初期消火の失敗?

曇り。涼しい。

朝刊に大阪府警が船場吉兆を捜索するとの記事。
不正競争防止法違反の疑い。
ここ数年、不正競争防止法研究会は同法を適用した新しい判決があまりなく、寂しい状況だったのだが、このところ食品表示偽装に関連して民事より刑事で活用されているようだ。

不正競争防止法21条2項1号では、不正の目的をもって第2条1項13号に掲げる不正競争を行った者は5年以下の懲役、500万円以下の罰金。
2条1項13号に掲げられている行為には、商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量について誤認させるような表示をすること、が含まれている。
ブロイラーを地鶏と表示したり、三田牛でないものを三田牛と表示したことが、原産地、品質、内容の偽装に該当する可能性があるとされたのだろう(ブロイラーと地鶏って品質だろうか?内容だろうか?)。

博多のデパートで売った黒豆プリンの消費期限の書き換えに端を発したことが、あっという間に大阪の本店に府警の捜索が入るという展開にいたっており、この展開には驚いてしまう。
地鶏がブロイラーでも、三田牛が佐賀牛でも、味が悪いわけでもなく、食べて病気になるわけでもなく、たいした違いはないのじゃないか、と思うのだが、府警が大勢で捜索に入る映像がこの感覚とミスマッチで、なんだかとんでもなくおおごとになってしまっているような気がする。

多分どこかで間違ったんだろうなあ。

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不正競争防止法(ソフトウエア)

晴れ。昨日は、不正競争防止法研究会に出席していたので、コンサートの様子は見ていないが、盛況だったとのこと。よかった。

研究会では、レース編み機のソフトウエアの差し止め請求事件。
ソフトウエアが同一かどうかはアルゴリズムを比較して検討している。
侵害行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却も請求しているが、問題となっているレース編み機がどんなもので、ソフトウエアをどうやってそれに使用しているのかさっぱりわからないので、何を廃棄せよと請求しているのかわからない。
もっとも、裁判ではアルゴリズムを比較して、多くの点で異なると判断されているので、廃棄請求は問題とならなかったのだろう。
ところで、相手方のアルゴリズムは訴訟を提起する前に入手できたのだろうか。それとも訴訟を提起した後で相手方から開示を受けたのだろうか。
後者だとすると、訴訟提起後に類似かどうかの検討をすることになる。

訴訟を提起する側の気持ちもなんとなくわかる。自分が発注したのと同じ機能を持つソフトを制作会社の元従業員が販売していたら、自分のアイデアが盗まれたような気がするのだろう。
通常発注者は、ソフト開発の技術を持たないので、こういうものがほしいという要望を述べ、使い勝手について注文を出すのだが、これをしたからと言ってソフトの技術を提供したわけではない。
技術者が、既に有していた技術を使い、又は新たに考案した技術を用いてソフトを開発したのであり、その後その技術者が別のアルゴリズムで同じ効果のあるものを作成したとしても、発注者は何も盗まれてはいない。

マイセンの陶器を開発した技術者を発注者の王様が一生幽閉し、その秘密が外に漏れないようにしたという話を思い出した。
会社が自分で優秀なソフトウエア技術者を育て、一生自分の会社で働いてもらうように遇するなら、何も外に流れはしないのだが、それで採算がとれるかというとむつかしいのではないだろうか。

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著作権(譲渡の準拠法ほか)

曇りときどき晴れ。日差しは強いが曇ると涼しい。
被告が11名か12名(相手を間違えている分は取り下げになったのだろうか?)の訴訟で被告1名の代理人として出席。代理人だけで6名くらい出席している(複数の被告に一人の代理人がついているのと一つの事務所から複数の弁護士が来ているのとでややこしい。)。
9民の合議で、部長はてきぱきと安定感のある訴訟指揮をなさる方なので、訴訟は楽しいのだが、弁護士がたくさんいるだけでも居心地がよくないのに、大阪を代表する大事務所が複数関与していてなんだか・・・。原告代理人は旧仮名遣いで書面を書く人だし(おそらく主義として)。旧仮名遣いが日本語でないと言えれば、法廷で使用できる言語は日本語だけだと言うのだけどそういうわけにもいかない。旧仮名遣いは嫌いじゃないから結構楽しんで読んでいるのだけれど、自分の主張はともかく、引用判決の要旨の記載まで旧仮名遣いにするのは、違和感があるなあ。

不正競争防止法研究会。平野先生の報告というので楽しみに出かける。
キューピー著作権にからんで出した通知が、営業誹謗にあたるか(東京地方裁判所平成18年9月26日判決)。
子どものころによく見たキューピー人形の著作権がどうなっているのかなんて考えたこともなかった。
「日本における著作権」という概念が登場する。
著作権は、その全部または一部を譲渡することができる、という規定により、地域限定での譲渡が可能とのこと。
原告は日本における著作権の一部を有しているのだか、どうやら著作権が二重譲渡されたらしい。
後から著作権を有することになったと主張する被告が、先に著作権を有していた原告の取引先等に、自分が全部の著作権の譲渡を受けたと読める通知を出したというもの。
なお、著作権は裁判の途中(平成17年5月)で保護期間が終了して消滅している。

営業誹謗の裁判では、どういう書き方をすればセーフかということが実務的な興味の対象になるのだが、今回は、「・・・・と主張しています」という部分について、「・・・」が虚偽かどうかではなく、「主張しています」の部分が虚偽かどうかという判定がなされた。
法律実務家でなければ普通は主張の内容と主張しているという事実を区別しないだろうから、この判定方法には疑問が残る。

面白かったのは、準拠法についての判断方法(原告の著作権を認めた東京高裁平成13年5月30日判決)。
著作権の物権類似の性質と譲渡契約の債権的性質の二面性から、譲渡契約の準拠法と物権の準拠法を検討している。登録が可能だから、その他登記すべき権利(法例10条)が適用される、と読むのかな。

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不正競争防止法(営業秘密の管理)

晴れ。暑い。

不正競争防止法の報告担当だったので、訪問介護サービス事業をする事務所の営業秘密に関するものを選択した(東京地裁平成18年7月25日判決)。
別会社を設立した従業員が介護サービスの利用者名簿を持ち出したというもの。

不正競争防止法の営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものを言う(不正競争防止法2条6項)。

この事案では、「秘密として管理されて」いたかどうかという点が問題となった。
事業所の実態としては、パソコン起動時にはパスワードの入力が必要であったが、パスワードは従業員全員に知らされており、紙媒体としてファイルを保存していたキャビネットは施錠されていなかった。ファイルにはマル秘、社外秘の表示がなされていなかった。
判決では、この事業所では名簿は営業秘密としての管理がなされていなかったとされた。
なお、利用者のプライバシー保護のため、名簿に記載された内容について守秘義務はあったが、利用者のプライバシー保護目的の守秘義務と営業秘密の管理とは違うとされている。

どのようにしていれば営業秘密として不正競争防止法によって保護されたのか、が議論になった。
業務で名簿を使用している従業員に名簿を見るな、触るなということはできない。
秘密として管理することの意味は、行為者に持ち出しが法に触れる行為であることを明確にするためである。
そうすると、紙媒体のファイルにはマル秘・社外秘の記載をし、キャビネットには施錠をし鍵の管理者を置く、日頃から従業員には、名簿は営業秘密であるから、仕事で使う以外に利用をしてはいけないことを繰り返し言う、できればその旨の誓約書もとっておく、ということになるだろうか。
パソコンはちょっとやっかいである。パスワードの管理者が、従業員が見たいときにだけパソコンを立ち上げるというのは不便だ。
研究会では、ファイルを担当者ごとにぶつ切りにして、与えられたパスワードでは、自分の仕事の範囲の分しか見られないようにしてはどうかという意見もあったのだが、ファイルをぶつ切りにすると、全体を把握する必要があるときに不便である。

原告がもう少し営業秘密の管理をしていれば、判決でどの程度のことまでしていれば管理していたことになるのか、またはならないのかが明らかになったのだが、判決を読む限り営業秘密の管理という観点からは何もなされていなかったようであり、あまり参考にはならなかった。
営業上の書類を秘密として管理すると、業務で使用するときに日常的にめんどくさい手続をふまなければならなくなり、非能率である。慣れてきて手を抜けばせっかく管理しようとしていたのにいざというときに管理していないと言われることになる。
業務の能率と秘密管理のかねあいが難しそうだ。

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不正競争防止法-独占的販売権者と形態模倣

雨、の予報だが、午後から小雨がぱらぱら程度。

不正競争防止法研究会。昨日のテーマは、建築物の著作権とヌーブラ事件。
輸入業者(独占的販売業者)に形態模倣(2条3号)に基づく損害賠償請求が認められた(大阪地裁平成18年1月23日判決平成15年(ワ)13847号)。

形態模倣の保護は、先行者の開発へのインセンティブを保障し、先行者が商品化のために投下した資力、労力を回収できるようにするための規制と説明されている。(最新不正競争関係判例と実務、大阪弁護士友新会編、39頁)
輸入業者は、商品化のために資力、労力を投下してないのじゃないの、というのが議論の出発点で、判決では、独占的地位は、3号が保護しようとした開発者の独占的地位に基礎を有し、いわばその一部が分与されたということができる、との理由で独占的販売権を有する輸入業者の損害賠償請求を認めた。

せっかく独占的販売契約をして輸入しても、他の業者が似たような商品がどんどん輸入して、それに対して何も言えないというのでは、高い契約料を払うメリットがなくなる、すると契約料が下がり開発者が損をする、ということのようである。
ちょっと風が吹けば桶屋が・・に似ていなくもないけれど。

それはそれとして、研究会終了後に、知財専門のH先生から、絵本の著作権の話はおもしろいからと研究するようすすめられ、着眼点は間違っていなかったと研究会の落ちこぼれとしてはちょっと舞い上がった気分。

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不正競争防止法研究会

雨がざーざー降った後はまた気温が下がる。真冬に寒いより春先に気温が上がらない方が気分が滅入る。

手元がくるってグーグルアースをクリックしてしまい、久しぶりに画面を見る。きらきらした星の間から地球が浮かび上がる。きれいな絵。
太平洋の蒼さにしばしみとれる。

不正競争防止法研究会。平成17年改正がテーマ。アジアに旅行した日本の会社の社員が旅先で自社の営業秘密を売るケースが増えたのが立法の背景とのこと。
お気の毒な外交官の例から考えてもひっかかったか脅迫されたのか、と思ってしまうのだが。
それはともかく、ブローカーから他人の営業秘密を買った人についての罰則規定を見ていて、報告のK先生が、ブローカーを二人かませたら処罰されないのではないかと問題提起。
条文を見ると、営業秘密を違法に持ち出した人から買ったブローカーから買った人が処罰されることになっている。
持ち出した人から買ったブローカーから買ったブローカーからさらに買った人は経産省の解説書でも、処罰されないとなっている。
ザル?それとも営業秘密のブローカー業界では二人かませることが考えられない?


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不正競争防止法-形態

友新会不正競争防止法研究会の報告担当。内容を不正競争防止法に限定しているので、最高裁のHPで探しても数が少ない。
先月の研究会以後のめぼしいものといえば、大阪地裁のヌーブラ判決。もう一人の報告者には悪いけれど、先にこれを押さえさせてもらった。
争点は、ヌーブラの形態が日本でその独占的販売権を取得した会社の出所を表示する商品表示として周知性を有しているか、被告が輸入販売している商品は原告商品の形態模倣か。

仮に原告商品と被告商品が同じ形をしていても、それが同種の商品が通常有する形態であるときには、原告商品の形態は保護されない。
しかし、同種の商品、とは何だろうか。
ブラジャーなのか、バックレスストラップブラジャーなのか。
同種の商品とは販売されている商品に限定されるのか。
どの程度の類似していれば、類似とされるのか、商品の類型ごとに特に注目すべき形態のポイントがあるのか。

知的財産権に関する判決は頭の体操のような所があり、読み始めると結構おもしろい。

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