信託法研究会(従業員持株会)

曇り。ときどき雨。植物がすくすくと育ち、公園に可憐な、または、色鮮やかな花が咲いているのを見ると、梅雨もよいものだなと思う。
子どものころ、この季節はウシガエルが賑やかに合唱していたものだが、公園の溜池の護岸工事をしたらみごとに1匹もいなくなった。

信託法研究会。テーマは従業員持株制度と信託。
従業員持株制度は以前からあったのだが、それと信託を組み合わせるとどうなるのか、というお話。
メリットは、株価の安定。長期的なそれではなく、短期的な安定。で、どういうことかと言うと、それほど流通量が多くない上場企業で従業員持ち株制度をすると、毎月持株会が購入する直前になると株価が高騰し、その後下落するということを繰り返し、持株会は必ず高値で株を購入することになっていたのが、信託を用いて、最初に借入金でまとめ買いをし、毎月返済すれば、高値で購入することはない、とのこと。
まとめ買いをすることが知れたら(というか広報する必要があるだろうけど)、すごく株価は高騰するのじゃないか、という疑問はこの際ちょっと置いておく。

株価が上がるか下がるか将来の予測はできない。最初の借り入れは会社が補償(または保証)をする仕組み(そうでないと金融機関は貸してくれない)だから、株価が下がったとき(会社の業績悪化時)に取締役が善管注意義務を問われないか、という問題がある。

最初の借入金は新株発行の対価として会社に支払われているのだから、最初にもらいすぎた分を後から返すだけ、という話や、会社が倒産するほど業績が悪化すれば、保証も補償もできないから善管注意義務に違反は問題にならないとか(大地震で建物が倒壊したときに手抜き工事が問題にならないのと似たようなものだろうか?)
、会社法と信託が交錯した領域での議論に興味が尽きない。

事前に善管注意義務違反にならない、ということの弁護士の意見書が必要とのことだが、この仕組みを考案したのは証券会社側の弁護士で、その人の作成した意見書には、これは証券会社から見た善管注意義務についての意見だから、会社側には使用できない、との使用上の注意が記載してあるとのこと。
つまり、会社側として善管注意義務違反にならないとの意見書を書くのはなかなか大変で、あぶないからやめておけ、という理由はいくらでもあるが、それでも制度に意味はあるからなんとかしたい、という場合にどうするのか、という問題らしい。
実際に意見書を書いていらっしゃる先生が考案されたアイデアを聞いて、なるほど、と感心しているとあっという間に時間が経ち、研究会はお開きに。

金融機関と証券会社が組んでこの制度を推進しているとのこと。なるほど金融機関は確実な融資をして金利が入るし、証券会社は新株の発行やら売買やらで手数料が入るし。

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信託法学会(関学木村仁先生の報告)

曇り。梅雨とのことだが、曇っていることが多く、あまり雨は多くないらしい。

信託法学会。
時間制限のせいか、早口言葉大会の会場に迷い込んだのかと感心するような報告が続く中、関学の木村先生のご報告は出色。
「委託者の意思と信託の変更について」。

信託法の解説書を読むと当然のごとく書かれていた永久拘束の禁止が、なんと本家のアメリカでは当然ではなくなっているとの衝撃(私にとっては。もしかしたら皆様既にご存じなのだろうか?)の報告。

永久拘束が禁止されているのは、財産の市場流通性の確保及び死者の意思が死後も長く財産を拘束するのは不合理だという理由だったのだが、当然のことながら流通性がなくて困るのも不合理と感じるのも委託者ではなく受益者または後世の人々である(委託者が不合理だと思えばそんな信託を設定しない。)。
ということは、永久拘束禁止則(権利設定時に生存している者の死後21年以内に確定的権利となることが確実であるもの以外は設定当初より無効)を緩めると、永久拘束禁止則が邪魔だと考えていた委託者がその州で信託を設定することになる。つまり、その州に信託契約と信託財産が流れてくることになる。
それを当て込んで禁止則を廃止、緩和する州が続々と・・ということで、受託者に信託財産の処分権があることを条件にする州、不動産に限定する州、期間を延長する州から何等条件を付さずに完全に永久禁止則を廃しする州まで、各種ニーズに応じたメニュー取り揃えという状況とのこと。

だけど、不都合があるからこそ長年の実務の積み重ねで永久拘束禁止原則が出来てきたのだから、目先の経済のために原則を取り払ってしまうとやっぱり困ったことが起きないのか、が心配になる。
そこは、必要は発明の母というのか、信託変更のルールが形成されることになる。
一度決めたら変更できないから永久拘束が禁止されていたのだから、永久拘束をしてよいとなるとその不都合は信託内容の変更で対応しよう、ということらしい。
現実的な解決だが、法律がこんなにご都合主義的、場当たり的でよいのか、という気もする。
その変更ルールがまたいくつもの考え方があって面白い。
重要な目的か否かで判断するもの、変更理由と信託目的の比較衡量とするもの、委託者が知っていた受益者がすべて死亡した場合とするもの、委託者が予期していなかった事情を要件とするもの、予期していた事情との要件を不要とするもの等々。

変更が可能だとなると、忠実義務を負う受託者は変更申立義務を負っているのか、が次の問題として生じることになる。

次々にあっと驚く情報に触れ、わくわくするような報告でした。
こういう報告がせめてあと1つあると、よい学会だった、という印象になるのだけど、なあ。


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信託法研修会(新井先生、杉浦先生)

曇り。御堂筋は黄金色。

信託法研修会。新井先生と杉浦先生のご講演。会場は盛況。
新井先生は、11月26日の日弁連の研修会でも講演なさったが、このときの講演で少しだけ披露された自説の解説を今回の講演で全面展開された趣があり、とにかく熱い、面白い。

コモンローの国でエクイティとして発展した、との説明を聞くと、従前の裁判例で、この関係を信託と構成すると、という論法がとられていたことに納得がゆく。成文法から一番遠い法理で、かつ救済法なんだ。

新井先生のお話をお伺いしていると、やっぱり今回の改正はおかしいと思えてくる。
諾成契約で、財産の名義移転の義務もないとなると、委任、代理と違わない。
委託者、受託者、受益者を一人の人間が兼ねることができるとは何事か。
信託の本質からかけ離れた「信託」だ。
受託者の義務の任意法規化にお怒りだったが、自己執行義務を明記した契約があっても、やむを得ないときには委託できる(28条)というのを見ると、任意法規化ではなく、自己執行義務を解除する方向での強行法規のようにさえ見えてくる。

立法過程も相当もめたそうだが、その結果できた法律については、なんと当初財産の証券化・流動化のために改正を求めていた規制緩和なんとかの人達でさえ、こんな法律使わないと言っているとのことで、信託銀行にいたってはこれで信託の信用が落ちるかもしれないと迷惑がっているとのこと。
永田町の論理でできた法律かと思っていたら、機を見るに敏な先生方のこと、会社法の成立時には、村上さんや堀江さんをもてはやしていたが、その後のあれこれで手のひらを返したように、濫用の危険のある法律はけしからん、ということになり、自民党の先生方からも反対意見がだされたとのこと。
もちろん民主党も反対。
ということで、なんと霞が関のお役人の論理のごり押しと御用学者の看板で成立したらしい。
お役人って税金を使って、国民のために働く人かと思ったら、税金を使って、国民に不利益をまき散らして自分の出世を図るひとだったのか・・。
もっとも新井先生は、日弁連けしからんとお怒りだった。日弁連が賛成したたのが、最後の一押しになってしまった様子。

友人のM弁護士が杉浦教授に直接講演をお願いしたことに端を発した講演会。杉浦先生は、当初10人くらいの勉強会にという話だったのに、あっという間にこんな大きな研修会になってしまったと仰っていた。
新井先生にけしからんと散々にけなされた後、立法に関わった杉浦先生の登場となったのが、ちょっとお気の毒だったが、杉浦先生の事業信託を中心にした話も、これはこれでとても興味深かった。
チャリタブルトラストを「チャリトラ」と略されたのにはのけぞったけど。

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信託法研修会(日弁連)

曇り。どちらかといえば暖かい。なんだかわかりにくいお天気。

遺言信託に関する研修会。10時から17時までの7時間なのだが、最後の方になると「事業承継と相続」とか「渉外相続の裁判事例研究」だのと信託とは関係のない話題となっている。

それはともかく、午前の新井誠先生の講演「改正信託法と遺言信託の実務」は面白かった。
新信託法を読んでいて、ときどき違和感を感じていたが、その違和感の正体をすっきりと示していただいた感じがする。
たとえば、信託法2条の信託の定義。奥歯に物がはさまったような物言いをしている。

この法律において「信託」とは・・・・・特定の者が一定の目的(省略)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のためら必要な行為をすべきものとすることをいう。

委託者と受託者が同一の場合(自己信託)や、委託者と受託者が同一の場合(自益信託)があるから、こういう書き方になったのだろうなということの推測はつく。しかし、通常の法律の定義に比較して、何が何だかという感は否めない。
新井先生の解説では、まず、信託の本質である「財産の移転」が定義にないが、このような定義をする国は日本以外では中国しかない、とのこと。しかも中国では、私有財産の移転が困難であることを背景にしているとのことだから、私有財産の移転が自由にできる資本主義国家で、こんな定義を置いているのは日本だけということになる。
財産の移転を定義に入れると、自分から自分に財産を移転できないので自己信託が成立しなくなるとの理由で財産の移転が信託の定義からはずされた。
なお、法務省の役人は「自分の中の他人への財産の移転」と説明したとのことだが、新井先生はこの説明を、哲学的には面白いかもしれないね、と評されていた。
もしかしてこの法務省のお役人は文学部出身なのだろうか?
今回の信託法の改正は、規制緩和なんとかの意見に基づき、証券化、流動化のヴィークルを作るためのものだったとの解説を聞き、ああそうか、と納得してしまった。
会社法のときと同じということか。小泉さんと仲良しだったあの人が儲け話を考えたんだろう。
立法時に国会でもめたというのはともかく、パネルディスカッションで、税法が規制するので信託法の使い勝手が悪いという話も興味深かった。
こんななんでもありの信託法を作られると、税務当局が税金のとりはぐれを警戒するとのこと。
パネラーの一人は税理士。経歴の紹介を聞いてもしかしたらと思ったら、やっぱり。「信託大好きおばちゃん」。

来月は大阪弁護士会主宰で、新井先生と杉浦先生の講演会。
今回の新井先生のご講演で、来月の講演会への期待がさらに高まる。

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信託法研究会(会社と信託)

晴れ。爽やか。

朝刊を見ると、船場吉兆の件は会社に責任を被せられそうになった従業員に山口健一先生がつくという展開になっていた。
ヤマケンという愛称がついていることからも推測できるように有名弁護士。なんだがすごくなってきたなあ。
発端はプリンの消費期限のシールの貼替で、しかもあちこちで偽装が問題になっているときで、またか、という程度の事案だったのに、今や大事件のような扱いになっている。食中毒が発生したわけでもないんだけど。
ここまできたからには、行くところまでいって白黒つけるしかないんだろうな。
吉兆のお店なんて入ったこともないから、赤福餅のときのような個人的な感傷も感じない。というわけで、山口先生がんばれ。

信託法研究会。会社の設立と限定責任信託契約と信託証券を組み合わせたものがどう違うのか、いずれを選択するかはどちらが税金がお得かという些末な差によるのではないか、という議論。
そういえばそんなことを書いていた論文があったなと思い出して取り出したのがNBL865号。
「組織法の柔軟化・多様化と証券化ヴイークルの今後 会社か信託か」
上下に分かれているが、上を読んだ限りでは、文章にするより、一覧表にしてもらった方がわかりやすそうだ。
そのうち時間のあるときに自分で比較一覧表を作ってみよう。

こういう議論を追いかけるとケイマンSPCなんて単語にお目にかかることになるのだけれど、大阪の研究会で議論をわかりやすくするためのイメージとして出てきたのは、フェスティバルゲート。


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ペットのための信託

やや曇り。ようやく涼しくなってきた。

WWFに注文していた、岩合さんのカレンダーやら重曹やら、箸袋やらが届く。で、週末は重曹生活。洗濯機に入れたりキッチンを磨いたり水道の蛇口をぴかぴかにしたり。
箸袋は箸を入れて事務所に持参し、昼食に割り箸を使わないことにする。
小包から出てきたものの中で特に嬉しかったのは岩合さんの猫の写真のパッケージに入った固形蜂蜜。写真も愛らしいし、固形蜂蜜は口に入れると、キャンデーよりも早く溶ける。これからの季節、のどによさそう。

アメリカではペットのために信託を設定すると聞いたけれど、ペットのための信託って言っても、ペットに法律上人格があるわけではないので、誰を受益者にするのだろう?アメリカでは植物に原告適格が認められたとか聞いたけど、まさかネコとかイヌとかワニとかオウムに法人格があるとされていたらすごいなあ・・・?よくわからないのでとりあえず信託法勉強会の世話人のKH先生に電話。

ペットの信託ね。それは、目的信託の教科書事例ですよ。

一瞬で解決・・・・・。なるほど、受益者の定めのない信託(258条)はこういうときに使うのか。
誰か信用できる人(受託者)に財産を譲渡し、その人にペットの飼育に必要な金を譲渡した財産から支払ってもらうという内容の契約書を作成して信託を設定する。
誰かって誰だろう。できれば近所でペットを託せる人を探すのがよいけれど、ニシキヘビとかワニなら動物園と交渉するところから始めないと。WWFは野生動物専門だからペットの相談はだめだろうな。イヌ、ネコ、オウムであってもペットショップは避けたい。動物保護をしているボランティア団体を探すというのはどうだろうか?

259条には、受益者の定めのない信託の存続期間は20年を超えることができないとされている。
長生きの動物の場合困る。50年くらいは存続させてほしいなあ。ペットに仔が生まれたらどうするんだろう。

ペットのための信託が普及したら、自分が先に死んだら可哀想だからとお年寄りがペットを飼うのに二の足を踏まずにすむ。忠実な愛犬、愛しい愛猫と安心して老後を共にできるようになるだろう。想像するだけでわくわくする。是非我が国でもペットのための信託を一般的なものにしたいという気持ちになる。

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受益者連続型信託

晴れ。季節が狂う前の9月ころのお天気とのこと。

財産を遺贈した場合、財産を受け取った人は、それを完全に自分のものにでき、受け取った人が死亡すれば受け取った人の相続人がその財産を相続する(残っていればの話だが)。
妻に全財産を渡し、妻が死亡した後、妻の相続人である妻の兄弟がその財産を相続するという説例があげられている(子がいないということだろう)。
妻には全財産を渡したいが、妻が死亡した後に妻の兄弟に渡るのは嫌だ、別の人の渡したいという場合にはどうしたらよいのか。
遺言でこのような指定をすることはできないというのが通説だが、信託でならできるという不思議。
遺言でできないとする理由には、遺贈により取得するのが所有権であり、所有権を期限付きにすると所有権の永続性に反するということが挙げられている。

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託。
この内容の信託を設定しておけば、自分の死後の財産の受益者を妻にし、さらに妻が死亡した後の受益者を指定しておけば、妻には財産を渡したいが、妻の兄弟には渡したくないという希望どおりになる。
ただし、この信託の効果は無期限ではなく、信託がされたときから30年を経過したとき以後に現存する受益者が受益した場合であって、その受益者が死亡するまで、または受益権が消滅するまで、とされている。
期限を限る理由は、公序良俗。
英米の信託では、「永久権禁止原則」があり、一定期間内に受益者が画定しない信託は、その受益者に関しては無効とされ、その理由は公序良俗だと説明されている(『現代信託法』能見善久)。

どうして公序良俗に反すのだろう?何がいけないのだろう?
死亡した人の意思が、いつまでも財産を縛っているのがいけないのだろうか?それとも人はそれほど長く将来のことを予想できないため、はずれた予想に基づく財産の配分の指示になる懸念があるからだろうか?

なんだかNHKスペシャルで見たアンデスのミイラ文明のような感じがしてきた。
ミイラが生きている人と同様に扱われる文明。

30年で効果が終わるのではなく、30年経過したときに、受益者がいれば、その受益者が死亡するまで効果が続く。
だから、自分の子の将来を心配して信託をしたときには、十分カバーできるし、自分が死んだ後30年後の受益者となると、もしかしたら自分の孫どころかひ孫かそのまた子が受益者となっているかもしれない。そのときの受益者が0歳だったとして80年生きるとすると、自分が死んだ後110年間財産の配分を指定できることになる。
そんな先まで心配しなくてもよいような気もするし、その間に消費しつくされないとなるとどれだけ莫大な財産だろう。会社の株式の配当金で、景気よく数百年存続するような会社を想定すればよいのだろうか。
受託者はどんな人になるのだろう。これもまた景気よく数百年存続する信託銀行のようなものを想定すればよいのだろうか?景気の浮き沈みによってどちらかが破綻しそうな気がする。
受託者であることを代々承継する一族と受益者たちの物語などというものを想像するとかなりSF的。

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遺言信託

晴れ。10月に入ったばかりといったお天気。外を歩いているのが心地よい。

11月7日のNHKラジオの広報原稿のテーマが決まらず、放送に穴をあける夢までみてしまった。
赤福や亀田一家ではテーマにならないし、ノバは生々しすぎて方向性が見えてこない。第一、会社更生とは株式会社のみが使える手続で、とか、破産と会社更生の違い、とか説明したところで、30万人と言われる受講者にとっては、そんなことどうでもいいから、払った金がどうなるのかが知りたいと言われそうだ。
食品の表示についての不正競争防止法というテーマはちょっと前に別の担当者が解説しており、食品の偽装なんていうのはもう新しくないテーマで、世間の関心は、偽装があった後の会社の対応の方だろう。
そうすると、会社法における内部統制とは、という話になるのかもしれないが、大和銀行事件で議論された内部統制はスケールが違いすぎて、赤福に適用するのか・・・・という感じではある。社長ぐるみの不祥事に内部統制と言っても、誰が何を統制するの、ということになるし。食品ならダスキン事件かなあとも思うがこれともちょっと違う。あれは中国で製造した商品に未承認の添加物が入っていて、それを隠して強請られ、金を渡したという話だったけれど、赤福のは売れ残りの餅を再販売したということで、なんだかちまちましているうえに、長期間にわたっていて、どの程度悪質なんだかよくわからない。添加物にトレハロースと言われても、トレハロース入りの餅なんてそこらじゅうにあって、記載がないのに入っていたと言われても、ふうんそうか、あの柔らかさはそうだろうなあという感想しかでてこない。
赤福餅は大好きだし、以前から、まとめ買いして冷凍しておいたらよいという話も聞いていたので、冷凍して販売したと聞いても、もともとそういう商品じゃないの、と思うし。
餅もあんも伝統的に保存のきく食べ物だろうし、赤福餅で食中毒になったという話も聞かないし、不二家と違って細菌が発見されたという話でもない。肉や鶏と違って、違うものが入っていたわけでもないし、恐ろしいウイルス感染の危険でもなさそう。
不思議なのは、どうしてこの程度の話で、毎日毎日会社がマスコミに報道のネタを渡しているのかということ方で、せっかくノバだの防衛省だのと大きな話題が続いているのだから、小出しせずにさっさと発表して販売再開に向けての努力を開始すればよいのに。

というわけで、11月7日のテーマは遺言信託。信託銀行がさかんに宣伝している「遺言信託」は単なる相続業務で、本当の遺言信託というのはこういうもの、という話。
遺言信託、遺言代用信託について、設定の仕方、実際の使われ方、その限界(後継ぎ遺贈、遺留分)まで。
事業承継にからめて話ができればなおよかったのだろうけれど、そこまで入れると長くなりすぎる。

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投資信託の差押え(14民懇談会)

曇り。

司法委員会と14民事部との懇談会。今年ちょっと変わっているなと思った話題は投資信託の差押え方法について。
貯蓄から投資へのかけ声のおかげか、従来預金を差押えの対象としていたのが、最近では預金が投資信託に変わってしまっていることがあるので、預金と共に、投資信託も差し押さえる必要があるとのこと。

取引のある金融機関がわかれば、金融機関を第三債務者として預金の差押えをすることができるが、投資信託となると、取引のある金融機関は、単なる販売会社であり、実際の財産は投資信託委託業者と投資信託契約を締結した信託銀行に保管されている。
そうすると、単なる販売窓口である金融機関ではなく、その背後にいる投資信託委託業者を第三債務者としなければならないのではないか、しかし無数といえるほどにある投資信託のどれを購入しているかわからないし、全部の委託業者を第三債務者として差押えをするわけにはいかない、という問題提起。

結論から言えば、14民は、投資信託の振替社債とパラレルに考えてよいとのこと。
振替社債の目録記載方法は、金融法務事情1667号、54頁参照。

平成18年12月14日最高裁判決。
債権者が投資信託の販売会社に対して解約実行請求をしたことについて、一審では、解約実行請求により信託契約について一部解約の効果が直ちに生じるとしたが、控訴審では一部解約金支払請求権は、信託契約について一部解約がされたことを条件として発生するものであり、解約権は販売会社ではなく信託の委託者が有するものだから、受益者から解約実行請求がされただけでは請求権はまだ発生していない、とした。

最高裁では、投資信託の契約の仕組みを分析し、受益者は、販売会社は、解約実行請求をした受益者に対し、委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として一部解約金の支払い義務を負い、受益者は販売会社に対し、この条件のついた一部解約金支払請求権を有する、一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者は、取立権の行使として、販売会社に対して解約実行請求の意思表示をすることができ、販売会社が一部解約金の交付を受けたときには、販売会社から取り立てることができる、とした。

販売会社の背後にいる投資信託委託業者を探す必要はなく、販売会社を第三債務者とすればよいけれど、販売会社は財産を預かっているわけではないから、実際に金を取り立てるためには、解約金が販売会社に交付されていることが条件になる。

使い勝手がいまひとつよくわからない。訴訟になっている事案では、債権者が解約請求をしたのに、解約されていなかったようだし。


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信託法研究会(遺言代用信託)

雨。秋の長雨というよりどしゃぶり。

信託法研究会。
世間で遺言信託と言われているもののほとんどは単なる遺言で、遺言業務に乗り出した信託銀行が、信託銀行の業務であることを強調するために遺言に信託を付しているらしい。
それでは遺言信託というものが存在しないのかといえばそうではなく、遺言代用信託というものが存在する。

受益者に委託者の死亡時ないし死亡後に信託から給付を受ける権利を取得させる定めのある信託。

通常の遺言とは違い、信託だから、委託者、受託者、受益者という当事者が登場する。
被相続人が委託者となり、生前に信託を設定し、自分が生きている間は自分が受益者となり、自分が死んだ後に財産を受け取る受益者を指定する。
信託を設定しなくても、遺贈すればよいようにも思うのだが、障害のある子に定期的に生活費を渡したい場合などに使うのだろうか。
あるいは、遺贈してしまえば、遺贈された物は受贈者の所有となり、以後受贈者の相続人に相続されるが、そうではなく、受益者に生涯無償で使用させ、受益者の死亡により受益権を消滅させたいというような場合はどうだろう(91条)。

必要に応じていろいろな設計ができそうな道具のようだ。

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