危急時遺言の確認

晴れ。昨夜の雷雨がうそのようだ。

遺言相続センターのマニュアル案を見ていたら、「危急時遺言の確認」というのがあった。
危急時遺言というものがあることは知っているが、実際に作ったことも作りたいという相談を受けたこともない。その「確認」って何だろう?

民法976条。死亡の危急に迫った者の遺言。特別の方式の項目の中にあるから、方式の一つなんだろう。
ちなみに、960条では、遺言はこの法律に定める方式に従わなければすることができない、となっている。

危急時遺言というのは、死亡の危急に迫った人の遺言なのだが、証人3人以上の立ち会い、遺言の内容の口授、証人の一人がこれを筆記して読み聞かせ、各証人が正確なことを承認した後、署名、押印する、となっている。
それで、4項に、この遺言書を遺言の日から20日以内に家庭裁判所で確認を得なければ効力を生じない、とされている。
裁判所が確認するのは、遺言者の真意に基づいて作成されているかどうかということなので、本人に面談するのが確実なんだろうけれど、多分立ち会った証人にそのときの状況を質問して確認するのだろうなあ。
だって裁判所が確認のために面談するくらいなら遺言時に公証人が面談して公正証書遺言が作成できるもの。
なお、裁判所が確認をしても別途検認手続は必要とのこと。

ところで、死亡の危急に迫っている、ってどのくらい迫っているときのことを言うのだろうか?
983条では、危急時遺言をしたときから6か月生存したときは効力を生じないとなっているところから考えると、余命6か月以内のことだろう。
病気の種類にもよるのだろうけれど、余命6か月なら、自筆証書遺言や公正証書遺言の作成が可能な気がする。
それでもこちらの方式を選択するというのであれば、それはそれでかまわない、ということなのだろうか?
この規定のできた明治のころと現代とでは医療が大きく違っていると思うのだけど。危急時遺言の需要は今でもあるのかなあ。


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遺言に関する実務上の諸問題(高山裁判官講演)

雨。
「遺言に関する実務上の諸問題」研修。講師は大阪家裁の高山裁判官。

講義が始まってしばらくは随分とまどった。なにしろ、話が先に進まない。2時間の講義時間で、レジュメが3頁と少し。
しかし開始後30分たっても、1頁目の3分の1までもいかない。話はぽつりぽつりといった感じで、文と文の間には長い間があく。
レジュメを見ると、ここは聞いておきたい、という事項がいくつか並んでいるが、そこまで進まないのではないかという疑問が浮かぶ。講師は申立件数の統計数字の説明などをのんびりとなさっている。
仕方がないので、添付資料の「参考裁判例」を読み始めるとこれがよくまとまっていて、とてもおもしろい。古い順に40の裁判例が要領よくまとめられている。
レジュメといい、資料といい、相当な力量の方が作成されたはず・・・なのに、目の前の講師は相変わらず長い間のあいた口調で、遺言をめぐる紛争に関するご自身の感想や人生観のようなものを述べていらっしゃる。
このギャップをどう解釈すべきか・・・・。
開始から1時間あまりも経過してようやくここは聞いておきたい、という箇所に差し掛かるが、するっと流されて次ぎの項目に移っているのか、それとも話が前後しているのか・・・また悩んでしまう。
しかし、このあたりから俄然話の内容が面白くなってくる。
前半で語られた人生観のようなものがにじみ出るような遺言の紛争処理、紛争を未然に防ぐための具体的方策などがやはりぽつりぽつりと語られる。
内容は、当たり前と言えば当たり前のことが語られているのだけれど、言葉が上滑りしていないので、聞いてしまう。
結論から言えば、この種の実務的な、つまり実利を目的とした講演には珍しく、「聞き応えのある」または「味のある」講義だった。

講義内容の内、留意事項の項目は以下のとおり
1 遺言者が健常なうちに遺言書を作成する(遺言能力でもめる)
2 遺言書に宛名を書かない(遺言か私信かでもめる)
3 夫婦に子がいないときには、配偶者に配慮する(兄弟姉妹には遺留分なし)
4 高齢で再婚した場合には、子が被害感情を抱いている可能性があることに注意する
5 事業承継のために遺言であるときには、自社株が意に反して分散しないよう代償金にまで配慮する
6 遺産分割協議をする前に遺言書の有無を確認する
7 貸金庫の有無とその内容は分割協議前に必ず確認する
8 分割協議前に不動産は現地で現状を確認する
9 分割協議前に預金の確認をする、ネット預金に注意する(銀行から文書が送付されない)


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税理士会との研究会

晴れ。日が落ちるとひんやりする。

税理士会との研究会。今回は税理士会から出題。
いつもながら問題意識がよくわからない。弁護士は回答するけれど、この事例のどこがひっかかって出題になったのかがわからない。双方の問題意識がかみあっているのかいないのか微妙。

事案の一つは、遺言書に従って遺産を分け、相続税を申告した後に、税務署が相続人の一人の預金が高額であり、実質は被相続人の財産であるとして納税を求めた場合というもの。
その預金が相続財産であれば、相続人の一人は遺留分を侵害されている。

弁護士の側は、税務署の言い分に従って納税しても、銀行は預金の名義を変更してくれないから、預金が相続財産であれば受け取るべき人にその預金がゆくことはない、だから税務署の言い分に従って納税しても無駄ではないかとか、預金が相続財産なら遺留分を侵害されていることになる人にとっては、相続財産とならないと遺留分ではなく、次の相続で法定相続分の相続ができるから有利なのではないかという意見まで出てきて、議論がどんどんこんがらがる。

4問中3問が相続がらみ。
こんなにこんがらがってる相続に、どうして税理士さんしか関与していないのだろうということの方が不思議に思えてくる。
もはや納税の問題ではなく、相続に関する法律の問題になっているのに?

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相続税の基礎控除

曇り。ようやく秋らしくなってきた。時候の挨拶一覧の11月のところを見ると晩秋となっているが、仲秋・・せめて秋冷の候と書かないと、なんとなく現実の季節とずれるような気がする。

法律相談に行くと、ときどき深刻そうな顔をした人から、相続税が心配だという相談を受ける。
相続税を心配しなければならないそれぞれのご家庭の事情を仰るので、税金は税理士に聞いていただいた方がよいのですが、と前置きし、5000万円プラス相続人一人当たり1000万円の基礎控除がありますが、と言うと、ほとんどの場合、何の問題もありません、と言ってお帰りになる。

私も弁護士になるまで、相続税の基礎控除のことを知らなかったから不思議に思うのだが、どうして高校の家庭科の授業でこのくらいのことを教えないのだろう?
保健体育の授業で法定伝染病を暗記する、という課題があったことは覚えているが、腸チフス、パラチフスなどと暗記するくらいなら、相続税の基礎控除の方がよほど実生活に役立つ知識だと思うけど。
もしかしたら書いてあったけど覚えていないだけなのかなあ?

なお、財産が基礎控除を超えていたとしても即座に税金が発生すると考えるのは間違いで、まず財産から債務や税金、葬式費用などを控除するし、さらに小規模宅地の特例などの制度もある。このあたりまでくると税理士さんの出番かな。

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大阪弁護士会遺言・相続センター設立準備会

曇り後雨。少しずつ秋らしくなってくる。

大阪弁護士会が新しい遺言・相続センターを設立しようとしている。
信託銀行が遺言信託などというネーミングで、顧客を誘因し、遺言執行を事業にしようとしているのに対し、本来的に遺言・相続が弁護士の業務であることを社会に広めようの思いから立ち上げが企画された。
信託銀行は、資産1億円近くないと相手にしないらしい。
簡単な遺言の作成ならセンターに依頼した方が安いし、複雑なものであれば、銀行に作成を依頼するより弁護士に依頼した方が安心。
センターの設立はとてもよいアイデアに思えたが、設立しようとすると、なんだか障害物がいっぱいでてくる。
簡単な遺言で相続財産が一定額(5000万円から7000万円の案が出ている)の作成費用を10万5000円(税込み)にしてはどうかという提案があると、一律に料金を決めると独占禁止法違反となるという公取委の見解にひっかかるし、相談センターからは、相談センター基準より安いと、会に二重の基準があるように見られるとの意見が出される。
延々と続く議論を聞いていると、一体この人達は、競業者がいるとか、弁護士の人数が既にふくれあがりつつあるという認識があるのだろうか、という気になる。

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