うと経済合理性がなくなるのではないかと思われる事案では、今後の手順を説明し、できる限りご本人で対応できるように説明する。
一通り説明を終えて、がんばってくださいと送りだそうとすると、不安な表情をされる。
お気持ちはよくわかる。しかし、それではそのような事案に弁護士をつけて費用を支払うかというと、それはそれでやはりお嫌だろう。

日本では欧米に比べて国の司法予算が著しく低いと言われている。
国がもう少し弁護士費用を援助すれば、もっと司法は使いやすくなるのではないだろうか。
現在の司法支援センターは、利用できる人の資産の審査が厳しく、かつ支払われる弁護士費用が低いため、利用者にとっても弁護士にとっても使い勝手はよくない。

アクセス障害を解消せよとマスコミは言うが、新たに開設された千里中央法律相談所は閑古鳥が鳴いている。
今時、法的な紛争に弁護士を使うことを知らない人もいなければ、市役所や弁護士会での法律相談を知らない人もあまりいないのではないだろうか(もし法律相談があまり知られていないなら、弁護士会に広報せよと記者クラブが詰め寄る前にマスコミの使命として何かしようと思わないのだろうか? )。
アクセス障害と言われているものは、もしかしたら物理的な障害ではなく、経済的な障害ではないだろうか?
我が国では国民皆保険制度のため、通常の医療であれば医療費の心配はそれほどしなくてすむが、アメリカでは、医者にかかろうとすればまず費用を支払えるか尋ねられ、支払えなければ治療を断念すると聞く。
日本の弁護士費用は、アメリカの医療費ほど高額ではないが、状況は類似しているのかもしれない。

アクセス障害と言われているものを解消するためには、相談場所を増設するより、国に司法予算を増額するよう要求する方が解決策として適当ではないかと思う。

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法廷弁護技術研修(交互尋問)

曇り。

トライアル・ローヤー要請連続研修を聴講。
聴講していらっしゃるのが登録1年目か2年目の人ばかりで、仲間はずれ扱いされたらどうしようかとためらったが、有名な刑事弁護の先生方の証人尋問実演講義となるとやっぱり聞きたい。
会場に着くと予想よりずっと聴講者が少なく、さらに聴講者の半分くらいはベテランの先生方。

最初に、講師を養成しながら聴講者も教育する、という趣旨説明がなされ、実演の後講評、さらにその講評を講評する、という順で進行する。
指導のレベルが格段に向上していると感じた。私が修習生のときには、自分でこれはと思う先生の尋問を法廷で見学するように、と言われたように思う。また、交互尋問の講評もこんなに理論的で親切ではなかったと思う。

それはさておき、本を読んで理屈は知っていたが、それを目の前で実演されると、これがそうか、と納得する。
もっとも現実には、こんなに証人が優秀でてきぱきしていることもめったにないだろうけど。

事案は、あうんの呼吸で強盗している共犯の否認事件で、裁判官だけの法廷なら否認しても無駄だと思われるが、もしかしたら裁判員裁判になったら、否認してみる価値もあるのかなあ?
どう展開するのだろうかと見ていたら、検察官役の先生のみごとな反対尋問で、最後に共謀関係が浮かび上がった。

今まで証人が答えたら反射的に返事をしてしまっていたが、それが聞いている人に耳障りだとか、手は腰の前においておくのが自然な動作を妨げないとか、今度証人尋問の機会があったら、早速実践してみよう。

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蜘蛛の糸ほか

せっかくの大阪市のミストも役にたたないと思われるほどの暑さが一転して灰色の雲が空を覆って雷。
毎日夕立が降ってほしいという私の願いはここのところ叶っているのだけど、ぜいたくを言えば少しイメージと違う気がする。

大阪弁護士会の総会に出席。
執行部案、執行部原案(対案)が提出され、双方の賛成、反対の意見が陳述される。
弁護士は書面は得意だが弁論は苦手と言われているけど、なかなかどうして聞き応えのある演説が展開される。

弁護士の増員に登録1年目、2年目の弁護士、それもLS出身の弁護士が反対しているというのを聞くと、なんとなく芥川の「蜘蛛の糸」を連想してしまうので、そんなことを考えていけない、と自分を叱っていた。
ところが、今日は、登録1年目のLS出身者が、演説に立ち、合格者を減らせということは、LSの受験生にとってひどい話だ、LSの学生よりも国民の利益を優先してはならない、という趣旨のことを述べた。
確かにさっばりとして潔がよい。
大増員のおかげで合格できた人が、合格したとたんに増員に反対するのは他人から見て違和感があることは否めない。
けど、国民の利益よりもLSの学生の利益を優先しろと公の場で堂々と言ってのける人が弁護士としてふさわしいかどうかは別の問題、というか、こういう人が弁護士になるからLS出身者の質が問題となるのだろう。

さらに面白いことに、国民は、国民の利益よりもLSの学生の利益を優先せよという方に賛成で、国民の利益を保護するために弁護士の質を確保せよという意見に対して反対、と大マスコミ様方は仰る。
本当に国民がこんなことを言うかどうかは知らないけど、というか、こんなことを言っている大マスコミ様は部数を減らして苦戦していらっしゃるようだけど、それはそれとして。

もし本当に国民がこんなことを言っているのだとすると、モーゼが異国の神を崇める民に絶望したときの神がモーゼに言った台詞が思い浮かぶ。

総会の結論から言えば、対案(執行部原案)が提出されたことで、執行部案は有利になったように思う。
対案が出て論点がずれてしまわなければ、執行部案は否決された可能性があったのではないか。
なお、これについては、「戦争と平和」で、エレンが夫以外の男性との結婚を相談するにあたり、外国の王子と公爵のどちらと結婚しようかしら、ともちかけたというエピソードを思い出した。

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大阪弁護士会総会まであと2日

晴れ。温帯地方の夏とは思えないほど暑い。大阪市が実験的に市役所周辺にミスト噴霧器を設置している。結構効果がありそうなので、もっとあちこちに設置してほしいなあ。

大阪弁護士会として、法曹人口問題について何らかの決議をするかどうかの総会が開催される予定。
LSができるときには、従来よりも質の高い法律家を養成する、というふれこみだったのに、法曹人口増員賛成派は、今になって質が下がることは当初から織り込み済みだと主張する。
質が下がるなんて知っていたら、賛成する国民がどれほどいただろうか?
法曹人口増員反対は弁護士のエゴだ、できてしまったLSをどうする、と新聞の社説は書く。
けど、LSのために国民の利益を犠牲にせよなんて本末転倒だと思う。
不合格者が出て困っているので、合格レベルを落とせとLSは主張する。
こういうのをエゴっていうのじゃないだろうか?

現在の弁護士数で裁判員制度に対応することができるか、というのは私にはわからない。けど、裁判員制度そのものが国民から不人気で、こんな制度がいつまでもつのか疑問だと思う。

私が就職した事務所のボスは証人尋問が得意だった。そして証人尋問は大切だからと事務所の事件の証人尋問は全部ボスが自分でして、私はその補助をするだけだった。
ボスの尋問を見ているのも勉強になるが、自分でもやってみたかった。
登録したての弁護士が証人尋問をすることができる事件が刑事の国選事件だった。
争いのない事件でも情状証人と本人の主尋問をすることができる。予めあれこれ質問内容を考え、打ち合わせをして尋問に臨む。検察官の質問に対して異議を申し立てたり、検察官から異議の申し立てを受けたりしながら、経験を積んでゆく。

こんな話を登録したての弁護士にすると、今では刑事国選事件だってそんなに簡単にはできない、割当がほとんどない、と言われた。
修習期間が短くなったうえに、OJTの機会も減っているというのは、若い弁護士の成長にとって厳しい状況だと思う。
バブルの頃、アメリカがアメリカの弁護士に市場を解放しろと迫ったとき、法務省は、日本の弁護士とアメリカの弁護士とでは質が違うと拒否をした。
このまま増員が続けば、この法務省の主張が自明のことでなくなるのは時間の問題ではないだろうか?

この国にとって望ましい制度とはどのようなものなのだろうか。
総会でいずれかの意見に投票をしないといけないのに、何がよいのか、私にはまだわからない。

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夏期研修

晴れ。昨日の夕立のおかげで今朝まで涼しかった。これからもときどき夕立が降ったらいいなあ。植物だって喜んでいるし。

近畿地区弁護士夏期研修。
初日の村中教授(京大・労働法)の「非正規雇用に関する実務上の問題」はとても面白かった。非正規雇用に関する条文と裁判例を体系的にお示しいただき、断片的だった知識がまとまった形をとった気分にさせていただいた。

整理解雇について、正規雇用より不安定な非正規雇用から解雇するのが妥当とする考えと、賃金が高い正規雇用から先に解雇するのが妥当とする考えの、双方の考え方があると聞くと、なんだかやるせない気持ちになる。

労働条件を下げることには合理的な理由があるが、その条件を受け入れない者は雇い止めとするのはだめ、という判決を見ると、それなら、会社と労働者はそれぞれどうしたらよかったのだろうと思う。

労働事件は、どちらにも言い分があることが多く、また会社にとっても労働者にとっても死活問題なのだが、だから争いが激しくなる、というのではなく、だからこそ穏便に解決するのが望ましいのではないだろうか。

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