夜鳴鶯

台風は大阪をはずれたらしい。夕方から晴れ。

弁護士会館で死亡時医学検索に関する講演があったので聞きに行った。
諸外国の例や実際の事件を例にあげての講演で心配していたよりわかりやすかった。
講師は千葉大学の先生とジャーナリストのお二人。
日本で既にサーズによる死亡例が発生したが、警察がめんどくさがったので、日本ではサーズはまだないことになっている、感染が人知れず広がっているかもしれない、などと恐ろしいことも仰る。
お二人があげる実例の中には、状況から見て警察が事件と思わなかったのはどうしてだろう、というものと、おそらく事件性はなく事故だろうと思われるものが混じっている。

おそらく事故だろうと思えるものにしたって、死亡時医学検索をして死因をはっきりさせれば、ご遺族もなっとくなさるだろうに、とは思う。
しかし、そのために数十万円の費用がかかる。これを税金でまかなうべきか、という問題が生じる。
会場からは、個人的に解剖を依頼することはできないのか、との質問がでるが、それをすると国が責任をすべて個人に転嫁してしまうので、したくない、とのこと。

どうして警察が事件と思わなかったのだろうかと事案について考えていたら、もしかしたら警察も事件だと思ったけど、捜査がむつかしそうだったので、どうせ犯人を見つけられないなら、最初から事件ではく事故にしておこうと思ったのではないかと思えてきた。
この件は警察が動かなかったので大阪の弁護士がチームを組んで状況を調査し、ようやく被疑者不祥で告訴をしたが、結局警察は犯人を見つけられなかったとのこと(状況からして事件だとすると犯人は10名くらいにしぼられるはずなんだけど)。
事件として認識すると、仕事が増えるうえに未解決の事件の割合が増え、警察にとってはよいことが全くない、
結果的に犯人がわからないなら最初から事故にしてしまおう、というのも実務的なセンスかもしれない。
警察官の給料は税金だし。

こんなことを考えながら、海堂さんのナイチンゲールの沈黙を読んでいると、ちゃんと私の疑問に対する答えが書いてあった。

一線を越えてしまった者は犯行がばれなかったことで、歯止めがなくなる。

なるほど死亡時医学検索で事実を明らかにするのは、同様の犯行が繰り返されないため、という意味もあるのか。
しかし、警察は嫌がるだろう、と思っていたら、その答えもちゃんと書いてあった。

白鳥さんが厚生労働省でAiを推進しようとしているのを知った法務省と警察庁が手を組んで、霞が関内第一種警戒警報が発令された・・・・。
海堂さんは、死亡時医学検索を普及させると警察が大迷惑を被るから、このくらいのリアクションがあるだろうと予想していらっしゃるのか。

ナイチンゲールの沈黙の読者の評価はバチスタほど評価は高くない。
ミステリとしてどうか、ということらしい。
だけど看護師と夜鳴鶯をかけたタイトルもいいし(どちらの沈黙でも意味が通るところがなおよい)、何より田口ファンとしては、バチスタよりナイチンゲールの方が田口先生らしくていい。バチスタでは、前半は外科のハイテンションに巻き込まれていて、後半は白鳥さんのペースに巻き込まれているから、田口先生の持ち味が十分に発揮できていない気がする。
その点ナイチンゲールでは、田口先生の本拠地の愚痴外来がメインで出てくるし、ここだと患者に振り回されているように見えても田口先生が根無し草にはならない。
ところで、ハイパーマンシリーズって、田口先生の反応は十分笑えるけど、まさか実際に放映されてなんて・・・ないよね?


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ブライヤー判事講演

晴れ。

米国連邦最高裁判所スティーブンG.ブライヤー判事講演会。第1部「米国連邦最高裁判所におれる審理の実情」、第2部対談「最高裁判所判事の日米比較」(ブライヤー判事、滝井元最高裁判事)

私がアメリカ憲法の授業に出席していたときに資料として渡されていた判決文にブライヤー判事の名を見た覚えがない。
経歴を見ると、1994年から現職(クリントン任命)。
記憶をたどるとドイツ法の最初の授業の日に湾岸戦争が始まった。その後間もなくブッシュからクリントンに代わったっけ。アメリカ憲法はこのころの1年間しか受講していないから、判事のお名前に見覚えがなくともおかしくない。

米国連邦最高裁判所がrule of law を勝ち取ってきた過程を聞いていると、野蛮さと高潔さとがない交ぜになったお国柄を改めて知る。

チェロキー族の土地から金が発掘され、チェロキー族を追いだそうとしたことから紛争になり、最高裁は、土地はチェロキー族のものだと判決する。それを無視して白人がチェロキー族を追いだそうとして、大統領は軍を派遣する。チェロキー族を追い出すために。

黒人の子と白人の子とを別々の学校に入れることは違憲であると最高裁が判決をする。知事が黒人の子が白人の子の学校に来るのを警察を使って阻止すると宣言する。大統領が軍を派遣する。黒人の子を白人の子の学校に連れて行くために。

最高裁はグアンタナモ基地にとらわれた戦争捕虜に合衆国裁判所に提訴する権利を認める。大統領は不服だが軍を出動させて判決を覆させたりはしない。

大統領選挙でフロリダ州裁判所が手作業で開票のやり直しを命じる。連邦最高裁が5対4でフロリダの判決を覆す。
ブライヤー判事は、多数意見は間違っていると主張する。同様に考える多くの人がいるが、判決に反対して暴動が起きるわけではない。

地球温暖化により海面上昇によりマサチューセッツの渚が減り続ける。裁判所はマサチューセッツに原告適格を認め、EPAに米国の自動車の排気ガスの規制を命じる。

イラク戦争を始めた大統領もアメリカ人ならブライヤー判事もアメリカ人だという事実がすっきりとのみこめない。なんて多様でとらえどころのない国なんだろう。米国人とはどういう国で、米国人とはどういう人達なんだろう?

行政法の山中先生が会場に来ていらっしゃったようで、誰かが山中先生に、EPAの事件は日本では原告適格は認められるかと質問すると、認められないでしょう、とのお答え。
政治的な問題になるかもしれないことでもおそれずに踏み込めるのはどうしてか、との質問にしばらく考えていらっしゃったが、具体的で明確な被害が発生しているときに、政治的に踏み込むかもしれないからと問題から遠ざかるのは意味がない、と仰った。

他方、滝井元判事との対談では、滝井判事が、最高裁であっても判例統一だけでなく個別救済を見落とすこときできないと仰ったのに対し、ブライヤー判事は、個別の事件で仮に見逃しがあっても、重要な問題であれば、同種の問題が最高裁に来るだろうし、来ないとすればたいした問題ではなかったのだ、とのこと。

政治にふみこむことをおそれたり、判決をしても無視されたら自力執行力がないことを考え司法権の範囲を小さくとり、現実の損害から目をそむけることと、助けを求める人がいる限り個別救済を忘れるわけにはいかないとの信念とはどういう関係になるのだろう。

現代米国史そのものを体現する人が目の前で語っているという夢のようなシチュエーションと豪華な対談に、あっという間に3時間が過ぎてしまった。

良い裁判官である勇気が必要だ。
政治や世論におもねるようでは良い裁判官にはなれない。まして自分の出世や保身など考えているようでは良い裁判官からはほど遠いだろう。

ブライヤー判事を見ていると、良い裁判官とはこういうことなのかと実感する。


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契約と契約書

曇り。某市で「契約と契約書」の講演。粗筋だけ作っておいて、細部は直前につめたらいいやと思っていたら、期日切迫の少年事件を受任したりなどして、結局粗筋をすこし膨らませた程度のレジュメを持って会場へ。
女性も男性も熱心に聞いてくださり、気持ちよく話をさせていただきました。いくら私が話し好きと言っても50分も一人でしゃべるとさすがによくしゃべったなあ、という気になる。

契約と契約書というテーマなので契約書を作る場面を考えてみたけれど、日常生活に必要な取引はほとんど約款取引となっているし、そうでない場合でもたいてい事業者が作成した契約書があって、あとはそこに印鑑を捺すか捺さないか、という問題だけのような気がする。
とすると、贈与契約、死因贈与契約及び遺言書は個人が法律的な文章を成するわかりやすい場面ではという気がしてきた。
贈与契約と死因贈与契約は契約なので、受贈者の承諾が必要。死因贈与契約をするときには、受贈者の意思表示の記載もお忘れなく。


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企業不祥事を防止する社内体制の構築-山口利昭先生講演

雨のち曇り、ときどき雨。冬が終わりつつあるのだろう。

大阪商工会議所サービス産業部会で山口利昭先生講演「企業不祥事を防止する社内体制の構築」。
山口先生(ビジネス法務の部屋)の危機管理の講演なら聞いておかなくちゃ。
雨と寒さの中を本町から20分歩く価値は十分あり。
先週からへたくそな講演やら解説やらスピーチやらを続け様に聞かされてうんざりしていたのだが、さすがに山口先生の講演は上手い。先週以来のストレスを一気に解消するくらい面白かった。

山口先生の講演を聴いていてあらためて「不祥事」というのはいつどこで何の拍子で出てくるかわからないという怖さを知る。
マンションの耐震偽装を告発したイーホームズは、警察の執拗な捜査で耐震偽装とは何の関係もない増資の見せ金を立件されたとか、吉兆の女将は、記者会見で、先代に対してはどうお考えですか、と尋ねられたので、先代に対して申し訳なく思っている、と答えたら、質問の部分をカットして、女将は客には謝らずに先代に謝ったと報道されたとか。
もっとも、先代に申し訳ないという言葉を、客の方を向いていないと受け止める人って少ないと思う。先入観なく聞くと、「先代」というのは、店にとっての良心の象徴であり、大切に守るべきものを示す言葉だと受け止めると思う。憲法の「国民」が法制定時に存在した個々の日本人を指しているのではなく、現在及び将来に存する日本人すべてを含むのと似たような言語感覚で。
国民を操作しているつもりで悦にいっているマスコミが考えるよりも日本人は知的・・だと思うけど・・・府知事選の結果を見るとよくわからないなあ・・・。

山口先生のレジュメの1頁目を見てあれっと思ったのは、不祥事企業名は伏してあるのに、一つだけ名前が出ている。「不二家報道事件」
不二家が虚偽報道に抗議し、抗議を受けた報道機関の危機管理の分類。ちなみに本体の事件は「菓子製造関連」となっている。
本日の先生の講義の中に不祥事に関する虚偽報道に抗議することのメリットデメリットというのがあったが、まさにそれを示すかのようなレジュメの記載。

某ホテルの日教組集会拒否では、仮処分を無視したことよりも、宿泊キャンセルの業法違反の方が重大になりそうで、リスク管理はここまで想定してなされていたのかとの指摘。
会社からリスクマネジメント委員会(または顧問弁護士)に対してどのような内容の諮問がなされたのだろうかと考えてしまった。
仮処分を無視することのメリット・デメリットを検討し、評価せよ、との諮問なら、それに伴う予約キャンセルがどのような問題を引き起こすかは委員会の守備範囲から漏れてしまうのではないだろうか?
それともホテルのリスクマネジメント委員会なら、諮問になくても当然に業法を視野に入れた議論をしなければならいなのだろうか?
それとも、今回の対応は、宿泊キャンセルと業法違反による危機まで織り込み済みなのだろうか?

1時間半、盛りだくさんの内容で、あれこれ考えながら聞かせていただいた講演は、とにかく面白かった。


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労働法講演会(畑先生、杉島先生、田中先生)

晴れ。さすがに夜は気温が下がるようになってきたけれど、日中の日差しはまだまだ元気。

某会派企画「若手弁護士のための労働事件セミナー」
畑先生(使用者側)、杉島先生(労働者側)のお二人がパネラー、田中崇公先生がコーディネーター。
以前にも似たような企画があったので、今回は欠席しようかとも思ったけれど、とりあえず出席。
結果からいえば出席は正解。とても面白かった。

労働法は大学で講義をとっておらず、労働事件の経験は使用者側2件、労働者側1件程度。
基調講演をされた畑先生は冒頭に、先生が教えていらっしゃるLSでは3分の1が労働法を選択し、試験を受けている、こういう人達がこれから実務にでてくるのに労働法を勉強をしていないというのは言い訳にならないと仰る。
基調講演の個々の法律論はおいておくとして、印象深かったのは「労働事件を手がける弁護士の心構え」のパート。
1 健全な労使関係の形成・育成を目指すこと。
 社長に対し、労使関係は契約に基づく関係であることを直言できる弁護士であること。ワンマン社長の顔色を窺って言いなりになっているようでは良い使用者側弁護士たりえない。
 解決内容が妥当であること。労使関係の紛争はその場その場で勝ちさえすればよいというものではない。
2 コンプライアンスの視点をもつこと
3 リスク・マネジメントへの配慮
 裁判が予想されるとき、経営側にどれだけ負担がかかるかを説明すること
4 迅速性
 早期着手・早期対応が必要な分野である
5 誠実性
 労組からの信頼を得られないようでは良い使用者側弁護士ではない。依頼者、相手方、裁判所に対して誠実であれ。
6 均衡性
 落としどころを見据えた解決 
さすがに使用者側弁護士としての貫禄、安定感があると思わせる講演でした。
 パネルディスカッションで興味深かったのは、うつ病の従業員への対応。
 休職期間が切れそうになると就労可能という診断書が提出され、本当に就労可能か疑わしい場合が多くあるうえ、うつ病は再発しやすい。
 しかし、もし再度発症したら会社の安全配慮義務違反として損害賠償請求をされかねない。
 そこで、最初は半日勤務から始め、それを1か月2か月継続して様子をみて、大丈夫そうであれば全日勤務にするようにとのこと。半年間は残業はなし。
 解雇せずに休職期間を与え、完治していないのではないかと思われる人を受け入れたうえ、損害賠償請求をされたのでは会社は大変だなあと思うのだが、大変だなあで終わっていては会社側代理人の存在価値がない。先生の提案された方法は、なるほど会社も従業員も守る対応だと感心した。


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信託法講演企画実現なるか?

晴れ。日差しは強いが、秋の気配が次第に強くなってきている。季節というのは忘れずに巡ってくるものだなあ。
いつまでも穏やかに四季が巡る国であってほしい。

読売の朝刊にLSに対するアンケート結果が掲載されていた。LSの教員を司法試験委員とすることの是非を問うものだが、回答大学と回答を見ていると、自分のところから司法試験委員を出す可能性の低いところが反対をしているのだろうかと思ってしまった。新聞は一律にLSとして扱っているが、できれば、旧試験の合格者を毎年出していた大学とそうでない大学とを分けてほしかった。新試験の合格率で分けてもよいけど。
今までに法曹を輩出していた実績がない大学や今後消滅しそうなLSの意見を聞いたって仕方がないじゃない。
法曹育成に責任をもっている大学の意見を聞かなくちゃ。

友人が信託法研修の企画を練り、この企画をどこに持ち込んだら早期実現するかと相談してきた。
企画は素晴らしい。杉浦教授(中央大学)と新井教授(筑波大学)の両名にそれぞれ各論、総論を担当してもらい、理論から実務、立法経緯、最新の立法動向まで幅広くカバーしようというもの。
教授方のご承諾はとれているとのこと。
ネットや紙媒体ならともかく、人情報へのアクセスという点では東京と大阪では歴然と差がついていると思う。
だから、こういう企画はとてもとても重要で有意義だ。
なんとかして実現させたい。
とりあえず、心当たりに電話して感触を探ってみる。
実現なるか?(続く)

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商工会議所講演企画

曇りのち雨。涼しい。

2年ほど前に伊丹の商工会議所で「女性起業家のための法律講座」の講師をしてみないかと声をかけてくださった先生から、今度は川西の商工会議所で同様の企画があるがとの連絡をいただいた。
今度は、女性、男性と区別をしないとのこと。
喜んでお引き受けする。

2年前は、契約だとか債権総論といった民法の知識に手形法をちょっと入れて、取引きに関する法律の説明をしたけれど、今回は、株式会社が簡単に作れるようになったということで、入れ物の話をしたいなあ。
事業を起こすとき、会社を作るか個人でするか。
会社を作るとしたらどういう形の会社にするか。それぞれどのような特徴があるのか。
商号を決める。定款を作る。
株式会社に役員は何名必要?
役員になったら借入金に責任を負うの?保証債務って何?自宅を抵当に入れるってどういうこと?
株式会社にしたら株は流通するの?
上場ってどういうこと?上場したらいいことがあるの?
事業の相続、会社の相続。
1時間なので、ここまではいかないだろう。けど、何の話をしようかな、と考えていると楽しくなってくる。


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円朝芝居噺(辻原登先生講演会)

快晴。暑い。残暑というより酷暑という方がぴったりすると思う。

長引くかと懸念していた建物明け渡し訴訟が一転して和解成立。よかった。依頼人は数十年間気になっていたことが解決したととても喜んでいて、私もしみじみと嬉しい。
昨日は保険会社から保険金の入金があり、ちょっと長引いていた相続の事件も無事に終了した。これも依頼人が喜んでくださり、私もうれしい。
何が言いたいかというと、これだけほっとしたりうれしかったりすることがあっても、なお許せないほど暑いのだ。
テレビのお天気ニュースは関東の台風のことばかり言っていて、確かに今回の台風はすごい台風で、各地で大変な被害だと思うけれど、雨も降らず風も吹かず、ただただひたすら焼けるように暑いこちらの気象も問題だと思う。

辻原さんの講演の後、図々しいかなとためらないながら、それでも図々しく、お疲れのところ申し訳ありませんが、とサインをお願いすると、気持ちよく応じてくださった。
それで、感謝の気持ちをこめて、早速『円朝芝居噺 夫婦幽霊』をアマゾンで注文する。
幽霊噺というのがちょっと気持ち悪くて敬遠していたのだが、関東大震災ですべて失われた円朝の噺の速記録が発見され、今では誰も読めなくなっている速記記号の解読、解読がすすむにつれ新たに生じる謎、そして安政の大地震前夜のご金蔵破りと殺人事件、という何重ものミステリーが文学の香り高く表現されていると聞くと、早速注文しなくちゃあ。
黙読でもいいけれど、噺ということで、声に出して読むとこれがまたとてもよいらしい。楽しみ。
なお、噺家さんから夫婦幽霊の噺をしたいとの申し出があり、了承したとのことだから、噺として現実化するらしい。辻原さんが円朝の噺として書いた架空の円朝噺を噺家さんが円朝芝居噺として再現するって、なんだか小説を原動力に壮大な虚構が作り上げられるようでおもしろい。
『花はさくら木』が田沼意次の話と聞くと、それもほしくなるが、また今度。

現在京都の小さなホテルに籠もって毎日新聞の連載小説を執筆中とのこと。なんて作家らしい。
講演では長編小説の執筆にかかる前の構想図についての説明があったが、大作家の名作(例としてあげられたのはアンナカレーニナ )の構造解析をし、新たな小説の構想を解析した構造にあてはめ、登場人物の家系図(一度も登場しない人も含め)を数代前まで遡って作成し、人物相関関係を作り、小説の最後まで構造を作り上げてから、書き始め、書き始めると最初の構想からさらにはずれた展開をし、というのが辻原さんの小説の技法とのこと。
会場から、装飾語が過剰ではないかとの質問が(「深々ときれいなお辞儀をした」は「深々」と「きれいな」が重なっている)出されたが、辻原さんは、読者は装飾を望んでいる、読者のイマジネーションを膨らませるのに、小説には言葉の余裕は必要だとのこと。

構造解析だの人物相関関係だの時系列だのと言われると、なんだか弁護士の仕事に似ているかもと思ってしまう。
後は装飾語の問題か・・・・?

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社外監査役シンポジウム

晴れ。夏らしいからっとした空気に強い日差し。少し風があり心地よい。
音楽狂氏お薦めのYAMAGATAのCDをPodで聴きながら留守中の手紙、メールに対応しているが、このCDたしかに暗い(笑)。声もよいし音楽もよいので嫌いではないが、ちょっと重ったいかなあ。夜ゆっくり聴き直した方がよいかも。

社外監査役シンポというので出かけたところ、予想外に大勢の人がいて驚いた。大ホールがびっしり埋まったところなんて初めて見た。
遅れて入室する弁護士はどなたもぽかんと口をあけて最後尾までびっしり人で埋まった様子を数秒眺めている。
弁護士だけでなく、会計士、常勤監査役の方々もご出席とのこと。

基調講演の講師のお一人の公認会計士の先生が冒頭からJ-SOX法と仰ったので、八田先生の講演を思い出してはらはらする。
次々と資料を繰り出して説明してくださるのだが、その資料の中に、講師の先生と海外のコンサルタント会社と思しき名が著作権者として記載されている。
これにも八田先生が、日本とアメリカの規制が全く違うのを無視して、アメリカのコンサルタント会社が使用しているフォームをそのまま翻訳して使っている人がいる、という指摘を思い出す。

もう一人の基調講演の講師は弁護士なのだが、弁護士と公認会計士の講演を並べて聞くと、公認会計士の方がはるかに商売上手だということを痛感する。
42項目のチェック項目や多数の図やチェックリストを示し、内部統制のチェックを依頼されたら、こういうものを駆使して仕事をします、しかし、責任者は経営者だということを忘れずに、このチェックリストは全社に適用され、各部門ごとに回答していただきます、と言われたら、会社経営者はびっくりして大金払ってでも出遅れまいとするのではないだろうか?
会計事務所に支払う報酬の話にもなったが、会計士は上手に話題をすりかえてゆく。決してビジネスチャンスだと思っているというようなことは言わない。こんな重い責任は嫌だけれど、仕方なく手伝ってあげます、といわんばかりのスタンスだ。

私には会計士が提案する内容が過重なのかどうか判断はつかないから、八田先生のご意見をうかがいたいと思った。
必要以上に過大な内容が必要だと売り込んで、その仕事分の報酬を請求するというのであれば、補修が必要でもないのに、お年寄りの危機感をあおって仕事をとる何とかに似ている・・・・・・?
もっとも、八田先生が配布された資料を読んでも、何が最低限必要不可欠なのかが判然としない。
各会社ごとに、と言うことだが、そういう言われ方をすれば、勤勉な国民性のことだから、どんどん重装備になってゆくのではないだろうか。
また、各会社ごとに必要な事項を考えるより、いっそ横並びのチェックリストに頼った方が、簡単で便利な気もしてきた。
日本版内部統制はどこへ向かうのだろうか。

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滝井先生、水野先生講演

晴れ。一日ごとに冬が遠ざかる気配。

滝井先生&水野先生の講演会「行政訴訟の新しい潮流を読む」。
滝井先生のお話ぶりからは、当然そうなるものがそうなったというふうに聞こえるのだけれど、従来の判例を変更し、実務を変化させるというのは並大抵なことではないだろう。
最高裁まで争い抜いた代理人の弁護士の信念とパワーがすごいね、と話ながら会場を出る。
二次会は満員らしいと聞いてそのまま帰宅しようかと思ったが、事務にウイルススキャンのためにパソコンの電源を入れるよう頼んでいたことを思い出し、朝からまだ一度も立ち寄っていなかった事務所に戻ることにする。
会場を出たところで別れた山口先生は、深夜に人気ブログ「ビジネス法務の部屋」の更新をすると仰っていたけれど、当方は行政法の講演会の内容を書こうとして頭がちゃんと働いていないことがわかり断念する。

水野先生は新設された9条2項が最高裁の判例を動かしたのではないかと期待されていたようだが、滝井先生は、9条2項がそのような効果をもたらしたかについては懐疑的。むしろ9条2項は、立法が司法をしばる規定となり3権分立に反して違憲ではないかとの問題提起。
その他、確認訴訟の活用、義務付け訴訟、差止訴訟の使い方について実務的に示唆に富んでいる。
確かに今までになかった道具ができたことはわかったが、使い慣れないのが使って大丈夫か、とちょっとこの分野に手を出すのは怖い。


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