近畿税理士会との研究会(会社分割、株式譲渡)

雨の音で目が覚めたけれど、その後曇り。

近畿税理士会との研究会は、今回から出題を2題にしぼり、議論の時間を多くとることになった。という説明だけれど、もしかしたら、毎回4題も出題を考えるのが双方大変になってきたのかも。

1題目は、XがA社とB社を所有していて、複数の事業を営む赤字会社のA社の事業の内、小さな事業を一つ黒字会社のB社に移転させる方法の比較。
回答は阿多先生。会社法の出題なので嬉しいとの前置きどおり、手慣れた回答。あまりに手慣れ過ぎていて、語尾が不明瞭になるほど回答速度が早かったのがちょっと不満といえば不満。詳しいレジュメが配布されていたので、条文を引きながら復習しようっと。
もっとも、先生のご回答によれば、オーナー社長が両方の会社を有している事案なので、どの方法をとってもさして変わらない、会社分割では偶発債務が問題となるのだが、この場合偶発債務というのは考えられないだろう、会社法よりもむしろ労務管理の方が問題になるのではないか、このような場合出向扱いにすることが多い、6か月も前から人事異動が公表されているようなもので、こういうときの人事は大変だとのこと。

2題目は、非上場の同族会社の株式を父から子へ譲渡するにあたり、税理士が株価を1000円と評価したが、税務調査で5万円とされた、契約書に、「後日税務調査で5万円とされたときには譲渡はなかったものとする」との条項が付されていたらどうなるのか、というもの。
無理して作ったような出題。
株価が1000円と5万円と評価が分かれる理由は、大会社(従業員100名以上)なら類似業種比準価格のウエイトが大きくなるが、中小会社なら純資産価額方式のウエイトが大きくなるので、含み益がある場合に、評価額が大きくなるとの説明。
それで、従業員が100名だと思っていたら、譲渡当日従業員が一人死亡して99名となっていて、税務署が大会社ではなく、中小会社として株価を計算したらこうなることがある、との説明。
税務署が本当にそんなことをするのだろうか?けど、税理士の先生方が仰るのだから、そうなんだろう。おそろしい役所としか言いようがない・・・。

錯誤無効の主張ができるのか、そもそも税金は譲渡契約の要素か、税理士がついて契約書にこんな条項を入れてない方が裁判所が救済の対象にしてくれるのではないか、そもそも当事者間が譲渡をやめたのに税務署が課税することはないだろう等々議論がはずむ。
予定時間いっぱいまで議論し、2題で2時間もつのかという司会の心配は杞憂に終わる。
議論は百出したけれど、結局この種の条項に税務署がどう反応するかはよくわからなかった。


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近畿税理士会との研究会(共有物の分割)

晴れ。月曜の雨で桜が散ってしまうかと心配したけれど、通勤電車の車窓から見る風景はまだまだ桜色。

近畿税理士会との事例研究会。ある事情により、せっかくのご研究の成果も断片的に拾うのが精一杯・・・。
で、理解できた範囲で面白かったのは、共有物分割と税金。

AとBが隣接する甲土地と乙土地にそれぞれ2分の1の持分を持っていた。
今までBが税金を払い、草刈りをしていたから、という理由をつけて、Aが甲乙の合計3分の1、Bが3分の2を取得し、Bが差額2700万円の内1500万円を支払うことにした。
税金はどうなる?というのが事案。

ルール1(基通33-1の6)
 一つの土地が共有になっていて、それを持分に応じて分割する場合、分割による土地の譲渡はなかったものとして扱う。

疑問1
 事例は隣接する2つの土地を合わせて分割の話し合いをしているのだが、甲、乙各2分の1取得しないとこのルールの適用はないか?
答え
 隣接する二つの土地でもルール1は適用される。しかし、現実には合筆することになるだろう。

疑問2
 事例は、持分に応じて分けていないが、その場合、差額分のみが譲渡として課税の対象になるのか?
答え
 差額のみではなく、全体が譲渡とみなされるだろう。

疑問3
 全体が譲渡とみなされても、互いの持分を交換したとして、交換特例が適用されて、譲渡がなかったものとされることはないのか?
答え
 交換の要件には、交換差金が20%以内であることとの要件がある。
 さらに

 ルール2(基通58-9)
  一つの資産の一部を交換し、他の部分を売買したときは、法第58条の規定の適用は、他の部分を含めて交換があったものとし、場合は井代金は交換差金等とする。

  ルール2により、全体が交換として扱われる可能性があり、そうすると、土地売買価格2700万円は、ABが交換した土地の面積(Aが取得した面積)の時価相当額(研究会の事例で計算すると7800万円)の20%を超えているので、交換特例が適用されない。

税理士会のおすすめ
 共有土地を分割するときには、まず、持分に応じて分割し、その後売買するのが安全。
弁護士会の教訓
 共有物分割で和解するときには、事前に税理士さんに相談すること。

それにしても、自分のものを共有者と話し合って分けるだけなのに、その分け方で税金が随分違ってくるというのが釈然としない。
税理士会との研究会は、ミステリアスな世界だ。

・・月曜の高校の同級生の集まりにより、火曜に仕事の能率をおとしたのは私だけではないらしい。
隣に座っていた中年音楽狂氏は月曜も火曜もブログを更新してたけど。
どうして社会人が月曜から日付を越えて飲むのだろうねえ。


 
 
 
 


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税理士会との研究会

雨。桜に気を揉むのもこの季節の楽しさか。

近畿弁護士会と近畿税理士会との研究会。今回は税理士会出題。
いつも話がかみあわないが、今回もなかなか納得していただけない。
第一問。代表取締役の夫と離婚したい取締役の妻。他の2名の取締役は妻の親族。実質的には妻が会社を経営しているので、代表権を持った夫が不在になると不便とのこと。
取締役会を開いて代表取締役を解任をすればいいじゃない、という弁護士側に対し、妻は夫の顔も見たくないから招集できないと出題税理士さん。
だったら離婚調停で話し合いをしたら、と言うと、その間もリース代等の支出は発生しているから早く解決したいと仰る。
・・・・・そんなこと言われてもねえ。会社法は手続をきちんしさえすればよいので、反対に手続に瑕疵があるとややこしいことになりますよと説明してもなぜか納得していただけない。
第二問。遺言で不動産を取得する相続人が指定されているが、多額の負債はもっぱらこの不動産に関するもの。それでも他の相続人が相続分に応じて債務を負担しないといけないのかとのご質問。
そうです、との答えにやはりご不満の様子。
第三問。共働きで収入がほぼ同じ夫婦が不動産を購入したとき、夫名義にしておけば、後に半分を妻に贈与するときに贈与税が発生するが、最初から夫婦の共有名義にしておけば、分筆しても税金が発生しない。また、離婚の財産分与として夫名義の土地を妻に渡すと夫に譲渡所得税が発生する。おかしくないか、とのこと。
最初に夫名義にしているが、実質的には夫と妻とが半分ずつ支出しているのであれば、真正な登記名義の回復で共有の登記にできる。もともと夫の固有財産で購入したものであれば、夫の固有財産であっておかしくない、との答えにはどうしても納得していただけない。
夫婦の財産はもともと共有ではないか、婚姻中に共有物分割請求して何が悪い、とのこと。
夫婦といえども固有財産があると説明してもご納得いただけない。
夫と専業主婦の妻のカップルでは夫の預金は誰のものかとのご質問に対し、夫の固有財産と答えるとこれもご不満そう。
共働き夫婦で、生活費の分担を決めてそれぞれが出していた残りのそれぞれの名義の預貯金は誰のものか、というと、それぞれの固有財産だろう。しかし、はっきりと分担を決めていなかったときにはどうするのか、と言われる。客観的状況からどういう意思だったのか推し量ることになるとしか言いようがないが、このあたりで時間切れ。
第四問。遺留分減殺請求。法律の文言は相続開始前の1年間にした贈与は遺留分の算定価格に算入する、となっているが(1030条)、判例で相続人に対する贈与は1年間に限定しないとなっていると説明すると、財産のほとんどを相続開始の1年以上前に生前贈与された場合は、相続放棄すれば初めから「相続人」にならないから(939条)、この場合は相続放棄の方が得かとのご質問。
事業者が事業を承継してくれる相続人に財産を全部渡したいときに遺留分は困るとの問題意識とのこと。
これには弁護士側がはたと困った。
おかしい。いくら初めから相続人にならないとはいえ、そんな解釈はおかしい。
1030条第2文の損害を加えることを知ってなした贈与となるのではないか、という意見と、1030条の判例に言う「相続人」には放棄した相続人も含まれるのではないかという意見が出される。

終了後は最近の流行である会館ツアー。税理士の先生方は、取得価格は、前の会館の譲渡価格は、一人当たりの負担額は、と頭の中でぱちぱちとそろばんをはじいていらっしゃる様子。
隣接業との交流はいつも類似点より相違点をはっきりと認識させられる。

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