IPO研究会(公認会計士は危険なお仕事?)

晴れ。朝刊の一面は日本の災害救助隊が四川省の災害現場で活動している凛々しくも頼もしい写真。こういうのがBoots on the ground とか国際貢献とか言う言葉の本来の使い方なんだろうなあ。
救助隊をなかなか現地に入れなかったとか、記事を読むと腹立たしいことも多いけど。

IPO研究会。公認会計士の方から、インサイダー取引の疑いをかけられたときの捜査の様子や、粉飾決算を見抜けなかったとの理由で損害賠償請求をされた民事裁判についてお話をお聞きする。
・・・公認会計士って、産婦人科のお医者様ほどではないにしても、ものすごく危険なお仕事みたい・・。

民事事件のお話を公認会計士の先生からお聞きしている限りでは、どうして損害賠償責任が一部認められたのかよくわからなかったのだが、山口先生が、裁判所は、この種の事件の過失認定について、医療事件と同様の考え方をしているのではないかとのご見解を述べられたうえで事実関係についていくつか指摘や質問をされ、そのやりとりをお聞きしているうちに、裁判所が一部過失を認定した論理構造が見えてくるような気がした。

話が佳境に差し掛かってきたのに事務所から電話。少年当番で弁護士会から連絡があったとのこと。
最後までお話をお聞きできないのは残念だけど、少年当番は最優先事項。

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IPO研究会

4月3日追記

本日のIPO研究会では、証券会社の方がいろいろとお怒りでした。
司法はもっと実態を勉強してほしいとかなんとか。よくわからなかったけど。

問題意識の一つはインサイダー取引。
会計士が捕まったら次は弁護士をターゲットにしてくるだろう、代表取締役の一存ですべてが決まる会社の場合、代表取締役が増資をしようと思ったら、その瞬間からその代表取締役は株式の売買ができなくなるのか、インサイダー取引は事実上課徴金で終了することが多いので、取引を問題にされたら争わずに課徴金を払うケースが増えるのではないか等々。

TOBをかけようとしているのではないかと疑いを持った相手には、今度増資を予定してます、などと内容証明郵便で送付すれば、それを聞いちゃった(見ちゃった)相手は株式売買ができなくなるから、究極の買収防衛策になる、というご意見あり。
なんだか嫌がらせっぽいやり方。

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インサイダー該当者の範囲

晴れ。気温の低さとは裏腹に日差しは元気いっぱい。

NHKの貴社のインサイダー取引のニュース。
金融商品取引法166条を見ると、1項1号が当該会社の役員が職務に関して知ったとき、2号が当該会社の3パーセント以上の株式を有する株主が帳簿閲覧権の行使に関して知ったとき、3号が当該会社に対する法令に基づく権限を有する者が権限行使に関して知ったとき、4号が当該会社と契約を締結している者、契約締結交渉をしている者が契約締結、交渉、履行に関して知ったとき、5号は2号または4号該当の法人の役員がその職務に関して知ったとき・・・・?
NHKの記者に該当しないなあ。
ということは、

166条3項
会社関係者から当該会社関係者が第1項各号に定めるところにより知った重要事実の伝達を受けた者。

これだと、取材した記者だから、その記者が書いた記事をこっそり見た今回の事件は、

・・又は職務上伝達を受けた者が所属する法人の他の役員等であって、その者の職務に関し当該業務等に関する重要事実を知ったもの(166条3項)

かなあ。
確かに同じNHKの記者だから、「所属する法人の」には該当するけど、「記者」は「他の役員等」なんだろうかか?
また、情報の取得の方法が「職務に関し」に該当するのだろうか?

合併などの重要事項について職務上伝達を受けた人が自社に戻って役員に報告をして、その報告書がたまたま目に入った平社員は該当しないのでは?
それとも、そういう場合でも、勤務時間中に会社の中で見かけたら「業務に関して」になるのかなあ。
それとも、報道機関というのが特殊なのだろうか?
それとも、今回の事件の情報取得方法は、たまたま知ったとか、こっそり見たというのではなく、(伝達を受けた記者から)「伝達を受けた」というものなんだろうか?

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NBL872号特集

晴れ。昨日とうって変わって暖かい。

年末年始の読み物にNBL872号(1月1日号)を持ち帰っていたけれど、特集の「2008年企業を取り巻く法的課題」が36名の執筆者からなる一口話のようで、いずれも問題提起で終わっていてなんだか物足りない。

その中でも、これはおもしろいな、というのが、ソフトウエア開発契約の実態をよく見てほしいとの「偽装請負というけれど・・・・・」(川上氏ニフティ)、特定商取引法の定める特定継続的役務提供契約を中途解約するときの清算で大量購入者を優遇する方法を論じた「特定商取引における消費者と企業」(池田教授北大)、それに「説明責任と消費者利益」(香月弁護士)。

以前金融商品取引法の勉強会で、金融商品なんて説明されても目論見書を読んでも理解なんてできない、と言うと、勉強会参加者から不思議そうな目で見られた。だから、「一つだけ気になることがある。それは、金商法や金融商品販売法が適合性の原則と説明義務の範囲を拡大しつつ、顧客の理解を求める厳格な対応を金融機関に義務づけているとすれば、現実に投資適格のある顧客がどの程度存在し得るのかという疑問である」との香月先生の一文に接したときに、同じように感じている人がいる、と嬉しくなった。

しかし、こんなことを正面から認めたら、不適格者が取引をしているのが常識となって、不適格者を勧誘した(から違法な勧誘だ)と裁判で主張しても、だからどうなんだ、たいていの人はそうじゃないか、という裁判所の反応が返ってきそうな気がする、というか、今でもそんな気配があるように思うのだけど・・・?

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投資信託の差押え(14民懇談会)

曇り。

司法委員会と14民事部との懇談会。今年ちょっと変わっているなと思った話題は投資信託の差押え方法について。
貯蓄から投資へのかけ声のおかげか、従来預金を差押えの対象としていたのが、最近では預金が投資信託に変わってしまっていることがあるので、預金と共に、投資信託も差し押さえる必要があるとのこと。

取引のある金融機関がわかれば、金融機関を第三債務者として預金の差押えをすることができるが、投資信託となると、取引のある金融機関は、単なる販売会社であり、実際の財産は投資信託委託業者と投資信託契約を締結した信託銀行に保管されている。
そうすると、単なる販売窓口である金融機関ではなく、その背後にいる投資信託委託業者を第三債務者としなければならないのではないか、しかし無数といえるほどにある投資信託のどれを購入しているかわからないし、全部の委託業者を第三債務者として差押えをするわけにはいかない、という問題提起。

結論から言えば、14民は、投資信託の振替社債とパラレルに考えてよいとのこと。
振替社債の目録記載方法は、金融法務事情1667号、54頁参照。

平成18年12月14日最高裁判決。
債権者が投資信託の販売会社に対して解約実行請求をしたことについて、一審では、解約実行請求により信託契約について一部解約の効果が直ちに生じるとしたが、控訴審では一部解約金支払請求権は、信託契約について一部解約がされたことを条件として発生するものであり、解約権は販売会社ではなく信託の委託者が有するものだから、受益者から解約実行請求がされただけでは請求権はまだ発生していない、とした。

最高裁では、投資信託の契約の仕組みを分析し、受益者は、販売会社は、解約実行請求をした受益者に対し、委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として一部解約金の支払い義務を負い、受益者は販売会社に対し、この条件のついた一部解約金支払請求権を有する、一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者は、取立権の行使として、販売会社に対して解約実行請求の意思表示をすることができ、販売会社が一部解約金の交付を受けたときには、販売会社から取り立てることができる、とした。

販売会社の背後にいる投資信託委託業者を探す必要はなく、販売会社を第三債務者とすればよいけれど、販売会社は財産を預かっているわけではないから、実際に金を取り立てるためには、解約金が販売会社に交付されていることが条件になる。

使い勝手がいまひとつよくわからない。訴訟になっている事案では、債権者が解約請求をしたのに、解約されていなかったようだし。


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金融商品取引法勉強会(第一回)

晴れ後曇り。このくらいになると、まだ10月だもの日差しが強くて当たり前、とお天気に対して寛大になれる・・?

金融商品取引法勉強会第一回。
とりあえず集まって、どういう分担ですすめるのかを考える前提資料として、金融商品取引法とは、という程度のレジュメを持参する。

金融商品取引法とは、取引法が改正されたもので、金融先物取引法、外国証券業者に関する法律、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律、抵当証券業の規制等に関する法律の4つの法律が統合されたもの、というのが形式的な説明になる。

法律が改正された要因としては、我が国では個人金融資産が約1200兆円あるがその大部分が預金であり、銀行は貸し倒れのリスクを抱えながら、預金の払い戻し請求には応じなければならないが、運用リスクを銀行が丸抱えするのはおかしい、という「論点整理」が「新しい金融の流れに関する懇談会」から出されたこと、と物の本には説明されている。
銀行ってお金を預かって運用するのが仕事じゃなかったの?
プロでも貸し倒れがでるような状況で素人にどう投資判断せよというの?
ま、懇談会の理屈が通ってしまって法律改正となったのだから今更言っても仕方がない。

貯蓄をやめて投資をしようとかけ声をかけても、投資が怖くて安全な貯蓄をしている国民がすぐに貯蓄を取り崩して投資をするわけがない。
それで、開示義務の強化、業者規制の横断化(同じようなリスクの商品なのに規制が異なることのないよう)、投資勧誘規制を設け、ほらこんなに法律が整備されていますよ、ということなった、ということのようだ。
法律を整備したから、投資が安全になるわけではないと思うけど?

規制対象商品は有価証券(2条1項)とみなし有価証券(2条2項)。
2条2項は前段と後段に分かれており、前段は有価証券に表示されるべき権利について証券が発行されていない場合。電子株券などを指す。2項の商品は1項の商品より流通性が低いと説明されているが、電子株券に関しては、流通性が株券より高くなるとの指摘がなされている。
後段には証券に表示されるべき権利以外の権利が指定されていて、5号は今回の改正の目玉商品の一つ集団的投資スキーム持分。各種ファンドが含まれるよう包括規定となっている。

規制対象となる取引に関しては、デリバティブ取引の範囲が拡大されている。
天候デリバティブ。気象の観測成果にかかる数値を金融指標として・・・・。天候に左右される事業のリスクヘッジのためという想像はつくけど、現実に使われているのを見たことがない。

金融商品取引法の特色の一つはプロとアマの区別。それぞれをさらにアマに移行できないプロと移行できるプロ、プロに移行できるアマと移行できないアマに分けているから、4つの区分になる。
プロと区分されると、投資家に対する行為規制(勧誘規制、契約締結に関する規制、投資顧問契約の規制、投資一任契約規制)の適用除外となる。
アマがプロになるメリットはなさそう。
そもそも投資の専門家よりよく知っているなら投資の専門家に依頼することはないし、知識に差があるなら、知ったかぶりをするより専門家に説明義務を負わせておく方が安全だと思う。

投資勧誘規制。
顧客の知識、経験、財産状況、契約締結目的に照らして不適当な勧誘をしてはならない(40条)となっているが、これらの事項は、顧客の自己申告によるのだろう。担当者から、ここに丸をつけておいてもらったらいいですと言われて、指示されるままに申告書を作成したという場合はどうなるのだろうか?
インターネット取引の場合は、自分で申告のクリックしているから申告内容が事実と違っていても常に自己責任ということになるのだろうか?それとも、業者の画面によっては、説明が不十分ということで適合性原則違反となることもありうるのだろうか?


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金融商品取引法勉強会(準備段階)

晴れ。秋の気配はどこかへ行ってしまったようだ。残暑。

NBL864号、865号「内部統制とリスクマネジメントの実務」
大手電器会社、外資証券会社の担当者を交えた座談会。
国際的な企業がリスクマネジメントについてどのように考えているのかがわかりやすく紹介されている。

金融商品取引法の勉強会の全体のスケジュールを作るにあたり、内部統制をどうしよう、どちらかと言えば会計士さんの分野だし、突っ込んで勉強しようとすれば誰か講師の先生に頼まなければいけないけれど、そこまでする必要もないだろうし、と考えていたが、この座談会記事に以前の八田先生の講義のレジュメを併せて使用すればなんとかなりそうだと目処がたつ。
黒沼先生の入門書(日経文庫)は一度ざっと読んだが、他の資料と突き合わせ、レジュメを作成しながら読み返すと、なんとか全体像がわかってきた。
あと別冊金融商事判例「金融商品取引法の理論と実務」は横においておくと便利。この薄い本が3200円するのが難点と言えば難点だけど。

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