免責観察型管財事件

快晴。今年の秋は雨が少ない。降れば降ったで局地的豪雨だし。

破産管財事件というのは、破産者の財産を管財人が調査し、換価して配当をする手続だと思う。
しかしそれとは別に免責観察型と呼ばれている類型があり、換価対象財産はないが管財人をつけることがある。。
この手続では、免責不許可事由がある破産申し立て事件に管財人をつけて調査させ、最終的に裁判所が管財人の報告書を見て免責の可否を判断する。
そもそも裁判所が免責観察型管財事件に指定するときには、明らかな免責不許可事由がある場合が多いが、だからと言って不許可事由が大きいから免責不許可という意見を出すと、何のためにわざわざ管財人をつけたのか、と言われてしまう。
そうすると、管財人の役割は、単なる免責不許可事由の有無の調査ではなく、そこに至る事情、申し立て後の生活状況、今後同様の行為を繰り返す可能性の有無などを調査し、裁判所に判断材料を提供することだということになる。
破産者に家計簿をつけてもらい、現在の経済状況を把握するとともに、麻痺してしまった日常の金銭感覚を取り戻してもらったり、破綻状態に至った原因を振り返ってもらったりと、事案ごとにどう対応しようかと悩んでしまう。
過剰与信のクレジット会社数社が債権者だったりすると、どうせ儲かりすぎて高額の税金を払わないといけないのを貸し倒れ損失を作って税金を圧縮するのだろうと思ってしまう。がこんなことを思ってしまうと、こちらの労働意欲が低下するから、なるべく思わないようにする。
それとも、借金 は過剰与信のクレジット会社のせいだから免責許可という意見もあり、かなあ。
貸すというから借りたのだと本人に開き直られても困るけど。
あれこれ悩むばかりで、しかし調査時間は限られていて、なんだか溺れかけた魚みたいな気分になる類型の事件である。

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「破産と税務」パネルディスカッション

曇り。夏がぐずぐずと居残っていてなかなかすっきりと秋にならない様子。

破産と税務についてパネラー木内先生、高澤先生(税理士)、コーディネーター桐山先生と豪華(というかマニアック?)な顔ぶれ。
条文に沿った説明から始まったと思ったらやっぱりというかほどなく細かい話になってゆく。

国民健康保険料は、破産開始決定前の原因に基づいて決定されているから、財団債権となるのだが、月割り計算もしてくれるから毎月発生しているのに近いとも言えるし、財団が払えないと本人か健康保険を使えなくなるから、開始決定後の保険料は、本人に支払うよう言うことが多いとのこと。

延滞税の減免申請では、税理士の高澤先生が、交付要求額の合計額以上の金額が財団にできた日以後の延滞税の減免申請ができると説明されるのに対し、弁護士は条文上は「当該交付要求」となっているし、管財人も気づいていないような租税が後に発見されるかもしれないから、総額ということになると一体いくらなのかわからないとのことで、個々の交付要求額以上の額が財団にできていれば減免申請ができるとの見解を示す。

税金申告に関して、事業年度は、通常の事業年度の初日から開始決定のあった日までが事業年度になり、その2か月後が申告期限となる、開始決定の翌日から通常の事業年度の終了の日までがその次の事業年度となるのに注意とのこと。

消費税については、仕入れ税額控除があるので0ということはなく、納付か還付かしかないとのこと。
理屈はわかるけれど、納付なのか還付なのか、どの書類のどの項目をどうみたら簡単にわかるのかがわからない。これが簡単にわかれば、ついでに消費税の金額の目安が簡単につけば、税理士の先生に依頼して申告してもらうかどうか判断できるのに。
財団がある程度ないと税理士の先生へのお支払いができないから、還付があるかどうか調べてほしいという依頼ができない。だから還付してもらえない、ということになる。

源泉徴収義務をめぐっては現在高裁で係争中とのことだが、労働者に対しては賃金として支払っているのではなく、配当を支払っているのだし、労働者の所得税は財団の管理換価にかかる費用とは言えないので、源泉徴収義務はないだろうとのこと。
なお、この問題に関して税務署と意見を異にしても、税務署が自力執行することはないし、管財人は第二次納税義務者とはなっていないから、心配することはないとのこと。

やっばりというかなんというか、税金の分野はいつ聞いても何回聞いても、ややこしい。


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過払金と破産申立の関係(大阪)

晴れ。少しずつ秋らしくなってゆく・・と思う。

過払金について判タ1246号に大阪地裁第6民事部の運用が紹介されている。
それまで破産申立書の債権者欄にサラ金が挙げられていてもすんなり破産が認められていたが、昨年から債権者名簿にサラ金があがっていてかつ取引が長期間にわたっている場合には、過払金の有無の調査を指示される。
指示されて過払金が一定額以上あれば、管財人がついて回収することになるが、管財人をつけるための予納金を申立人が準備しなければならない。
過払金があるばかりに破産もできない、余計な金がかかる、というのは申立人としてはおもしろくない。
現在の大阪地裁の運用では、予め返還を受けた過払金と、返還の合意ができている過払金は自由財産拡張の対象とされるから、申立代理人としては、とりあえず取引履歴をチェックして、できるだけ過払金を回収し、予納金が必要であれば回収した過払金から予納金を支払い、余った分は破産者の自由財産として拡張の申し立てをすることになる。
回収金から回収の経費と申立人の生活に必要な資金を消費することは認められている。

サラ金さんからすれば、今まで破産してくれたら返さずにすんだ過払金を請求されることになる。
今まで破産されて回収をあきらめていたのに新しい運用では配当されるというケースもあるから、取引の短いところにはメリットがあるのかもしれない。
先日同期2名から別々に、管財人をしているが100%配当になり、さらに余った分を破産者に返還した、という話も聞いた。
100%配当?過払金というのは、利息を0にしているわけではなく、利息制限法(18%だっていいかげん高利だと思うけど)に定められた利率を支払ってのことだから、すごいなあ。

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6民意見交換会(平成19年9月)

晴れ。相変わらず暑い。

6民との意見交換会。
過払金の取扱基準は浸透してきて申し立て前に処理されていることが多いとか、最近の競売では基準価格の1.7倍で競落されている様子だとか。
当たり障りない話題に聞こえるが、実際に不動産を持った状態で破産申し立てをしようとすると、どの程度のオーバーローンなのかが悩ましい問題となる。

目新しかったのは、将来の賃料を譲渡したうえで収益不動産を財団から放棄したらどうなるのか、という話題とカードで税金を支払ったときに、カード会社の債権は財団債権なのか、という話題。
債権譲渡の登記には債務者の記載は不要で、賃料債権は部屋番号で特定ができる。だから、数十年分のマンションの賃料を譲渡することも可能。ABLでは将来の賃料を小口証券化して売却する。しかし、賃料を譲渡してしまうと管理費用がなくなるから、誰も管理しないマンションとなる。そんなマンションに賃料を払って住む人はいないから、小口化された証券は紙くずとなる。結局損をするのは証券を購入した多数の人。
管財人が将来の賃料を譲渡する場合には、こういうことにならないように、管理を引き受けてくれるシステムができあがってからということになるだろうとのこと。

税金をカードで払った場合、カード会社の債権が財団債権になるかとのテーマについて、結論はならない。
カード会社の債権は国税徴収の例によって徴収ができない、このような債権を財団債権とは認められない、という形式論と、カード会社は、手数料で十分儲けていて、破産のリスクは織り込み済みだろうという実質論。

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抵当権に劣後する市役所の差押え

晴れ。雨の日と晴れの日が交互にくるみたい。
「I Love You」 が聴きたくて尾崎豊のCDを買ったらすっかり気に入ってしまい、現在4枚目。「忘れな草」は「I Love You」に匹敵するラブソングだと思う。

不動産を任意売却しようとして、差押えをしている某市に電話をすると、全額弁済してもらわないと差押え登記の抹消に応じないとのこと。
明らかに抵当権に劣後する差押えなのでおかしい、他の市ではそのようなことはしていない、と言っても、今まで全部払ってもらっている、他の市のことは知らない、うちはうち、と言う。
困ってしまって全倒ネットに質問を出すと、即座に数名の先生からお返事をいただき、その内のお一人で税法に強い大阪の先生から国税徴収法79条1項2号(地方税法373条7項)を適用すると主張するようアドバイスをいただく。

何か方法はないかと六法を見ていたのだが、こんな条文があって、こういうときに使うとは全く知らなかった。
田舎の市役所のわけのわかんないおじちゃんにいじめられて一人で泣いていずに、相談してよかった。


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6民意見交換会

晴れ・・・だったと思う。怒濤のように過ぎた一日で、お天気のことまで気が回らなかった。

6民との意見交換会。
6民が第二別館(旧弁護士会館)に移転していたことをすっかり忘れて事務所を出て、裁判所に着くころにそういえばどの部屋に行けばよかったか確認していなかったと思い出す。
とりあえず書記官室に行って尋ねてみようかなと思ったら、エレベーターホールに案内が掲示してあった。
内装が変更されているので、よく知っている建物のような、そうでないような、奇妙な気分。

劣後債権の記載方法と放棄許可の基準が本日時間をかけて議論されたテーマだった。
ともに、実益がよくわからないので、途中から興味を失っていたのだが。
100万円以下の放棄については裁判所の許可不要というのは明確な基準なのだが、あるものが100万円以下かどうかをどうやって判定するか、が問題となる。
1億円の債権で、開始決定後に債務者が破産したとき(配当もない)、0円として許可なしで放棄できるのか。
1億円の訴額で訴訟をして、50万円で和解するとき。
300万円の債権の請求をして、相手に250万円の反対債権があるとわかったとき。
1億円の請求をして裁判外で50万円で和解するとき。

和解については、訴訟になっていれば、訴額が基準、訴訟になっていないときには、管財人の評価額が基準となるとのこと。
それ以外は管財人の評価額が基準となる。
不動産については債権者の感心が高いので、許可不要であっても、放棄するときには理由を記載し、資料を添付すること、とのこと。
今は具体的な問題がなくても、裁判所が管財人をどのように監督するか、という観点から考えておかなければならない、という結論になったようだった。
念のため許可というのもありだから、管財人が不安を抱いたら許可基準外のものでも許可申請できるが、許可は管財人の過失の免責にはならないとの指摘あり。
そういえば、この前の最高裁判決(賃料と敷金の相殺)では、裁判所の許可があっても、管財人の過失が認定されていたっけ。


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6民意見交換会

晴れ。暖かい。

6民との意見交換会。
敷金に質権が設定されたときの管財人の義務について木内先生がNBL2月15日号に論文を書かれたということでご報告いただく。
原状回復費用を敷金で充当することが認められたことと、明け渡しに最低限必要な期間分の賃料は充当が認められなかったことのバランスはどうかという問題提起もなされる。
今回の事件は、財団が潤沢にあったが、財団はないが、明け渡し時期が遅れたので、それだけ敷金の返還分が減ったということが義務違反となるか、と質問すると、それはないだろうというのが会場の雰囲気だった。
やはり、財団が潤沢にあった、というのがポイントになるのだろう。

その他、管財人の源泉徴収義務の話題。
会場から、平成10年の財務省の見解は管財人報酬は給与所得ということで、平成14年に税務署に質問したときには、個別具体的に判断するということだったのに、管財人に源泉徴収義務ありとの大阪地裁の判決を見た税務署は、管財人の報酬は事業所得だととの見解を主張しているとの報告がなされる。
判決の事案が事業所得として申告していただけで、判決自体は、給与所得とも事業所得とも言っていないとのこと。
判決が思わぬところに影響を及ぼしているらしい。

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管財人の担保価値維持義務

晴れ。暖かい。

破産法MLに賃借人が破産し、敷金に質権が設定されていたときに、破産管財人が、正当な理由に基づくことなく賃料を発生させ、敷金を相殺する合意をしたことが、管財人の担保価値を維持すべき義務に反するとされ不当利得返還請求が認められた判決が紹介されている(最判平成18年12月21日)。
原状回復費も敷金と相殺されたが、こちらは、質権者が予定していた上で担保価値を把握していたのであるから、正当な理由があるとされている。
なお、この事案では賃料を支払うに足る財団があったとの事実認定がなされている。

この判決の射程はどこまでか。
賃貸借の解除に最低限必要な時間しか経過していなかった場合であっても相殺はだめなのか。
財団が賃料の支払いに足るものでない場合には、相殺をしてもよいのか。
解除が合理的な期間を経過した後になされていれば、それだけで独立した義務違反となるのか。
管財人が合意したのではなく、賃借人から一方的な相殺をされた場合はどうか。


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